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<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


+ 誘拐・決戦・そして +



「はぁーい。クリス、お待たせ」
「麻里奈!」


 バイクに乗って現れたのは明姫リサの親友である鳳凰院 麻里奈(ほうおういん まりな)だった。クリスやカスミに劣らない豊満な胸、きゅっと引き締まった腰へのライン、そして柔らかなヒップへの曲線。その華麗なる体躯は一瞬にして男達の視線を釘付けにしてしまった。


「おうおう、なんや。わい好みの美人さんやないか。お前らこんな女にやられてもうたんかい」
「ですから意外にこいつは強いんですって!」
「はっはっは、どうせ酒にでも酔うてて油断でもしたんやろ。わいに任せとき」
「うっす。お願いします! 今度は容赦しねえからな」
「しかし妙な格好してんなぁ。ええわええわ、これなら良い絵が撮れるで。お前ら、カメラ回しとき!」
「へい!」


 胸骨を覆う胸当ては大きすぎる胸を完全には隠し切れず、胸の下ラインが見えている。下半身も動きやすいようにビキニタイプという非常に露出度の高い格好だ。
 それが彼女の戦闘時の装いなのだが男達が知る由もない。ただ彼女の色気をかもしだす一つのエッセンスとしてでしか見られないのだろう。彼女は男達の揶揄するような声には興味は示さず、麻里奈は人質の女性二人に視線を寄せた。二人の無事を確認するとバイクから足を下ろしその重器に寄りかかる様にすっと立つ。


「麻里奈さん! 警察に連絡したの!?」
「してないですよ。カスミ先生。人質が大変な事になるって言ってましたから」
「どうして……! 最初に警察に連絡するのが――」
「警察なんて当てにならないわ。それで? 要求は何?」


 余裕ある態度を崩さぬまま麻里奈は男達に問い掛ける。
 艶やかな唇から零れる強気な文章が気に入ったのかヤクザの男は口笛を吹く。どうやらこの男は金髪の、しかも若い女が好みのようだった。
 指を鳴らし傍に控えさせていた男達に命令すると麻里奈の両腕を押さえつけさせる。そしてそのままバイクのシートに仰向けに寝かせた。突出した胸が重力に引かれ柔らかく潰れる。それもまた魅惑的な動きで男達の欲望を煽るだけ。
 リーダーらしき男が麻里奈の身体を品評するかのように触れる。その卑猥な動きは当然麻里奈に嫌悪感を齎したがそれを顔に浮かべるほど彼女は素直ではない。むしろわざとらしく右膝を折り曲げ男の腰に絡めつかせてみる。


「ねえ? もっと面白い物を見たくない?」
「姉ちゃんがあんあん喘いでくれたら面白いと思うで」
「ふぅん。嫌だわ、私は男の体じゃ感じないの。私が感じちゃうのは……クリス相手の時だ、け、よ。ねえ、美女二人のレズシーンなんてみたくなぁい?」
「なんや姉ちゃんら出来とんのか。ビアンとは思わへんかったな。まあ女二人絡みつかせんのもそれはそれで需要があるねんで。――おい、お前らそっちの姉ちゃんの拘束解いてやれ。面白い絵が撮れるなら歓迎やけどな、逃げようとしたら遠慮なくそこの先生、痛めつけさせてもらうで」
「へぇ、さすが野蛮」


 男達が回すカメラに気付くとわざとらしくウィンクをしてみせたり、身体をくねらせてアピールしてみせる。
 くっきりと線を描く胸の谷間や下からのアングルなど好き放題し始めた男達、そんな彼らに拘束を解かれてクリスが麻里奈の元へと歩み寄らせられる。その目は驚愕色を宿していたが、麻里菜が隙を見て視線で合図を送る。たったそれだけ。一度だけの目配せ行為で二人は通じ合う。
 誰かがこくっと唾を飲み込む音が聞こえた。


 赤く熟れた唇が接近し、重なる。
 激しい水音が鳴り始めるのに時間は要らなかった。


「ふ、んんぅ。むぅ。はぁ、舌、やわらかぁい……それにこっちも、あら、また大きくなった?」
「やぁ、ん。そっちこそ、そんな格好して……、実は期待したんでしょ。はぁ、ふ、くすぐったいですわ。ぁ、やん! そこは弱いの、弱いんですのぉー!」
「耳? そう、耳が弱いんだ。んんー、ちゅ、んむ、じゃあこっちは?」
「そっちも、そっちもだめ、駄目っ……はぁ、ん」
「感じやすいのは相変わらずのようね」


 舌が絡み、手が滑り。
 指が肌に食い込めば柔らかく爪先が埋まる。
 男達はそんな風に濃厚なキスや愛撫を繰り広げる彼女達から目が離せずにいた。もちろんカスミも含めて、だ。カメラを構えていた男はアップで映し出される彼女達の接触部に興奮したのか息が荒い。
 だが次の瞬間カメラのフレームから麻里奈の姿が消えた。
 クリスに圧し掛かっていた麻里奈の体が跳ね上がり、カスミを押さえていた男に回し蹴りを喰らわしたのだ。


「っぐぉ!!」
「嫌だわ。性急な男は嫌われるのよ。クリス、カスミ先生をお願い。私はちょっと暴れてくるわ」
「先生こっちです、早く!」
「え、ええ」
「さてと、もう遠慮はしないわよ」


 人質を奪還した麻里奈は今まで押さえていた感情を放出させ、怒りのままに男達を倒していく。時には殴りかかって来た男達を相打ちにさせたり足払いをしてその場に転がしたり、ベルトを使ってその手足を簡易拘束したり。
 その素早さ、強さは圧倒的なもので、たった一人しかいないはずの女性相手に数多くの男達が伸されて行く。策略ではなく力で押される様子に畏怖したヤクザの男はクリスとカスミの元へと走った。完全に怯えきったカスミの覚束無い足取り、それを支えるクリスの二人はすぐに追いつかれてしまう。


「ちっくしょおお! おい姉ちゃん、こっちに来い! あんたを人質にしたる!」
「いやぁあっ、汚い手で触らないで下さいませーッ!」
「――ぐっぅ、ぉ!」


 クリスが大人しくしていたのはカスミが人質になっていたからだ。
 彼女にも今まで身に付けて来た剣術と柔術に加えボクシングの技術がある。体に触れようと伸ばされた手をすっと避けると彼女は拳を作りそれを男の顔に力の限り叩き込んだ。
 無様なまでに醜く歪んだ顔、そしてカランっと何かが飛んでいく音。重々しい音を立てながら男がその場に転がりやがて沈黙が訪れる。鼻血と吐血に塗れたその男にはもう前歯は無かった。


「さあ、此処までのようね」
「そうですわね」
「一人でも勝てなかった貴方達が私達二人に勝てると思う?」
「カスミ先生まで巻き込んだ罪は重いですわよ」


 わざと足音を立てながら二人は転がった男達の前に立つ。
 もちろんカスミは男達から遠ざけた上で、だ。


「さあ、お仕置きの時間よ」


 その瞬間、ヒィぃ……! と誰かが引き攣った悲鳴をあげた。



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「多分これでもうあいつらは二人に何もしてこないと思うわ。もちろん私にもね」


 麻里奈が指先でくるくると回すのはカメラのテープ。
 先程工場跡にて男達一人一人を土下座させ、その様子を逃さず撮ったものだ。当然顔をアップにして個人特定が出来るようにしてある。その上で彼女達は「今度また何かしでかしたらこのテープをネットに流す」と脅したのだ。


「私のせいでこんな目に合わせて御免ね。怖かった?」
「怖かったわよ。でも、もういいです。無事だったんですから」
「そうね。もう二度とこんな事が起こらなかったらそれでいいわ。でも麻里奈さん、喧嘩したことは悪い事よ。それに――……そういえば貴方達、出来てるって……」
「あ」
「え」
「そうよ。喧嘩したことは悪い事、でもそんな事よりもあんな、あんなっ……! 二人ともちゃんとお話しなさい!」
「クリス、後ろ乗って!」
「じゃ、じゃあ先生。今日はこの辺で失礼致しますわ。また学校でお会いしましょう。ではではー……!」
「待ちなさい! こら、二人ともー!!」


 麻里奈のバイクの後ろに素早くクリスが跨る。
 彼女の腰にしっかりと腕を回した瞬間、アクセルを回しバイクは素早く逃げた。後ろからはカスミが大声を上げて何かを叫んでいる。
 彼女達はふふっと笑う。
 肯定も否定もせずただ曖昧なまま。


 黄昏時を進むバイク。
 其処には何処が誇らしげな二人の姿が在った。







 

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【8074 / 明姫・クリス(あけひめ・くりす) / 女性 / 18歳 / 高校生/声優】
【8091 / 鳳凰院・麻里奈 (ほうおういん・まりな) / 女性 / 18歳 / 高校生/クルースニク】


【NPCA026 / 響・カスミ(ひびき・かすみ) / 女性 / 27歳 / 音楽教師】

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■         ライター通信          ■
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 発注有難う御座いました!
 前回に続きお色気ということでこんな感じで。最後は逃亡オチという(笑)
 強い女性二人、その存在感を感じていただけますように。