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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


ボマー

 その男が沈黙を破る時、爆発する。
 こんな一文がゴーストネットOFFに書き込まれていた。
 これはここ最近ニュースで騒がれている『サイレントボマー』の事を言っているのだろう。
 1日に何件も爆発が起きて、既に死者は10名を越えている。その犠牲者の中に警官も存在しており、彼が最後に残した言葉が先ほどの一文だった。
「その男が沈黙を破る時、爆発する」
 これが一体何を指し示しているのか犠牲となった警官から連絡を貰った同僚は知る事が出来なかった、その言葉を残した数秒後に彼は死んでしまったのだから。
 その警官が残した言葉を用いて、マスコミは一連の爆発犯人を『サイレントボマー』と名づけていた。

 お前らに俺が捕まえられるか?

 これは先ほど警官が残した言葉の後に書き込まれた発言、発言だけを見ると『サイレントボマー』のような気がするけれどネットの中では『なりきり』も多い。

 これから1時間後にビルを爆破する、それから3時間後に学校を爆破する――止められるものならやってみろ。

 この発言からちょうど1時間後に『サイレントボマー』の爆破は実行された。
 そして3時間後の爆破を止める為、様々な人間達が動き始めたのだった。

視点→ルナ・バレンタイン

 この日、ルナ・バレンタインはSHIZUKUと一緒にネットカフェで時間を潰していた。
「そういえば、最近『サイレントボマー』っていうのが有名だよね」
 SHIZUKUの言葉に「ふぅん、サイレントボマーか‥‥」と曖昧に言葉を返した時だった。
『お前らに俺が捕まえられるか?』
 そんな読む相手を馬鹿にするような挑戦的な記事を見つけたのは。
「あれ‥‥」
 ルナは『サイレントボマー』が爆破すると予告している学校の名前を見て驚きに目を見開く。
「あれ? この学校って神聖都学園じゃない! ‥‥冗談じゃないわ」
 パソコンの前でルナは唇をぎりっと噛み締めながら呟く。
「このサイレントボマーってのが何を考えているか知らないけど、ただの人殺しじゃない!」
 ルナは怒りに満ちた表情で叫ぶように少し大きめの声で呟き、携帯電話を取り出す。
「もしもし、ミネルバ?」
 ルナが電話をしたのは幼馴染であり、親友でもあるミネルバ・キャリントンだった。い、間の時間ならばきっと作家としての仕事をしているであろうがルナはミネルバに相談するしかなかったのだ。
「どうしたの、ルナ‥‥そんなに慌てて。何かあった?」
 電話の向こうからはいまだ状況を把握できていないミネルバが言葉を返すと、ルナは今の状況をミネルバに説明する。
 サイレントボマーを名乗る者が神聖都学園を爆破しようとしている事、そして挑戦的な記事を残している事。
「そういう事が起きてるの、分かったわ。少し調べてみるからあなたはヘリで私の家まで来てくれる? ルナが来る頃には準備とか出来ていると思うから」
 ミネルバの言葉に「分かったわ」とルナは言葉を返し、携帯電話を切る。そして「頑張ってねー」と手をひらひらとさせながらルナを見送ったのだった。

「もしもし、お姉様? 私、ルナ。実は少し厄介な事件が起きててお姉様の力を借りたいんだけど‥‥学校が爆破予告の場所になってて私とミネルバが行く前に生徒や教員達を避難させていて欲しいのよ」
 ルナは警備会社の社長を務める姉に電話をして学園関係者を全て避難させていて欲しいと頼み込む。学園が爆破される前に犯人を突きとめて爆破を止めさせるつもりだが、万が一間に合わなかった時の為の保険だ。
 電話を終えた後、ミネルバの住む場所の屋上へと向かう。恐らくヘリで、というところを見れば犯人探しの前にどこかへと寄るつもりなのだろう。

 それから数十分が経過した頃、ミネルバが住む場所の屋上が見えてきて、着陸し、ミネルバをヘリへと乗せる。
「とりあえず、米軍基地に向かってくれる? その後は神聖都学園に向かいましょ」
 ルナはミネルバの言葉に「分かったわ」と言葉を返し、米軍基地へと向かい始める。
 その後、米軍基地へと赴き、電話で話していたものを貸し出してもらい、ルナとミネルバは『サイレントボマー』の凶行を止めるべく動き始める。貸し出してくれた大尉にはお礼としてミネルバとルナがキスを送っていたけれど、大尉は顔を赤くして「は、早く行って下さい」と言葉を返していた。

「お姉様に頼んで学園関係者は皆避難させてもらったのよ」
 シンとした学園を見ながらルナが呟く。確かに一般人が残っていれば作業などにも手間取るし、万が一の時に犠牲者が出る――それを考えてルナは避難させていたのだろう。
「まずは爆弾が本当に仕掛けられているかどうかよね――「何で人がいないんだ」――?!」
 突然聞こえた見知らぬ声にルナとミネルバは勢いよく後ろを振り返る。するとミネルバは今回の事を調べていた時に見つけていた怪しげな黒コートの人物がルナとミネルバを睨みつけながらゆっくりと近づいてくる。
「あなたが‥‥サイレントボマー? 何でこんな事をするの? 爆弾は何処」
 ミネルバが男を刺激しないように話し掛けると「世界は堕落していると思わないか」と男は言葉を返してくる。
「世界は腐りきってしまった、だから一度全てを無に帰してやり直す必要があるんだよ」
 にぃ、と男は呟き体育館を指し示す。
「あそこにはここいら一帯を吹き飛ばすだけの爆弾がある――お前らに止めることは出来ないよ、ここで死ぬんだからなぁ!」 
 言い終わると同時に男が2人へと襲い掛かってくる。
「ミネルバ! ここは私が引き止めるわ、だからミネルバは爆弾を!」
「分かったわ」
 ミネルバは言葉を返してルナと男の横をすり抜けて体育館へと向かう――が。
「させるか!」
「あなたの相手は私よ」
 ミネルバに殴りかかろうとした男をルナが止め、その隙にミネルバは爆弾を処理すべく体育館へと向かっていった。
「何で邪魔をする! 今の世の中は腐った奴らばかりだ!」
「だからといって、あんたが罰を与えていい権利はないのよ。ましてや学生というまだ子供達を狙うような卑怯者、あんたの言う『腐った奴ら』とどう違うのか聞かせてもらいたいわね」
 ミネルバが置いていったゴム弾入りのアサルトライフルで攻撃を仕掛けながらルナは言葉を返した。
「自分で何かを変えようともしない、ただ壊せばいいと考えているあんたには何も変える事は出来ないのよ」
「うるさいうるさいうるさぁい! 何で邪魔をするんだ、何で何で何で!」
「それはあんたが間違っているからよ、嘆くだけで何もしない――最低だわ」
 ルナは呟きながら男を気絶させる、元々の力量が違うのだ。ルナは男を気絶させるくらいの事など造作もない。
 男を気絶させた後、目を覚ましたときにまた暴れださないように資材室にあったロープでぐるぐるに巻く。
「終わったみたいね、爆弾はヘリの中に積んでおいたわ。あとは海に捨てて帰りましょ」
 ミネルバが腰に手を当てながらルナに話し掛ける。
「そうね、警察に電話してこの人も引き取ってもらえばいいし。結構強く当てたから簡単には目を覚まさないでしょうし」
 ルナは言葉を返して『この人がサイレントボマーです』という書置きを残して、ヘリが停めてある屋上へと向かった。

 それから海へと爆弾を捨てた後に米軍基地へと戻って借りたものを返した後、それぞれお帰路についたのだった。

END


―― 登場人物 ――

7844/ミネルバ・キャリントン/27歳/女性/作家/風俗嬢

7873/ルナ・バレンタイン/27歳/女性/元パイロット/留学生/キャットファイター

――――――――――
ルナ・バレンタイン様>

こんにちは、今回執筆させていただきました水貴です。
今回はご発注いただき、ありがとうございました。
ミネルバ・キャリントン様との共演という事で書かせて頂きました。
内容の方はいかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでくださるものに仕上がっていれば幸いです。

それでは、今回は書かせて頂きありがとうございました!

2010/2/14