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<東京怪談ノベル(シングル)>


ちょっとだけ素直に



 理想と現実。
 一瞬から永遠まで。なりたい自分と現実の自分との落差に、人は悩まされるらしい。
 苦悩するのは大人の特権ではないから、中学生のあたしにも悩みはある。

(どうしてすぐ相手に譲っちゃうのかな……)
(ううん、譲るっていうより、これじゃあただの言いなりみたい……)
 黙々と昼休み前の掃除をしながら、あたしは自分自身に文句を言った。

「今日は渡り廊下担当かー。じゃ、海原よろしく!」
「え……。でも、掃除は班全員で――」
「女子は今日海原しか来てないからなー。ま、適当にやってくれたらいいんじゃね? 俺らサッカーしてるんで!」
「そんな……」
 言い終わらないうちに、男の子たちはバタバタと教室から出て行った。
 それだけでも嫌だったのに、その中の一人が去り際にこう言った。笑い声と一緒に。

「いやー、海原サンと同じ班だと助かるよー」

 掃除を終えた今でも悲しくなる言葉だった。
 前のような苛めはないけど、あたしは人に意見を譲ってしまうから―― 一部の男の子たちからは「面倒なことを押し付ければ、全部やってくれる、都合の良い存在」と思われているんだろう。
 ……心がズキズキする。
 あたしは聖人じゃないし、便利屋ロボットでもない。怒ることだってあるし、不愉快に感じることだってある。今みたいに悲しくなることも。
(なのに、言えないんだよね……)

(こんなこと言ったら、相手はどう思うんだろう)
(相手を傷つけてしまうかも)
(あたしにも原因はないのかな)
(あたしがちょっとだけ我慢すれば――)

 ……いつもループしてしまうあたしの思考。どこまで相手に求めていいのか、線引きがわからなくなる。
 だから結局全て自分でやってしまう。
 今日の掃除もそうだ。やろうとすれば、男の子たちを追いかけて行って言い返す方法もあったし、掃除当番じゃない友達に頼んで手伝ってもらうことだって出来た筈だ。だけどあたしはそのどちらもしないで――ううん、出来ないで―― 一人で掃除をして教室に戻ったのだった。

 生徒さんから遅い年賀状をもらったのは、こんなときだった。


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 とっくに明けまして、おめでとうございます。
 みなもちゃんから学校宛に届いた年賀状、みんなで回し読みしました。凄く嬉しかったです。
 なのに、返事が遅くなってごめんなさい。冬休みに出されたメイクの課題が終わらなくて、バタバタしてました。やっと先生からOKをもらえて、みんなホッとしているところです。
 学校も始まってますが、みなもちゃんはどうしていますか? 風邪ひいていませんか?
 私たちはちょっぴりみなもちゃんが恋しくなっています(ホントだよ)
 みなもちゃんさえ良ければ、暇なときでいいので、いつものアルバイトをしに来てくれませんか?
 今回はみなもちゃんのなりたい動物にしようと思います。いつも「何のメイクをさせられるか」とドキドキビクビクしているみなもちゃんへの、サービスです。裏はありません、ホントです(笑)。信じてね。
 もしOKなら、×××-××××-××××まで電話をください。
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 絵なんて皆無。手書きの小さな文字がびっしりと書かれた“らしくない”年賀状で、くすくす笑ってしまった。
(話すのと手紙では結構雰囲気が違うのね)
 新たな発見で、ちょっと楽しい。
 それに、文字の上からでも生徒さんたちがワクワクしているのがわかる。年賀状から送り手の気持ちが透けて見えてくるのだ。
(恋しい、なんて生徒さんったら大げさなんだから。もう)
 まだくすくす笑いがおさまらないうちに受話器を取った。何の動物さんをリクエストするかについては不思議なくらい悩まなかった。瞬時に思いついて、且つ今の自分が求める理想にピッタリの動物さんがいたからだ。

「虎さんがいいです。堂々とした虎さんが」
 生徒さんはちょっと驚いたようだったけど、笑って承諾してくれた。
「そうね。ちょうど今年の干支だしね」
 電話を切ると、机に置いた小さな卓上カレンダーに印をつけた。アルバイトだとわかるなら何でも良いんだけど、恋しいという生徒さんの冗談を思い出して、あたしは笑いながらハートマークを描いた。蛍光ピンクで、ちっちゃく。


 アルバイト当日。一月にしては暖かく、空は透明感のある青さで気持ちが良い。
 最寄り駅に着いてすぐ、生徒さんたちから声をかけられた。
「明けましておめでとう。迎えに来ちゃった!」
「明けましておめでとうございます。わざわざすみません」
 通りすがりの人が驚いた顔をしてこちらを振り返った。今頃新年の挨拶を交わす人は珍しいからだろう。あたしと生徒さんたちはちょっと恥ずかしくなって肩をすくめた。
「じゃ、さっさと学校に戻ってメイクしちゃおっか!」
「ですね!」
「あら、今日はいつもと違って怯えてないのね?」
「お、怯えるって! それは生徒さんが……!」
「ふふっ。でも涙目のみなもちゃんも素敵だからね。プルプルと震える、生まれたての子羊のようで。あのみなもちゃんを見ると、私たちは母羊の気分になってゾクゾクしちゃう……」
 生徒さん、ウットリした目をしているけど……。
 お母さん羊さんなら、過去の色々なあんなことやそんなことなんてしませんっ。
 ゾクゾクもしませんっ。それは生徒さんだからです!
 そんな生徒さんたちとの会話を弾ませているうちに――というか、“訂正”をしているうちに、いつもの教室にたどり着いた。
「脱っがしちゃお、脱っがしっちゃお♪」
「な……! 変な歌作らないでくださいっ」
 外そうとしていたマフラーに顔をうずめるあたし。慌てた表情を生徒さんに見られたくないんだもの。
「ごめんごめん。デリカシーがなかったわね」
 あっさりと引き下がる生徒さん。そして、まぁまぁお茶でも、とすすめてくれる。
(どうしたのかなあ。生徒さんったら、妙に優しい……)
 お湯を入れると花びらの開くお茶で、見た目も凄く可愛らしい。飲むのが勿体無いくらい。
 あたしがカップに口つけるのを、微笑みながら眺めている生徒さん。あたしたちは窓の近くに並んで座っていて、生徒さんの顔が近くにある。
 そういえば、とあたしは思う。
(いつもはメイクのときか、緊張しているときばっかりで、生徒さんの顔を間近で眺めたことってなかったなあ……)
(こうして見ると、あたしよりお姉さんなんだなあ……)
(生徒さんから見ると、あたしはどう映っているんだろう……)
(こんなに顔が近いと、生徒さんからもあたしの顔がよく見えるんだろうな……。青い瞳も、鼻筋も、膨らんだ唇も……)
 数秒間の沈黙。
(な、何だか、変な感じ)
 意識したせいか、恥ずかしくなってくる。顔を見ていることも、見られていることも。生徒さんの表情も、微笑みから真剣そうな眼差しへと変わってきて……。
(ああ、もう……)
 何か言って場を和ませたいけど、あたしには全然言葉が浮かばない。
 生徒さんから、何か言って欲しい。何でもいいから。
(お願いです、何か、何か……)
 あたしの祈りが通じたのか、生徒さんがおもむろに口を開いた。
「そろそろ……脱がしてもいい……?」
「…………………」
 あたしはマフラーの代わりに両手で顔を覆った。生徒さんは気を使ってくれたのかもしれない。それで真面目に言ってくれたのかもしれない。だけど歌の方がマシでした……!

 おずおずと自分で服を脱ぐと、既に何回か試している新素材を身体に塗られた。あのベタベタしたやつだ。
「これ、毎回思うんですけど凄い粘着力ですよね」
「そうねえ、これくらいじゃないと上からつける素材が取れちゃいそうだからね」
 気を抜くと身体と身体もくっちゃいそう。だけどそうならないのは、生徒さんたちがあたしの身体の向きや姿勢を正してくれるからだ。
 そして粘土系素材をつける。これもおなじみの――と言いたいけど、今までとちょっと違うところがある。色が白なのだ。
「どうして白なんですか?」
「ふふ。まだ内緒よ」
 この素材を三箇所につける。
 まずは顔と頭につける耳。これは当然。だって人の顔の形では長すぎるものね。粘土系素材で肉付きを良くしなければならない。
 次はお腹の部分。これも納得。虎さんはカバさんやクマさんに比べればずっとシャープな体型だけど、お腹には少しばかりつけておかないとね。
 ただこのメイクのためには四つ這いになった方が、生徒さん曰くバランスを確認するのに便利らしく――。
(あたしからお願いした動物さんですから)
 それに理にかなっていることだし、と自分を慰めて。
 でもメイク前でのこの体勢、全然慣れないなあ。
 そして三つ目は、何と首。これはあたしには意外だった。
「虎は意外と首が太い動物なのよ。それに太くすれば短く見えるでしょう? ライオンの首より虎の方が短くて太いのよ」
「そうなんですか?」
「それに顔を大きくさせたからね。顔と身体を見比べながら、バランス良く見えるようにしないと」
「だから最後に持ってきたんですね」
 あたしと会話しながらも、生徒さんたちの手は止まらない。首に素材をつけられるのはくすぐったいんだけど、目をぎゅうっと瞑って耐えた。
 ……くすくす。

「ここで植毛ですか?」
「あっまーい。こちらが先よん」
 と生徒さんたちが手に持っているのは、刷毛と塗料。黄色と白がある。
(あ、そっかあ。今まで粘土系素材は毛と同じ色に合わせていたから……)
「植毛の前に、土台の段階で縞模様を作っておかないとね」
 最初に粘土素材以外の肌を白く塗って行く。
 首なんかよりも数段くすぐったい!
 ポタポタと塗料が肌にかけられるときはいいけど、そこを刷毛で撫でられると――。
 ビクンっと身体が動いてしまう。
「みなもちゃん、悪い子ねえ」
「ごめんなさい……身体が勝手に……」
「そう? それじゃあこうしましょうね」
 仰向けに台の上に寝かされて、手足を生徒さんたちの手で固定される。そして手首から腋まで刷毛が歩いていく。腋の下を何度も往復して……。
「……ッ」
「腋は刷毛だと我慢出来ない? じゃあ、こうしましょうか」
 トプン。
 生徒さんは自分の手を塗料に浸したみたいだ。血の通った温かい指があたしの腋をこすっていく。くすぐったいような、心地良いような……。
「これなら大丈夫なの? 良い子ね」
 ……褒められているのに、赤面してしまう。
 白の次は黄色だ。模様が綺麗に見えるよう、塗りこぼしがないように丁寧に塗られていく。
 絵を描かれるキャンバスになったみたいだ。身をよじりたくても身体を開かされる、白いキャンバスに。
 そして植毛されて、さらに色を塗られる。だけど肌を撫でられるのとは違って、自分の身体よりずっと遠くで触られているようだ。
 生徒さんに触られても、その温かさはわからない。身体は毛で覆われて暖かいけど、生徒さんの身体が遠くに感じられて、一抹の寂しさを感じる。

 虎さんは、アイテムが面白い。
 ……何て言うとちょっとおかしく聞こえるけど、子供の喜びそうな素材が並ぶのだ。
(だってね、まずヒゲがあるでしょ。猫みたいに、ピンと張りながらも触るとクイっと曲がる可愛いヒゲが)
(それから、いかにも獣らしい歯。牙のところなんて、男の子が好きそう!)
(長めのシッポも可愛いし。猫さんよりはゴワゴワしているのね)
 そして何より、肉球&爪!
「みなもちゃん、この肉球ちょっと触ってみて」
 むに。むにむに。
「あ、つぶすと爪が出てくるんですね」
「それだけじゃないの。肉球をつぶした状態で、床にこすってみて」
「?」
 首を傾げながらも、生徒さんの言うとおりにして……びっくり!
 爪がさらに出てきた! 床に当たってギイイイイと音を立てるくらい。
「面白いでしょう? 虎は爪痕をつけて縄張りを主張したりするし、猫科の動物としては必要よね。だけど、肉球をつぶしただけで爪がそこまで出ちゃうと、歩くときにつっかかっちゃうわよね。みなもちゃんは慣れていないんだから」
 生徒さんの説明を聞いて、胸がジンとした。あたしが転ばないように、生徒さんは気を配ってくれたんだ。
「けど、微調整した方がいいから、研ぎましょうね」
「はい」
 ぺこり、と頭を下げるあたし。
 当然のことなんだからお礼なんて言わないでいいのよ、と生徒さん。
(ううん、感謝することだって、当たり前のことだもん)
 一回きりのメイクでも、小さな事柄の中に気配りや愛情が入っているんだと実感する。
 それは凄く嬉しいことだから。
 生徒さんは静かにあたしの手を――というか肉球を取って、爪を研いでくれる。
「今日の生徒さんの指、あったかいんですね」
「……くす」
 感想を言っただけなのに、生徒さんは照れたように笑った。
 ……牙をつけるときは、あたしが照れる番。だって、歯医者さんのときもそうだけど、口を思い切り開くのってちょっと恥ずかしい。
 今回はギミックを噛ませなくていいので、口を動かすのはとても楽。牙が出ちゃうけどね。
「あ、い、う、え、お」
 うん、話すのも簡単。噛み合せが変わるから、口の中がスースーするけど……。
 牙のときとは逆に、ヒゲをつけるときには誇らしい気分になった。
 ピン!
 と張ったヒゲって、素敵だものね。ヒゲは身体のバランスを取るのに重要な器官だっていうけど、見た目も良いなあ。
 最後にシッポを付けてもらって、と。虎さんの完成!


「ええと、これから何をしますか?」
 四つ這いになったあたしは、顔を上げて生徒さんに尋ねた。
「ふふ、言ったでしょう? 今日はサービスデーなの。みなもちゃんの好きにしていいのよ」
「あたしの好きに……ですか?」
「そうそう。何がしたい?」
「えっと、えっと……。階段からジャンプしてみたいです! 良いですか?」
「もっちろん!」
 教室を出て階段を四段のぼって、そこからジャンプすることにした。これくらいなら、失敗しても問題ないから。
 腰を出来るだけ上げて、頭は下げて……。身体をバネのようにして、勢いをつけて飛び降りる。
 ――スタン!
 小気味良い音と共に、あたしは無事廊下に着地した。
 肉球は衝撃を殆ど飲み込んでくれて、身体がグラつかずに済んだ。爪も邪魔にならない。強いて言えば、シッポがお尻に跳ねて当たり、気になったくらい。
「みなもちゃん、十点満点のジャンプだったわ! 気分はどう?」
「最高です! 生徒さんたちのお陰です!」
 歯、もとい牙を見せて喜ぶあたし。
「でも……」
「どうしたの? みなもちゃん、何か不満があるなら正直に言って?」
「……生徒さんたちの顔が見え辛いのが、寂しいです」
 くす、と上から忍び笑いが降りてきた。
「そういうときはね、猫科の動物なら甘えちゃいましょうね。ほら、おいで……」
 生徒さんは階段の一段目に座ると、両腕を優しく広げてくれた。
 あたしは一瞬迷ったけど――、
「……にゃ……ぁ」
 か細い声を出して、四つ這いのまま生徒さんの膝の上に身体を預けた。
 視界が生徒さんでいっぱいになって映らなくなる。頭と肉球は生徒さんの胸に抱かれる。柔らかくて温かい。肉球よりもむにむにする。毛を間に挟んだままなのに、生徒さんがずっと近くに感じられて――。
 途端、あたしは離れた。長い時間こんなことしたら、生徒さんは迷惑かもしれない。
「あ、あの。お腹が空いちゃって……。ご飯にしたいです……」
 嘘だった。
 だけど、仕方ないじゃない……。

 お昼ご飯には豚足をもらった。獲物に似たものを、ということらしい。
 お皿に置かれた豚足を両手で押さえ、口をつけた。
 まず残っている毛を取らなければならない。
 歯で表面を掴むと、口を思い切りひねることで千切り取る。これがなかなか器用に出来ない。
 何回も、何回もやる。
 息が上がりそうになったところで、何とか毛を取り除けた。
 こうなると後は単純。貪れば良いのだから。
 四つ這いで皿に口をつけることが恥ずかしいのを除けば、楽しい食事だった。自然と野獣らしい唸り声も出る程に。
「おかわり欲しい?」
「ガルル……」
「はい、どうぞ」
 さして空腹じゃなかったのに、おかわりを二回したのだった。

 食後の運動には、校舎を走ることにした。廊下を突っ切り、階段を飛び越え、また下り、そして再び走る。
 ぴとぴと、と肉球の感触が面白い。
 だけどシッポは凄くうざったいことがわかった。自分の意志で動かせないから、走ったりジャンプする度に、ぺちぺちとお尻と後ろ足に当たるのだ。
 ぴとぴと とほぼ同時に ぺちぺち なのだ。ぴとぴと、ぺちぺち。ぴとぺちぴとぺち。
 特にジャンプのときが嫌だ。勢い良く、ぺちんとなるから、かちんと来る。

 そして不満はもうひとつあった。
「よしよし、良い子ね……」
 そう言って、生徒さんはあたしの頭から背中を撫でてくれるけど。
(遠くて、寂しい)
 殆ど感覚が伝わってこないのだ。何となく、触られているのはわかるけど……。
(やっぱり、あのときもうちょっと甘えていたら良かった)
 後悔したって仕方ないのに。

 ふと見上げると、生徒さんがビデオカメラを持っていることに気づいた。
「ああ、これね。みなもちゃんのお父様に送ろうと思って」
「ぎにゃ?! フシャー!」
 あたしのヒトなんだか虎さんなんだかわからない反応にも生徒さんは動じない。
「いいじゃないの。どうして嫌なの? ご両親はお仕事で忙しいんでしょう? きっとみなもちゃんの様子を知りたがっているわよ」
 そう言って、あたしの頭を撫でてくる。
「ジャンプしたときのみなもちゃん、凄く楽しそうでキラキラしてたわよ。素敵でしょう?」
「…………」
「いつも思ってることだけど、みなもちゃんはもうちょっと、自分を出してみて良いのよ。お父様だって、私たちだって、それでみなもちゃんを嫌いになったりしないわ。だってみなもちゃんのこと大好きなんだもの」
「…………」
「虎になって嫌だった?」
 あたしは首を横に振る。
「ね。じゃあ素直になりましょう?」
 生徒さんは三脚を立てて機材をセットすると、階段に座り――両腕を広げた。あたしを包み込むような微笑で。
「みなもちゃん、おいで」
「……にゃ……ぁ」
 あたしは小さく……本当に小さく鳴くと、生徒さんに向かって前足を踏み出した。



終。