コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ノベル(シングル)>


強さと同時に離れゆくもの

「よし、今日も行ってみよう」
 海原・みなもはパソコンを立ち上げて『LOST』にログインする。
 此処最近はずっとパソコンと睨めっこをする事が多くなったなぁ、と思いながら自身の分身でもあるみなものレベルを上げる為にフィールドを歩く事にした。
 このLOSTではフィールドを歩く事によってモンスターと遭遇したり他のプレイヤーと戦ったりする事も出来る。
 その中でみなもは主に初心者や素人プレイヤーが集まるとされているフィールドへと移動する。流石に今の状況で上級プレイヤーと戦って勝てる自信はまだなかった。
 だから自分と同じくらい、もしくは自分より下のレベルのキャラクター達が集まるフィールドを選んだのだ。
「‥‥意外と集まってるんですね」
 画面が暗転し、森のフィールド画面が表示されるとそこには大勢のキャラクターが表示されている。
「えぇと、森のフィールドでは‥‥あ、このモンスター、今いる」
 パソコンの攻略サイトを見ながフィールドを見渡すと、お金を多く落とす珍しいモンスターが記されており、幸いにも今現在表示されているモンスターの中に見つける事が出来た。みなもはモンスターと接触して戦闘画面へと移行させ、戦闘を開始する。
「獣毛――発動‥‥っ」
 みなもは戦闘開始直後、武闘術師専用スキルである『気孔術・獣』から獣の毛を全身に纏い、防御力を上昇させるスキルを使用する。青い髪が靡き、それと同時にまるで人型の獣にでもなったかのようにみなもの身体を輝くような獣毛が纏う。それは恐怖と言うよりも神秘的な何かを見ているような感覚だった。
 みなもが『獣毛』を使用した直後にモンスターが攻撃を仕掛けてきたけれど、防御力を上昇させていた為に予想していた程のダメージを受ける事は無かった。
「‥‥ふぅ」
 みなもは小さく呟き、ぐぐ、と上半身を屈めて『四足獣』化を行う。これ機動性を高めるスキルであり、四足獣化した事によってみなもの姿は限りなく獣に近い姿となった。ひゅん、と音がするほどに素早くなったみなもはその素早さでモンスターを翻弄しつつ、空中で身体を回転させながら攻撃を仕掛ける。その際に『獣の牙』を使用して、攻撃力を高め、生やした尻尾による追撃もあり、モンスターは連続で攻撃を受けていた。
「えぇっと、次は‥‥獣の勘、と」
 呟きながらみなもに『獣の勘』を使用させて確率発動の自動回避を行う。そして次は『獣の爪』を使用して再び攻撃力を上昇させた後、モンスターに攻撃を仕掛けて退治する事が出来たのだった。
「あ、本当だ。貰えるお金はいつもの3倍ですね」
 戦いに勝利した事によって表示された経験値と取得金額を見て海原は呟く。このモンスターを何回かやっつける事が出来れば新しく武器を買い換えられるかも、と言葉をつけたし海原はみなもを操作してフィールドを歩く。
「あ、プレイヤー同士の戦いも出来るんだ‥‥」
 攻略サイトを見ながら海原が呟くとパソコン画面に『戦闘開始!』という文字が表示された。どうやら他のプレイヤーがみなもに戦いを挑んできたようで、戦闘画面に移行した後、表示されている敵がモンスターではなくキャラクターだった。
「えぇっと、プレイヤー同士の戦いに勝利した場合は相手の持ち物から1つだけを戦利品として奪う事が出来る――ただし、重要アイテムは奪う事が出来ない、ですか」
 相手のレベルを見ればみなもと同じレベルで魔法使いタイプのキャラクター。魔法使いタイプは打たれ弱いという弱点もあり、魔法の威力が強いという強みもある。
 だが、みなもにも素早さという利点があるのでこの勝負はどちらが勝つかなど現時点では予測不能だった。
「よし、先ずは何事も経験ですよね」
 海原は呟きながら先ほどモンスターと戦った時のように『四足獣』化して機動力を高める。最初は『獣毛』を使用しようかと思っていたけれど、あのスキルは物理攻撃メインに防御を行うもので、魔法攻撃の場合はあまり意味を成さないのだ。
「わ、結構ダメージ受けるかも‥‥」
 みなもが機動力上昇させた後、相手が魔法で攻撃してきたが予想以上のダメージにみなもは少し驚く。
 そしてみなもは『獣の爪』を使用した後に攻撃を仕掛けるとクリティカルヒットを与えたのか相手のヒットポイントメーターが一気に減少する。これならばあと一撃で倒せるだろう、と考え再び攻撃を与える。だがその前に相手からの攻撃を受け、みなもも危ない状態になっていた。
 結局、戦闘はみなもの勝利で終わったのだが素早さという利点がなければ少し危なかったかも――と思い、魔法攻撃に対して防御力を上昇させるスキルを覚えなくちゃ、と心の中で呟いたのだった。
「あ、このアイテム結構良いですね」
 相手からの戦利品を選ぶ中、1つのアイテムに目が留まる。そのアイテムは『獣のお守り』というアクセサリーで装備すれば素早さが上昇すると言うものだった。
「よし、この獣のお守りを貰いましょう」
 カーソルを合わせてクリックすると『獣のお守りを入手しました』という文字が表示され、みなものアイテムが1つ増える。
「色々と装備品やアクセサリーを揃えて、戦いにも慣れておかなくちゃ‥‥」
 海原は小さく呟き、再びフィールドを歩き始めるのだった。



END


―― 登場人物 ――

1252/海原・みなも/13歳/女性/女学生

――――――――――

海原・みなも様>
こんにちは、いつもご発注いただきありがとうございます!
今回もLOST内を舞台にしたシチュノベでしたが、内容はいかがだったでしょうか?
気に入って頂けるノベルに仕上がっていれば良いのですが‥‥!

それでは、今回は書かせていただきありがとうございました!

2010/5/1