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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


[ Gate ]

「――――……これは、そっちの編集部で何とかする問題じゃないのか?」
 正月明けの草間興信所、しばらくの間武彦と零は年を跨いでの大掃除に明け暮れていた。そうして、ようやく落ち着いてきた頃、今更ながら依頼者が一人も来ないことに気付かされる。
「そうしたいのは山々なのですが、生憎別の案件で立て込んでまして。こちらはお任せすると碇さんが」
 そんな日の夕方、チャイムの音に慌ててドアを開ければ、そこには月刊アトラス編集部の桂が居り今に至った。 
「任せるも何もうちは祓いやでもなけりゃ、お前らの取材の手伝いなんて――」
「たまには零さんを良い場所へ連れて行ってはいかがですか?」
 その言葉には、思わず反論に詰まる。
 桂が持ってきた資料によると、最近とある遊園地の入場ゲート付近に霊のような存在を見かけるようになったらしい。その姿は高校生位の女の子で、開園前から閉園までずっとその場に居るという。誰かに危害を与えるわけではないものの、微動だにしないその姿は不気味かつ誰の目にも見え、噂は広まり客が減り続けていた。
「一応取材という名目なので、入園することになったとしても草間さんにパスポート料等の負担もありません。お食事も領収書貰ってきていただければ」
 その言葉に武彦の片眉が上がるものの、資料をテーブルに置き桂を見ると冷静に問う。
「おい……報酬はなし…ってことか?」
「強いて言うなら、解決できた場合状況を元に出来上がった雑誌を数冊――と言った所でしょうか。お名前は載せるので、宣伝効果はあると思いますよ」
 結局取材の肩代わりということである。
 そうして武彦が答えを出す前、桂は数枚のパスポート券をテーブルに置き帰ってしまった。最初からこの話に拒否権など無かったということだ。
「まっとうな探偵としての宣伝にはならないだろこれ……」
 先ほどまで桂が座っていたソファーに投げかける言葉は力なく、武彦は項垂れる。
「…兄さん、遊園地行くんですか?」
 やがて奥から控えめに出てきた零が武彦の背中に問う。そんな彼女に、武彦は顰めていた顔を戻すと振り言った。
「…………あぁ。何人か誘って遊びに行くか」


 そんなやり取りがあった数時間後。学生にとっては放課後と呼べる頃。
「草間さーん、こんにちは!」
 彼、工藤・勇太は興信所のブザーを押しながらそう声にした。程なくしてドアは零によって開けられ、彼女の笑顔で迎えられるが、室内へ入ればどうにも不機嫌な武彦がソファーでだれながら、眼だけで勇太を見る。
「今日はどうした、遊びに来ただけか?」
「はい? いや、何か依頼や調査があれば手伝いますけど」
 遊びがてら寄ったというのが動機としては正しいものの、武彦の口ぶりだと何かあるように思え、勇太は自ら話を広げた。すると武彦はソファーからずり落ちそうな体勢を整え、そのまま立ち上がり自分の机へと歩いていく。
「よし、じゃあ座っててくれ。多分、丁度良い頃合だ」
 そう言って時計に眼を向ける。時刻は午後四時を少し回ったところだった。
 もしかして誰か呼んでいるのだろうか?と勇太が考えたのも束の間、丁度興信所のブザーがけたたましく鳴り響く。零がドアへと走り寄り、ゆっくり開けた先には見慣れた姿を見つけた。
「あっ、」
 現れたのは男女の二人組だが、その男性――アキラと勇太は面識がある。しかし隣に佇む、ゴシックロリータを身に纏う少女には見覚えがなかった。揃ってやってきたということは、アキラの知り合いなのだろうが。
 ひとまずアキラに挨拶をしようと勇太が腰を上げかけた瞬間、煩いほどの足音が近づいてきたかと思えば、閉まりかけのドアからもう一人、金髪の少年が勢いよく興信所へと滑り込んできた。

 草間興信所には今、武彦と零はもちろんのこと、たまたま訪れたり呼び出されたりの四人がソファーに座っている。零がお茶を用意しに行った間に、まずは勇太が正面に座るアキラに対し口を開いた。
「アキラさん、お久しぶりです」
「勇太さん、久しぶり」
 面識のある勇太とアキラはそれぞれにこやかに挨拶を交わすものの、勇太は他の二人とは初対面であり、その二人も交わす会話がないことから、後の者とは初対面のようだ。
「ところでアキラさん、隣の方はお友達ですか?」
 まさか彼女ではないだろう……と考えながらそう言うと、アキラが口を開く前に少女が名乗り出た。
「初めまして、東雲杏樹と申します、どうぞ宜しくお願いしますね。お隣の方も」
 そう言い微笑んだ少女――東雲・杏樹(しののめ・あんじゅ)に、勇太は「俺は工藤勇太って言います。こちらこそ、宜しくお願いします」とわずかに頭を下げる。見た目からは同じくらいの年だろうが、見た目に反した日本名がなんともいえない違和感を与えていたし、結局アキラとの関係は明かされなかった。詮索するものでもないだろうと気持ちを切り替え、今度は隣に座る、こちらも見た目は明らかに外国人な少年に目を向ける。
「ん、俺か? 俺はメイリ・アストールだ。まぁ、よろしく」
 こちらは正真正銘の外国人なようで、勇太は内心安心すると同時、再度名乗っては「宜しくお願いします」と挨拶をした。
「もう名前は出てるけど…アキラです、宜しくお願いします」
 メイリに続きアキラがそう名乗ると、自己紹介が終わったことを確認する。こうして見ると、どうやら皆年が近い者が集まったようだ。
「宜しく頼むぞ、アキラと勇太は大丈夫だろうが――」
 そう武彦が横から口を挟んできた。
「あれ、二人はもしかして初めてだったりします?」
「ええ、私は彼に誘われて共にきたので」
「俺は姉貴に頼まれて、な」
「そうなんだ……俺は時々草間さんからこうして依頼受けたりしてて。今回は一緒に頑張りましょう!」
 勇太がそう言ったところで、零が五人分のお茶を運んでくる。
「あー、お前ら頑張るのもいいが、今日は話だけだぞ」
「そうなんですか?」
 アキラがそう言うと、早速武彦から依頼内容が伝えられた。その話に、勇太の思考が一時停止する。
「……(ゆ、うれい? って、当然幽霊? 幽霊、だよな?)」
 思わず内心何度も反芻してしまった。そう何度も確認してしまうほど幽霊は苦手だ。
「――あ、俺……ちょっと、腹が…この調子だと無理、かもしれません……」
 そうして思わず、考えもなく口をついて出た言葉。
「行こうと思ってるのは今度の土曜だ。日はまだ十分あるが、それまでに治らんか」
 それには武彦の気にかけるでもない、むしろ勇太の考えなど見破ったかのような追い討ちがかけられ、思わず「ぅ、ぁ…」と唸った後黙ってしまう。
 しかしふと隣に座るメイリの異変に気づき、思わず勇太は横目で彼を見た。愕然とした表情に開けっ放しの口。どこを見ているのか分からない目は、メイリが同士だと教えている。
 そして目の前のアキラへそっと目を向ければ、彼は苦笑いを浮かべていた。
「いや……俺も幽霊は苦手というか、ちょっと怖――っ!?」
 勇太が何か言う前に力なく正直に「苦手」と言葉にしたアキラは、唐突に声を失い身体をくの字に曲げた。これではまるで彼のほうが深刻な腹痛を訴えているようだ。あるいは幽霊の話などしていたからまさか寄って――という考えは即座に振り払い。
「あ、…アキラさん、どうしました? 大丈夫ですか?」
「うっ……だ、大丈夫。なんでもない、から」
 そう答え、片手を上げて見せたアキラに勇太はどうしたのだろうかと思いながらもひとまず身を引いた。
「ぁ、あの…少し、いいですか?」
 そこでそれまで物静かだった杏樹がおずおずと出した声に、思わず目を向ける。そういえば武彦の話を聞いて反応を変えなかったのは彼女だけだった気もする。しかしその考えに反し、彼女は今目にうっすらと涙を溜め、口元に手を当てていた。その手が少し震えているようにも見える。
「あの、私も幽霊は怖いですけれど……その、頑張りますから…。だから一緒に、頑張りましょう……?」
 最後、少し小首を傾げた仕草に、勇太は思わず胸が熱くなった。
「あっ、杏樹さんっ……」
 杏樹の隣で顔を上げたアキラも、目をキラキラと輝かせ彼女を見つめている。
 そして勇太の隣では、それまで放心しかけていたメイリが弾かれたかのように立ち上がり唐突に言った。
「おっ、俺は最初からこえーとか行かねーなんて…言ってねぇし!!」
「え」
「あら」
「……(相当ビビってはいたみたいだけど……)」
 思わず声を上げたアキラと、少し驚いた様子の杏樹、無言のままな勇太の視線を一気に受け、メイリは勢いのまま喋りだす。
「だ、だ、大丈夫たいしたことねーって! 怖がるようなもんじゃ――えーと何だっけ……」
 そこまで言っては一瞬考える素振りを見せ、「あ、思い出した」と、わざとらしくポンと手を叩いた。
「ほら、『みんなで行けば怖くない』って言うじゃん?」
 そうとは言わないと思うものの突っ込みは控えたが、結局自分が怖がっているのを誤魔化しているようにも思える……。
 先程驚いてはいたものの、今尚零れ落ちんばかりの涙を目に溜める杏樹とメイリの台詞を受け、勇太も結局後に続く。もうここからは勢いでいくしかない。
「いやっ、俺だってたまたま腹の調子がちょっと悪くなっただけで……土曜には完全に治ってるだろうから行けますってば!」
 そう一気に捲くし立てる。
「そう、だね……俺も、頑張り…ます」
 アキラはそう力なく笑みを浮かべていた。
「良かった……ではこの四人で、頑張りましょうね」
 最後に杏樹が涙を拭い、両手を顔の前で合わせながら笑みを浮かべると、思わず顔が緩んだ。
「……よし、んじゃあ土曜遊園地近くの駅前に、開園一時間前集合だ。頼んだぞ、ビビリども」
 武彦はそう言うと椅子を回転させ四人に背を向けてしまった。
「ちっ、違いますってば草間さん!」
「…ふふっ」
「っはは……」
「おっ、お、俺だってビッ、ビビリじゃねーし!」
 そうして四人各々複雑な思いを抱えながらも、土曜の朝はやってくる。


    □□□


 その日は絶好の遊園地日和といわんばかりの快晴。集合場所には武彦に零は勿論のこと、勇太に杏樹、アキラにメイリが集合し、それぞれ朝の挨拶を交わす。
 こんな現象が起こる前、開園一時間以上前から行列が出来ていた入場ゲートも、今では遠巻きに待つ人ばかり。ここからでは少女の姿は確認できないものの、ぽっかりと開いた空間から少女がどこにいるかは明らかだった。
 挨拶を交わした後の口数は皆少なく、内心武彦は失敗するのではないかと不安を抱きながらも遊園地へと足を進める。一歩遅れ零が続き、後に杏樹、隣にアキラ、その斜め後ろに勇太、その後ろにメイリと続いた。
 入場ゲート前まで来ると、駅前広場から見た時よりも、思っていた以上に入場待ちの人が居たことに気づく。
「皆さん、怖くないのでしょうか?」
 周囲を見渡し、杏樹が言う。
 しかし本当にこの場に佇んでいるだけの存在ならば、きっと気にさえしなければ問題はないのだろう。ゆえに入場客は減ったと言えど、居なくはなっていない。加えて、ここに居る者たちは足繁く訪れる熱烈なファンかもしれない。この遊園地に関連しているファッションや、持ち物をあちらこちらに見かけた。
「と、とりあえず開園前になんとかしたいけど、問題の少女って――?」
「もっ、もしかして…あの、子? え? まさか?」
 メイリは見つけた少女と皆を交互に見ながら、「そ、そうなの?」「いや、違う?」と誰にともなく問いかける。
「確かに彼女みたいですね……でもなんだか、思ってたよりも全然――」
 そうアキラが言うよう、恐怖はなかった。それは勇太も同じで、彼女を見て逆に何とかしてあげたいという思いを抱き始めていた。
 改めて彼女という存在は誰の目にも見える上、身なりもきちんとしている存在だ。言われてみれば確かにまだどこか幼さあるものの、長く綺麗な黒髪とシックな装いは、彼女を実際の年齢よりも大人に見せている。時折腕時計を気にしてみせる仕草は、事前の話どおり。
 メイリはそんな彼女に見惚れ、完全に言葉を失っていた。
「……可愛らしい方ですね。それで、皆さんこれからどうなさいますか?」
 各々抱く感情は多少違えど、すっかり口を閉ざしてしまった彼らに対し杏樹が口を開く。すると勇太が「まずは一つ」と、手を上げた。
「俺の力で、彼女と対話したいと思うんだ。そこで何かきっかけが掴めれば、その先動きやすくなるだろうから」
「まぁ、もしかしてテレパシーですか?」
「うん…勇太さん、お願い」
「テレパシー!? すっげぇな!」
 杏樹に感心されアキラに励まされた後、興奮するメイリに勇太は思わず苦笑いを浮かべる。正直テレパシーは一番制御が苦手で、普段はあまり使用しない。今回はこれが突破口になるだろうから、と思いながら一歩を踏み出す。
 後ろに佇む五人の視線が勇太へと集まるのは勿論、周囲で入場待ちをする者達の視線も六人に集まっている気がした。ただ、傍から見れば何をしているかなど分かるわけもないだろうと、勇太は頭を振ると彼女へ集中する。
 目の前に立っているにもかかわらず、彼女は勇太の存在など気にも留めていなかった。まるで、最初から見えていないかのように。それは勇太に限らずだが、彼女と周囲には見えない隔たりがあるように思えた。
 その証拠に、まず対話が成立しない。力が上手く作用していないのかと思うものの、何らかの情報はぼんやりと流れ込んでくる。彼女の感情の断片だろうか? それは怨みの念ではないものの、哀愁や喜びが入り混じった複雑なものだった。
「くっ……」
 次第に集中力が削げ、周囲の声が混じりだす。彼女の声が、感情が、乱れ掻き消えていくその瞬間。
「――あの、私もお手伝いいたしますね」
 微笑みながら、杏樹が勇太の隣に立った。その右手の平には小さなオルゴールが乗っていて、彼女がそれを回すと綺麗な旋律が辺りに響く。
「――――ぇっ!?」
 そしてそれは勇太の力に同調するよう。
「――…うぁっ!?」
 瞬間、それまで曖昧だった全てがクリアになり、勇太の頭の中へ一方的に情報が流れ込んだ。それは相変わらず断片的ではあるものの、先ほどまでとはまるで違い、彼女自身とその周囲が伺えた。彼女の学園生活、付き合っていた男の存在、プレゼントの時計、生々しい事故の前後。それを生前――の物という言葉では表せない事実にも気づく。
 力を使うことを止めると反動か、無意識の内半歩程後退りした。オルゴールの音はいつの間にか止んでいる。周囲の視線ももうこちらにはない。何も起きないことが分かり興味が失せていたのだろう。
 勇太は先ほど流れ込んだ情報を素早く整理し、どうしたものかと考える。気づけば隣に立つ杏樹が心配そうな顔で自分を覗き込んでいた。
「今ので何か分かりましたか?」
「あ……東雲さん、ありがとう。それ不思議な力、ですね?」
「お役に立てたのならば光栄です」
 いつの間にかオルゴールは彼女の手の中から消えている。種明かしはされないが、恐らくあの旋律のおかげで作用が増したのに加え、別の力も加わっていた気がした。
「っと言うか、勇太さん…大丈夫?」
「なんか顔色悪いし、調子良くねぇんじゃねーの!?」
 駆け寄ってきた二人は勇太を見るや否やそう言うが、確かに疲労感はあるものの、勉強疲れに似たようなものかもしれない。聴覚だけかと思っていた情報が、視覚的にも流れ込んできたため少し混乱しているものの、今のところ身体に異常はきたしていない。
「アキラさんにメイリ君……ありがとう、大丈夫。けど、これから言うことをちょっと調べてもらいたいんです」
「勿論、何でも言って」
「調べ物? んなの俺に任せろって!」
 言いながらメイリは得意げにスマートフォンを取り出した。
「彼女の名前は鷹木・卓美(たかぎ・たくみ)さん、ここに来る前に交通事故にあった。時期は恐らく去年の春頃、この周囲の道路で。そして彼女は今もどこかの病院で眠ってる」
「亡くなっていない……生霊と言うことですね。可哀想……」
 言いながら杏樹は目を伏せる。
「彼女は多分、彼氏であるコウくんって男を強く意識してる」
「自分が行けなかったこの場所で、生霊となってその方をずっと待っているのでしょうか……? 健気ですね…」
 悲壮感漂う杏樹の声が相槌を打つ。
「……もしずっと待ってるのならば、もしかしてその男性を連れてくれば?」
 少し考えた後アキラがそう言うと、勇太は頷いた。
「多分。でもその為にはまず、彼女がどこの人間だったかを知らなくちゃいけなくって」
 と言ったところでメイリが「分かった!」と大きな声を上げる。先ほどから黙っていたと思ったら、勇太の情報からこの場で調べ物を終わらせてしまったらしい。器用かつ素早く指先で画面をタップしていくと、拾い上げた情報を皆に伝えた。
「都立高校に通ってた子だってさ。病院はこの近辺みたいだけど? 卒業遠足でここに来る途中ひき逃げにあって、犯人はまだ捕まってないって」
 そこまで伝えると、メイリは得意気に顔を上げた。この短時間にどれだけの情報量を捌いたのか、その腕は賞賛に値するものの、今はそれよりも大事なことがある。
「その高校へ行って話、聞けないかな。そうすればコウくんって、人のことも分かるかもしれないですし?」
「そうですね、そうしましょう」
 アキラの考えに杏樹が即座に同意した。
「ぇ、杏樹…さん?」
「というわけで、私たち二人はその高校へ行ってみますね」
 言うや否や、杏樹はメイリが調べた高校の所在地を確認し、アキラの腕に自らの腕を回すと歩き出す。
 その光景は最初こそまるで恋人のようにも映るが、どういうわけかその後アキラが杏樹に引きずられるようにも見えた。
 残された二人はと言えば――。
「行っちゃったし」
「俺はちょっと休んだらまた動こうかと思ってるけど、メイリ君は?」
 勇太が問えば、「俺か? 俺は……――」と少し考えて見せた後「あ」と声に出し。
「ところでさ、事故現場って正確に分かるか?」
 メイリはふとそう言った。
「? 地理と景色が分かれば、大体は」
 実は先ほど事故のビジョンが少しだけ見えてしまっている。だから現場を見るかすれば、思い当たる気はした。
「んじゃ、地図」
 するとメイリは地図アプリを起動させ、勇太へと提示する。
「ええっと――この辺り、じゃないかな。多分」
 少し自信がなさげなものの、そう指すとメイリは「……確かに近い」と呟き、位置情報を記録した。一体どうしたというのか。
「んじゃ、俺ひとっ走りしてくるから!」
「えっ!?」
 そして一体どこに何しに行くのか聞く前に、メイリは驚きの速度で走り去ってしまった。
「元気だなぁ……」
 苦笑いを浮かべると、ずっと後ろに佇んでいたらしい武彦が声をかけてくる。
「さて、ひとまず話が進展したところで開園時間だ。俺たちは中に居るから、まぁ適当にやってくれ。終わったら連絡よこしてくれれば後は閉園まで自由にしていいぞ」
「あ、はーい」
 返事をすると、勇太は一度ゲート手前のベンチに腰掛けた。
 憎悪こそないものの彼女の感情は強く、このままここに留まらせておくのは良くはないだろう。結局開園前に解決することなど到底不可能だったものの、早い内にどうにかしてあげたい――そう考えながら、気づけば勇太は眠りに落ちていた。
 日差しと南風のお陰か、とてもぽかぽかとした空気に包まれている。そう考えられた辺り、それは転寝程度のものだったのかもしれない。ただ、突然肩を掴まれたかと思えば激しく揺れ動かされ、脳を揺さぶられる感覚が気持ち悪い。
「――――おい」
 続く声に目を開けると、目の前に一人の男が立っていた。
「こんなとこで寝てるとさすがに風邪、引くぞ。あんた……」
「ぇ……あ…?」
 一瞬自分がどこに居るかを思い出せず、尚且つ目の前の男が帽子を目深に被りサングラスまでしているものだから、意識が完全に覚醒すると思わず何事かと身構えてしまう。
「誰か、待ってんの? 待ち合わせ、こないの?」
 しかし男は変わらぬトーンで勇太に問いかけてくる。どうやら心配されているような気がした。
「あ、そういうわけじゃ」
「そう…? こんな場所で、一人で誰かをずっと待つなんて止めとけよ……」
 そう言うと、サングラスの奥の目が後ろに佇む彼女へとわずかに向けられた気もする。当然姿が見えるわけではないものの、それは彼女の存在を意識した動きだったのかもしれない。
 勇太の反応を待たぬまま、男は一人で園内へと入っていった。
「なん、だ…あいつ?」
 疑問だけが残るものの、なんだかんだで一時間くらいは眠っていたらしい。これまで誰にも声をかけられなかったのが不思議なくらいだ。男の親切心には感謝すべきだったかもしれない。
 結局少し園内を探索しようかと思った考えは、戻ってきた杏樹とアキラの姿を見て断念した。


    □□□


 ゲート手前のベンチから立ち上がった勇太は、戻ってきた二人に手を振った。
「二人とも、お帰りなさい」
「ただいま戻りました」
「ただいま。勇太さんもしかして休んでたんですか? まだ具合悪い?」
「大丈夫。それより、何か分かりました?」
 勇太の言葉にアキラが口を開きかけた時、遠くから「おおおおおおい!」と叫ぶ声がする。
「あ、メイリ君もお帰り」
「ただいまっと」
 全力で走ってきた割に、メイリの息はさほど切れていないように見えた。
「えっと、それでアキラさんたちは何か分かったんですよね?」
 一体どこに行っていたのかという問いは後にして、勇太はまずアキラに問う。
「……そうそう、鷹木さんと交際していたのは、日向・航平(ひゅうが・こうへい)さんと言うらしいのだけど、残念ながら今は消息不明でした」
「卒業アルバムの写真は拝借してきましたよ」
 そう言い、杏樹は一枚の紙を取り出し、勇太とメイリへと見せた。卒業アルバムのクラスページのコピーだ。メイリはまだ息を整え中なのかまともには見ないものの、日向と書かれた名前の顔に勇太が息を呑む。
「どうかしましたか?」
「いやぁー……さすがに全速力で戻ってきたら疲れた。さてと、俺にも見せ――」
 そしてようやく写真を見ようとしたメイリに、勇太が切羽詰った様子で言い寄った。
「っ……メイリ君! この人を全速力で捕まえて、数分前に中に入ったはずだから!!」
「ひっ!!!? もっ、もちろん、任せてくれよ! って……あれ??」
 言った後に写真を見てメイリは首を傾げる。
「と、とにかく行って来るから! ちゃんと捕まえとくからついてこいよ!」
 言い終わるや否や、メイリはスタートダッシュをきった。あっという間にゲートを抜け、園内奥へと消えていく。
「一体どうしたのですか?」
「俺、少し前にここでこの男と会ってるんですよ」
 杏樹の問いにそう答えると、勇太はアキラへと視線を移す。
「あれについていくのは無理だけど、俺たちも行きましょう」
 そう言って三人もゲートをくぐった。
 一体どこまで行ったのか、本当に無事捕まえられたのか。三人の不安を他所に、メイリが屋外フードコートで手を振っている姿を見つけた。
「つっ、捕まえたからな、ちゃんと。こいつだろ!」
 そう言うメイリの横には、椅子に座った状態で首根っこを掴まれた男が確かに居る。
 風貌を見る限り、彼はやはり高校生か大学生くらい。明るい茶色の髪と軽そうな雰囲気が、大人っぽく清純そうに見えた彼女ととても不釣合いにも思えるものの、写真より少しやつれて見えた顔は、彼がこの一年をどんな気持ちで生きてきたかの現われのようだった。
「なっ、なに……あんたはさっき探し物してたヤツだし、そっちは入り口で眠ってたヤツで…」
 今の状況が理解できていない男は囲まれる形となり、杏樹が近寄ってくると更に萎縮する。
「日向航平さん、ですよね?」
「うっ……なっ、なんだよ……お前ら一体」
 まともに杏樹の顔を見ることもなく男はそう言うが、彼が日向で間違いなさそうだ。
「鷹木卓美さんの件なのですが――」
 アキラが本題に入ろうとすると、彼は途端にメイリの手を振り払い逃げ出そうとした。
 咄嗟に勇太が構え、思わず杏樹がオルゴールを取り出そうとする、そのどの一手より早くアキラが動く。
「ぐぁっ…!!!?」
 男は短い悲鳴を上げた途端ばたりと地に倒れた。
「もしかして、アキラさん?」
「ちょっとした電撃を。スタンガン並くらいだから大丈夫、時期に起きますよ」
「今の内に彼をゲートへ連れて行く戦法ですか?」
 杏樹の問いという名の提案に、三人は顔を見合わせる。話を聞かず逃げ出そうとした彼には、やはりそのような方法が一番手っ取り早そうだ。
 杏樹を除いた三人の内二人が順番に日向の腕を肩に回し、少し彼のつま先を引きずりながらもゲートまで戻ることにした。多少人目はあったものの、途中わざとらしく「大丈夫か?」など話しかけているように装い。
「皆さん、頑張って下さいね」
 そんな美少女の声援を受けなんとかゲートまで戻ると、再入場スタンプを押してもらい外へと出た。
 彼女は相変わらず同じ場所に居て、今この場からは後姿が伺える。近づいても彼女はまだ気づかない。ただ、介助された日向を目の前にした瞬間、彼女の顔に生気が戻った――というには多分語弊があるものの、確かに表情からは哀しみが消え、その眼に光が射した気がする。
「…コウくん、どうしたの? それにあなたたちは?」
 日向を認識したと同時、あんなに目に入らなかった四人の姿も今この瞬間認識したようだ。
 そして彼女の声が届いたのか、たまたまそのタイミングで意識が戻ったのか。
「――ん…うっ……ぇ…?」
 目覚めた日向は正面に立つ彼女に驚き、自分の両腕が勇太とメイリになかば拘束されていることに驚き暴れだした。
「バッ、カ…! ちょっ、…」
「うわっ、メイリ君!?」
 暴れる身体を上手く支えられず、そのまま総倒れとなってしまう。
「ふふっ、大丈夫? でも…ようやく来てくれた」
 彼女はその場から動くことはないものの、三人を少し心配した後日向に向かいそう言った。言葉通り、彼女はずっとここで彼を待っていたことに間違いはないようだ。
「なっ、なんでこんなことをっ…!?」
 地面に転がり起き上がった男は、四人を見ると酷い形相でそう言った。
「依頼もあるけど、俺たちは彼女を助けたいんです」
「待ち合わせ、されていたのでしょう? 女の子を待たせるなんて、駄目ですよ?」
 勇太と杏樹の言葉に顔を伏せる。
「でも……こんなことしたら」
 力なく発した声。それに反し朗らかな彼女の声。
「まず時計ね、探してくれてありがとう。壊れて時間は分からなかったけど…これがあったから、ずっとこうして待ってられたよ」
「時計――もしかして……?」
 彼女の言葉にメイリが何か呟いた。
「アイツが消えるかもしれない……」
 出会いたかった彼女と、出会いたくはなかった彼。
「それを恐れて、あえて彼女と対面することを避けていたということですか?」
 確かに、こうすることで彼女が消えるというのならば、現在意識が戻らない彼女も消えてしまうかもしれない。そんな不安を抱いても仕方ないのかもしれなかった。けれど、そうして避け続ければ彼女の未練は晴れないまま。もしかしたら四月から学校で又三年生を繰り返すかもしれない。そしてこの時期に又、遊園地に現れるのかもしれない。それがいいことだとは思えなかった。
 彼女は彼の言葉を聞きながらも、自分はただ去年果たせなかった遊園地デートをしたかったと言う。
「ね、あの時果たせなかったデートをしよう?」
 念を押すよう繰り返す彼女に根負けしたのか、彼は立ち上がり彼女の手を取った。
「えーっと、これでもしかして解決じゃん?」
「一応は。でも、明日この場に彼女が現れなければ解決確定、ってことじゃないですか?」
「草間さん、終わったら連絡くれれば後は自由にしていいって言ってたけど――」
「折角ですから遊んでいきましょう? 遊園地、楽しそうですしね」
 しかしそうして再び園内に入ろうとした四人の目の前、彼と彼女が共にゲートをくぐった瞬間、彼女の姿だけが忽然と消え四人は思わず足を止めた。
 彼にその感触はなかったけれど、繋いでいたはずの手が彼女を求め宙を掻く。けれど何も掴めずその場に崩れ落ち、俯き肩を震わせた。
 しばらくすると一度拳で地面を殴りすくりと立ち上がる。そうして四人を振り返ると一礼した。上げられた表情は出会った時よりほんの少し晴れて見えるものの、そのまま彼は遊園地を後にする。

 終わってみれば、当初怯えたほどの恐怖などなく、三人は内心胸を撫で下ろす思いだった。本当の恐怖はここからだということも知らず――…‥。


    □□□


「まずは何乗りますー?」
 勇太は園内マップを広げ、三人にどうするかを問う。
「……コーヒーカップ、なんてどうです?」
「ああ、いいじゃん! あのぐるぐる回る――」
「最初はやっぱり絶叫系、ですよね」
 杏樹の静かな提案にアキラとメイリが口を噤んだ。
「お、東雲さん分かってる! で、最後も絶叫系ってヤツ!」
「ですよね。間にも勿論入れておきたいです」
 盛り上がる勇太と杏樹を見て、蚊帳の外な二人は思わず顔を見合わせた。
「…………えーっと、メイリくんはどうしますか?」
「……っ、俺も絶叫系! 空いてれば降りてまたすぐ乗りたい勢いだしっ!」
 やけっぱちにしか聞こえないものの、そのノリと勢いはやはり評価すべき点かもしれない。
「それでは、そんなに絶叫系がお好きなメイリさんは是非先頭にどうぞ」
 そして今、メイリは後悔している。
「え…?」
「あ、俺も先頭がいい! メイリ君隣おっ邪魔しまーっす」
 流されるがまま、メイリは先頭に座る羽目になってしまった。
「あ…杏樹、さん……は大丈夫、なんですか?」
 安全レバーを両手でぎゅっと握り締め、その手をがくがくと震わせるアキラは、興信所で見た時よりはるかに怖がり、顔面蒼白状態だ。
「はい、絶叫系は楽しいですよね。スッキリしますし」
 そう言うと同時、アトラクションは動き出す。まずはもっとも頂上を目指し緩やかに上っていく。その処刑台に向かわされるような、じわじわとした恐怖にメイリが早くも足をばたつかせた。
「め、メイリくん? 叫ぶにはまだ早いよ?」
「だ、だだだ…」
「……だ?」
「だめだぁああああああああああああ!」
「ちょっ…!? え?」
「ぅ…うぁあああああっ!?」
「えっ、何、今度はアキラさんなの!?」
 メイリの声に驚いたのか、まだのろのろと動く車体の上でアキラまでもが声を上げ始めた。
「……全く、男の恥だな」
 早くも上がった絶叫の中、杏樹がポツリ呟いた言葉と同時車体は頂上に辿り着き、一瞬声が掻き消える。
 風が、とても冷たかった。
「ぎっ、ぎゃぁあああああああああぇぁああああああはぁあああああっっ、ぎっぁ…!!!!」
「ぅっぁあああっっっ!!!?」
「いやっほー! 気持ちいいー! サイコー!」
「ふふっ、ふふふっ」
 終点まで辿り着くとたまたま並んでいる客が折らず、そのまま折り返し乗ることになった。アキラはベンチで休もうとするものの、杏樹が腕を掴んで離さない。メイリは今しがた下手に叫びすぎて噛んだ舌から血が出て、しかめっ面状態となっているが、勇太に「ほらほら、楽しいからもう一度行こうよ!」など言われ、それにノってしまう。
 二度目は杏樹とアキラが先頭で、再び園内に男の叫び声がこだました。
 そして二度目を終え出たところで、勇太が何かに気づき足を止める。
「あ、これ!」
「最初の落下地点での写真ですね」
 モニターに映し出された映像は、コースター横のカメラで撮られたものだろう。勇太と杏樹はとても楽しそうだが、残念ながらアキラとメイリは先頭でそれぞれ白目をむいていた。いい顔が台無しだ。あまりにも不憫すぎるので、写真を印刷してもらうことは諦め、四人は再び園内をさまよった。
「――それにしても、少し歩き疲れてしまいました……」
「杏樹さん大丈夫ですか? 気づいたらもうお昼も過ぎてるし、少し休憩にしましょう」
「まだちょっと遊び足りないけど賛成!」
「俺先に行ってさっきの辺りで席取ってくる!」
 さっきとは、フードコートのことだと三人もすぐに理解する。
 そうしてメイリが確保した席で四人は遅い昼食を取った。途中食事や飲み物が足りなくなると、メイリが挙手して走っては買いに行く。日本での生活がこんなパシリのようなものでいいのかという疑問も残るが、彼は嬉々としてそれを引き受けていた。
「では、食後も絶叫系からですよね」
「賛成〜……――って、なんですかここは、東雲さん!?」
 杏樹がそう言って足を止めた先を見て、勇太は思わず突っ込まずにはいられない。
「何って…とても怖くて絶叫すると評判らしいお化け屋敷ですよ」
「皆さん今日は彼女と対面してなんともなかったようですし、もしかして克服できたのではないでしょうか?」
 本物の幽霊よりも、人の手によって作られたお化け屋敷という空間は、案外心霊現象よりも読めなくて無茶が酷い。
「あの……でも私は正直まだ怖くて。でもあと少しで克服できるかもしれないので、もしもの時は守って…くださいね」
 その初めてではない光景は、三人にとってまさに悪夢の始まりの合図である。
 まるで広く複雑な迷路とお化け屋敷が融合したかのような場所で四人は道に迷った。
「出口はどこでしょう? でも思ったよりも楽しいですね。ね、皆さん?」
「む、むっむり、むりもう絶対無理嘘だって言ってくれよぉおおおおおおおお!!!!」
「ぁあうぅぁあああっ、あんじゅさぁああん!? うっ、ど…どこ、どこですかぁ……うっ、ひっく…み、見えないです…何も…」
「ううっ…あの子は、大丈夫だったのに……うっ…くっ…こんな、作り物に…ひっ!?」
 その後泣き喚き叫び散らした男三人は、途中の非常口から外へと脱出し、杏樹一人が悠々と出口から出ては、なんともいえない笑みを浮かべていた。
 やがて少しずつ陽は落ちていくものの、閉園まではまだ時間がある。もう少しすればナイトパレードも始まるだろう。四人はその後、後半戦の絶叫系――ジェットコースターなどを思う存分楽しみ、叫び、たまにはコーヒーカップを回してみたり、杏樹以外にはまるで罰ゲームのようなメリーゴーランドの白馬に乗ってみたりと、遊園地を満喫しそれぞれの家路へと着いていった。

「はぁ…疲れた……」
 重い溜息を吐くものの、楽しい一日――であったには違いない。少し疲れすぎただけだ。
 後半あまりにも叫びすぎたものの、なんとか声は保っている。アキラとメイリは完全に潰していたし、目も腫らしていた。自分の目も多少腫れているかもしれない。重くて眠い目を擦りながら、勇太は夜道を行く。
 彼女のその後は分からなかったけれど、最後に見た笑顔はしばらく忘れられそうにもない。
「――幸せ…だったよな?」
 空を仰ぐと、丁度星が流れたところだった。


 結局今回の件が月刊アトラスの大々的な特集記事になることはなかったものの、遊園地にもう彼女は現れなくなったという点を中心に、今までの経緯が記された。
 見本誌を読み終わった武彦は、本を音を立て閉じるとテーブルの上に放り投げる。
「――……結局うちの名前は書かれてないじゃないか!」
「あ、忘れちゃったみたいですね」
 載せたら載せたら多分怒るくせに――と内心思いながらも、桂はそう軽く言ってのけ「次回ちゃんと載せるよう、言い聞かせておきます」と、本を放り投げてきそうな勢いの武彦に微笑み消えた。
 行き場のない怒りを込めた拳をジッと見つめていると、奥で大人しくしていたはずの零が手に何かを持って走ってくる。
「兄さん、兄さん」
「なんだ? ……土産の皿に土産の菓子を乗せたのか」
「はいっ。とっても可愛いです」
 零は遊園地に満足したらしく、今でも当時を思い返してはご機嫌だ。
「……まぁ雑誌も来たことだし、あの四人も呼んで茶にするか」
 そう言いながら、武彦はゆっくり電話に手を掛けた。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 [1122/  工藤・勇太  /男性/ 17歳/超能力高校生]
 [8650/  東雲・杏樹  /女性/999歳/高校生]
 [8584/  晶・ハスロ  /男性/ 18歳/大学生]
 [8484/メイリ・アストール/男性/ 16歳/高校生]

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、李月です。お届け遅くなりまして申し訳ありません。
 この度はグループでのご参加有難うございました。今回こうした括りでの参加でしたので、解決後のお遊び以外ほぼ個別(それぞれの視点)状態のかなり特殊な進行となっております。お時間が許しましたら他の方も見ていただけると、それぞれ意外な発見があるかも…ないかも……です。心情的な部分はほとんど他の方には出ていませんので…。
 さて、多少曖昧な部分や有耶無耶感は残りますが、ほぼ良い結果として解決しました。お疲れ様です。
 大筋は前部隊と変わりないものの、前には出なかった方面の情報が出たり、出会わなかった人が居たり…となっています。
 全員お初ということで、動かしながらちょこちょこ修正していたのですが、大きな誤差がありましたら申し訳ありません。
 少しでもお楽しみいただければ幸いです。

【工藤勇太さま】
 初めまして、この度は有難うございました。最初はというより、日向が現れるまでは正攻法では意思の疎通が取れない彼女なのですが、テレパシーにプラス杏樹さんの力が作用し一気に情報を吸い出せました(+映像が流れ込んできました)。情報量と事故の光景程度ではへこたれないかもしれないですが、後は少々お休みいただき、最後に向け(笑)英気も養って頂きました。
 杏樹さんとメイリくんが初対面だったので、年が近いとは言え最初は多少敬語混じりな雰囲気で。アキラさんにはイメージ的には元気よくライトな敬語で喋っている感じで書かせていただきました。
 とても好みのタイプなのですが、設定を頭の片隅において置くとなかなかこれでいいものか…最後まで悩んでしまいましたが、少しでもイメージに近ければ、と思います。

 それでは、又のご縁がありましたら……。
 李月蒼