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<東京怪談ノベル(シングル)>


暗殺指令 ミッション03
 自衛隊、《特務統合機動課》
 自衛隊の中に非公式に設立された暗殺、情報収集等の特別任務を目的にした特殊部隊である。魑魅魍魎の類のせん滅も重要な任務としている。
 その特務統合機動課に所属する戦士が一人水嶋・琴美(みずしま・ことみ)19歳。
 代々忍者の血を引き継いだ家系の生まれで、現代の世でもくの一としてのクナイを主要武器として扱うプロフェッショナルである。
 はちきれんばかりのバストとくびれたウェスト、形の良いヒップ。その豊満な肉体から発する隠しきれない艶やかさは数多くの男を魅了する。
 危険な任務に従事しながらもこれまで数々の任務を完璧にこなしておりその体には傷が一切なかった。今回は違うが……
 その琴美は今指令を受けIO2の施設に潜入し鬼鮫(おにざめ)と呼ばれる暗殺対象と対峙していた。
「何だって俺みたいな善良な人間が暗殺されなきゃならないかなっ!」
 鬼鮫の剣戟が冷酷に琴美を襲う。
「ふざけないで下さい。この超常能力者殺害常習犯!」
 琴美はダメージを受けた体で剣戟をかわしながらここぞとばかりにクナイを飛ばす。
 するとそのクナイは鬼鮫の体に命中しダメージを与えるのだが、トロールのジーンキャリアとしての鬼鮫の能力が、その傷を瞬く間に回復させる。
「くっ……」
「無駄なんだよ!」
 鬼鮫の刀があまりの速さに三方向から同時に襲ってくるように見える。
 琴美はそれを見きってかわすが戦闘服用に改造された最先端技術で作られた着物が切られて胸があらわになる。
「ひゅー。いいおっぱいだなぁ」
「下衆……」
 口笛を吹く鬼鮫に琴美は嫌悪の表情を見せる。
「さて、そろそろ本気で行くぜ!」
「今までが遊びだったとでも!?」
 その言葉通り鬼鮫の剣戟は鋭さが増し、琴美は腕に、胸に、腹に、脚に、浅いながらも傷を作る。
「痛むだろう? 痛めば動きは鈍くなる!」
 残虐な笑いの鬼鮫の一刀が琴美の心臓を狙って突いてくる。
 が、琴美も二本のクナイでそれを受け止めると鬼鮫の体を蹴って間合いをとった。
「やるな!」
 鬼鮫は心の底から琴美をほめるが、それで琴美が嬉しいはずもない。
「せやっ!」
 鬼鮫の刀が琴美の肩に向かって襲いかかる。琴美は体をひねってそれをかわそうとするがかわし切れず肩に大きな裂傷を作る。
「きゃあ!」
 左肩が上がらない。
 休む間もなく今度は右肩。神速の一撃が琴美を襲う。
「くっ!」
 これも命中。右肩も上がらなくなる。
「無様だなあ。その程度の実力で俺を暗殺に来るだなんて、笑わせる。
 悪いことは言わねえ、今のうちに降伏しな。そうすれば命だけは助けてやるよ」
 自分を暗殺に来たのにも拘らず返り討ちにあい、無様な姿を晒している琴美に怒りを保ちながらも、琴美を馬鹿にするような言動を見せつける。
「誰が、降伏など……」
 琴美が苦しさを隠しながら抵抗すると、鬼鮫は笑った。
「素直じゃないお嬢ちゃんだなぁ……」
 剣戟。スカートが切れてスパッツがあらわになる。
「色っぽいねえ……」
「あなたに言われても、嬉しくありませんわ」
「そうかい。今にヒイヒイ言わせてやんよ!」
 ブーツと一緒に足の腱が切れる。
「っくぅ……」
 琴美は立ち上がるが、立ち上がるのがやっとだ。
 素足に血を流しながら琴美は立ち上がりクナイを投げつける。
 鬼鮫はあえてそれを受けると、超回復で回復してみせる。
「くっ……」
 絶望が琴美の目の前に広がる。
 これはもう、完璧に組織のミスだった。
 暗殺対象の能力も見極めず暗殺指令を出すのだから。
 鬼鮫はゆっくり歩いて琴美を捕まえると両腕を掴み上げて強烈なボディーブローを琴美に加える。
「ぐうっ……」
「無様だなぁ……無様だ。あまりにも無様すぎて涙が出る」
 鬼鮫は嘲笑うようにそう言うと琴美の上着を引き裂いた。たわわな乳房が完全に外気に触れる。
「さあ、どこの組織のまわしもんだ? 言えよ」
 琴美の胸を揉みしだきながら鬼鮫は舌舐めずりするように言う。
「だれが……下衆」
 琴美は鬼鮫の顔に血混じりの唾を吐き捨てる。
 鬼鮫はそれを拭うと、ニヤリと笑った。
「そうか、そんなに痛い目にあいたいか」
 鬼鮫は日本刀を取り出すと、琴美の胸から腹にかけての皮膚を薄く割いた。
「ひいいいいいいいいいいいっ!」
 皮と神経しか切っていないがその分痛い。
 それを何回か繰り返す。
 琴美の艶やかな肢体は血まみれになっていた……


 続く