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クリスマスキャロル
「はぁ、結構街の中もクリスマスのイルミネーション一式だなぁ‥‥」
小さく呟きながら寒さを少しでも凌ごうと手に息を吹きかけながらキラキラと綺麗に輝くイルミネーションを見る。
クリスマス――それは一年の中で最も聖なる日、特別な日。
恋人達は甘い雰囲気に酔いしれながらその日を過ごす。
「あ、この遊園地――クリスマスの日は夜までしてるんだ‥‥」
ふと目に入ったのは遊園地の案内広告、いつもは６時で閉園となるその遊園地はクリスマスの日だけ夜の１１時まで営業するのだとか。
「あ、でもこっちのクリスマスライトショーも捨てがたいかも‥‥」
別の広告には植物園をクリスマスっぽくライトアップするという案内もあった。
それぞれの場所は正反対、両方に行く事は無理なのだが――あなたはどちらに行きますか？
視点→ソール・バレンタイン
今日はクリスマス、周りを見れば手を絡めるカップル達ばかりが視界に入ってくる。
「今日は楽しもうね」
可愛い服装を身に纏い、ソール・バレンタインは一緒にクリスマスを過ごす相手・紫苑 サクラに話しかける。
「うん、今日は誘ってくれてありがとう」
サクラはにっこりと笑ってソールと共に遊園地のチケットを購入して園内へと入っていった。
「「あ」」
園内に入ってソールは見知った顔を見つけて驚きで目を丸く見開く。それは相手‥‥ソールの姉であるブリジット・バレンタインも同じようで彼女の隣には若い男性も立っている。
「姉さん、何でこんな所に？」
ソールが問いかけるとブリジットはため息を吐きながら「それはこっちの台詞よ」と言葉を返してきた。
「ブリジットさん、知り合い？」
ブリジットの隣に立っている男性・扇 ミツルがソールとブリジットを交互に見比べながら問いかける。
「紹介するわね、私の弟のソールよ」
弟、という言葉にサクラもミツルも驚きで目を丸くする、
「おとうと‥‥？」
「姉さんっ」
きょとんとするサクラとは対照的にソールは慌てたような様子でブリジットに話しかけた。
「あら？ まだ言ってなかったの？」
ブリジットの言葉にため息混じりにソールは首を縦に振る。
「自己紹介が遅れたわね。私はソールの姉でブリジット・バレンタイン。こっちは扇 ミツル君よ」
ブリジットの説明にミツルが軽く頭を下げ、ソールとサクラも返すように頭を下げた。
「えぇと、僕は姉さんの弟でソール・バレンタイン。この子は紫苑 サクラさん」
サクラも頭を下げて「サクラです」と呟きながら深く頭を下げた。
「折角だから一緒に遊園地を回らない？」
ブリジットの提案に「僕はいいけど‥‥大丈夫？」とソールがサクラとミツルに問いかける。
「私は、大丈夫です。皆で回ったほうが楽しいですから」
「僕の事も気にしないでいいですよ、一緒に回りましょう」
サクラとミツル、それぞれが言葉を返し、そのまま４人は一緒に遊園地を回る事となった。
「それにしてもイギリスと日本のクリスマスはだいぶ違うのね」
アトラクションを選びながらブリジットが小さく呟く。その事はソールも思っていたようで小さく首を縦に振った。
「え？ そうなんですか？」
サクラが目を瞬かせながら問いかけると「えぇ」とブリジットは言葉を返す。
「イギリスにはお盆もお正月もないから、その分クリスマスの盛り上がりは凄いの。日本でのクリスマスといったら恋人とかが多いみたいだけど、イギリスは家族でクリスマスを祝うのよ」
へぇ、サクラは小さく呟く。自分の知らないクリスマスの事を聞くのが楽しいのだろう。
「だから、今日はミツルやサクラとも過ごせて嬉しいけどソールとクリスマスを過ごせて嬉しいわ」
「‥‥姉さん」
ブリジットの言葉が嬉しかったのか、ソールは小さく呟いた後に照れた顔を隠すように横を向いたのだった。
「他にもクリスマス・プディングとか色々違う所はあるわ、その辺はソールにでも聞いたらどうかしら」
にっこりとブリジットは笑って「ソール、ミツル、寒いから何か温かいもの買ってきてくれない？」と言葉を付け足した。
「分かりました、行きましょう、ソールさん」
ミツルの言葉にソールは首を縦に振りながら温かい飲み物を買うためにその場を離れた。
「あのさ、姉さんとの関係を聞いてもいい？」
売店まで歩く途中でソールが問いかけると「関係、ですか？」とミツルが言葉を返し、考え込むようにして「友達以上、恋人未満みたいな感じじゃないですか？」と言葉を付け足した。
「へぇ、そうなんだ‥‥？」
ソールは曖昧に言葉を返し「姉さんは良い人だよ」と呟く。
「姉さんはおっかないところもあるけど‥‥」
そこまで言った所でソールは周りを慌てて見渡す。おっかない、なんて言っている所を見られたり聞かれたりしたら何をされるか分からないからだ。
「どうしたんですか？」
ミツルが問いかけると「いや、聞かれたら怖いなって」とソールが苦笑するように呟くと「ブリジットさんは優しいから」とミツルが言葉を返した。
「うん、姉さんは時々怖いけど優しい人だから。好きな人の為には動ける人だよ」
ソールの言葉に「何でそれを僕に？」とミツルが首を傾げながら言葉を返した。
「ミツルさんは姉さんにとって好きな人に入ると思うよ」
ソールの言葉にミツルは目を丸くして「そ、そうでしょうか？」と言葉を返した。
「うん、姉さん、ミツルさんと一緒にいるときは結構優しい感じだし、綺麗だから」
ソールの言葉に「‥‥そう、だといいな」と照れたような表情を見せた。そして「あ」と思い出したようにミツルが呟く。
「そういえば、家を出た弟って‥‥」
「うん、僕だよ。家を出たのは自分の道を歩きたかったからかな？ 家や家族が嫌いなわけじゃないけど」
ソールの言葉に「‥‥幸せですね」とミツルは羨ましそうに呟く。
「さて、そろそろ買っていかないと姉さんに怒られちゃうね」
ソールがおどけたように呟くと温かい飲み物を４人分買ってブリジットたちがいる所へと戻っていったのだった。
それからソールとサクラ、ブリジットとミツルに分かれて観覧車に乗る事にした。キラキラとライトアップされたアトラクションなどを下に見て、まるで空を飛んでいるような気分にさせた。
「驚いた？ 僕が男で。別に隠してたわけじゃないんだけど‥‥」
ソールが問いかけると「驚きました」とサクラが言葉を返してくる。
「でも、そんなの関係ないんです。ソールさんは優しいし、私にとってかけがえのない人ですから」
サクラの言葉を聞いて「そっか」とソールも嬉しそうに笑う。
「僕、今日は来て良かったと思う」
「えぇ、私もです」
お互いが『来て良かった』と思えるような思い出深い一日に出来た事を感謝する。
それから観覧車は一周して、ブリジットたちとも別れる。
「姉さん達もまだ何処か行くのかな？ サクラはどうする？」
ソールの問いかけに「うーん、どうしましょう」と曖昧に言葉を返すとソールは名案を思いついたように「そうだ」と呟く。
「僕の部屋に泊まらない？」
「えっ！？」
ソールが男性だと聞かされて、関係ないと思っていたサクラだったけれどやっぱり意識してしまうわけでサクラは顔を赤く染める。
「あ、もし嫌だったら構わないんだけど‥‥ケーキとか家にあるから一緒に食べない？」
ソールの言葉にあまり深い意味はなかったらしくサクラはさらに顔を赤く染めながら首を縦に振り、サクラとソールは互いに手を繋いでソールの家へと向かったのだった。
ＥＮＤ
―― 登場人物 ――
7833/ソール・バレンタイン/24歳/男性/ニューハーフ／魔法少女？
8025/ブリジット・バレンタイン/３２歳/女性/警備会社社長・バレンタイン家次期当主
※特別出演※
扇 ミツル&紫苑 サクラ
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ソール・バレンタイン様＞
こんにちは、いつもご発注をありがとうございます。
今回はお姉様との共演＆絆ＮＰＣ２人とのご希望と言う事で合計４人を描写させていただきました。
内容の方はいかがだったでしょうか？
少しでも面白かったと思ってくださると嬉しいです。
それでは、書かせて頂き、ありがとうございました！
2009/12/21
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