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[ Gate ]
「――――……これは、そっちの編集部で何とかする問題じゃないのか?」
正月明けの草間興信所、しばらくの間武彦と零は年を跨いでの大掃除に明け暮れていた。そうして、ようやく落ち着いてきた頃、今更ながら依頼者が一人も来ないことに気付かされる。
「そうしたいのは山々なのですが、生憎別の案件で立て込んでまして。こちらはお任せすると碇さんが」
そんな日の夕方、チャイムの音に慌ててドアを開ければ、そこには月刊アトラス編集部の桂が居り今に至った。
「任せるも何もうちは祓いやでもなけりゃ、お前らの取材の手伝いなんて――」
「たまには零さんを良い場所へ連れて行ってはいかがですか?」
その言葉には、思わず反論に詰まる。
桂が持ってきた資料によると、最近とある遊園地の入場ゲート付近に霊のような存在を見かけるようになったらしい。その姿は高校生位の女の子で、開園前から閉園までずっとその場に居るという。誰かに危害を与えるわけではないものの、微動だにしないその姿は不気味かつ誰の目にも見え、噂は広まり客が減り続けていた。
「一応取材という名目なので、入園することになったとしても草間さんにパスポート料等の負担もありません。お食事も領収書貰ってきていただければ」
その言葉に武彦の片眉が上がるものの、資料をテーブルに置き桂を見ると冷静に問う。
「おい……報酬はなし…ってことか?」
「強いて言うなら、解決できた場合状況を元に出来上がった雑誌を数冊――と言った所でしょうか。お名前は載せるので、宣伝効果はあると思いますよ」
結局取材の肩代わりということである。
そうして武彦が答えを出す前、桂は数枚のパスポート券をテーブルに置き帰ってしまった。最初からこの話に拒否権など無かったということだ。
「まっとうな探偵としての宣伝にはならないだろこれ……」
先ほどまで桂が座っていたソファーに投げかける言葉は力なく、武彦は項垂れる。
「…兄さん、遊園地行くんですか?」
やがて奥から控えめに出てきた零が武彦の背中に問う。そんな彼女に、武彦は顰めていた顔を戻すと振り言った。
「…………あぁ。何人か誘って遊びに行くか」
その話は姉を通じ届けられた。というよりも、姉がバイトで行けないため、弟である彼――メイリ・アストールが代理として依頼を引き受けに行くことになった、と言うのが正しい。
頼まれた時は「どうして俺が!?」と思いながらも、結局はこうして引き受けてしまったわけだ。姉にはめっぽう弱い証拠に、その依頼内容は聞かされていない。とは言え、実際のところは姉自身もその内容は聞かされていないらしく、その程度の仕事ならばよほどのことがない限りどうにかなるかもしれないとは思っている。
それに加えどうやら人手不足ということもあるらしく、誰の命令でもないがそう言われては従わざるを得なかった。
しかし今、思わず幸運が逃げていくのではないだろうかというほど深い溜息を吐きながら、メイリは草間興信所へと向かっている。否、幸福などもう逃げているのかもしれない。今日サークルの活動も、陸上部の練習もなくこの話が舞い込んできた時点できっと不幸なのだ。
「……楽か、楽しい仕事ならいいんだけどなぁ」
ぼそり本心を声に出すとメイリは足を止めた。見上げた雑居ビル、そこに草間興信所は存在する。そして丁度今、メイリの横を通り過ぎた二人組がその雑居ビルへと入っていった。
約束の時間は午後四時頃という話だ。時計は丁度四時を指す頃で、もしかしたら今の二人も呼ばれた者たちなのかもしれない。一人は大学生くらいの爽やかそうな男、もう一人はゴシックロリータを身に纏った同い年くらいの女の子だった。
「………………よし行く、俺も行くし」
言い聞かせるようそう声に出すと、メイリも雑居ビルの中へと足を踏み入れる。なんだかんだ言いながらも、メイリは従順だ。
階段を上っていくと、興信所のドアの前に先ほどの二人が居て丁度ドアが開けられた。閉められてしまう前にと、メイリは階段を急ぎ駆け上がり中へと滑り込んだ。
草間興信所には今、武彦と零はもちろんのこと、たまたま訪れたり呼び出されたりの四人がソファーに座っている。零がお茶を用意しに行った間に、まずは隣に座る少年が正面に座る青年に対し口を開いた。
「アキラさん、お久しぶりです」
「勇太さん、久しぶり」
面識のあるらしい二人はそれぞれにこやかに挨拶を交わすものの、後の者は初対面同士のようだ。
「ところでアキラさん、隣の方はお友達ですか?」
勇太と呼ばれた隣の少年――工藤・勇太(くどう・ゆうた)が、アキラと呼ばれた青年に問うが彼が口を開く前、メイリの正面に座る少女が名乗り出た。
「初めまして、東雲杏樹と申します、どうぞ宜しくお願いしますね。お隣の方も」
そう言い微笑んだ少女――東雲・杏樹(しののめ・あんじゅ)に、勇太は「俺は工藤勇太って言います。こちらこそ、宜しくお願いします」とわずかに頭を下げる。お隣の方もと微笑まれ、メイリは一瞬どきりとしてしまった。
すると今度は勇太の視線がメイリへと向けられる。
「ん、俺か? 俺はメイリ・アストールだ。まぁ、よろしく」
勇太は少しホッとした様子を見せたかと思うと、再度名乗っては「宜しくお願いします」と挨拶をしてくれた。
「もう名前は出てるけど…アキラです、宜しくお願いします」
最後にアキラがメイリに対しそう名乗ると、自己紹介が終わったことを確認する。こうして見ると、どうやら皆年が近い者が集まったようだ。
「宜しく頼むぞ、アキラと勇太は大丈夫だろうが――」
そう武彦が横から口を挟んできた。
「あれ、二人はもしかして初めてだったりします?」
「ええ、私は彼に誘われて共にきたので」
「俺は姉貴に頼まれて、な」
「そうなんだ……俺は時々草間さんからこうして依頼受けたりしてて。今回は一緒に頑張りましょう!」
勇太がそう言ったところで、零が五人分のお茶を運んでくる。
「あー、お前ら頑張るのもいいが、今日は話だけだぞ」
「そうなんですか?」
アキラがそう言うと、早速武彦から依頼内容が伝えられるものの、その一節。幽霊という単語にメイリは思考が完全に停止、ショートした。
隣では勇太が少し焦ったような声色で何かを言って、それに対し武彦が何か返している気がしたものの、それすらまともに耳に入らない。
だからメイリは知らなかった。愕然とした表情で口は開けっ放し、どこを見ているのか分からない目をした自分の表情と、それを見てそれぞれ何かを思う三人の視線を。
その後アキラと勇太が言葉を交わし、唐突にアキラの姿が視界の隅から消えた気がした。メイリの視界には今、微笑む杏樹の姿が時折映っている。時折、というのは心ここにあらず……といった状況ゆえだ。
「ぁ、あの…少し、いいですか?」
しかし杏樹がおずおずと出した声に、メイリは我に返った。よく見れば彼女は今、目にうっすらと涙を溜め口元に手を当てていた。その手が少し震えているようにも見える。
「あの、私も幽霊は怖いですけれど……その、頑張りますから…。だから一緒に、頑張りましょう……?」
最後少し小首を傾げたその仕草に、メイリの中で何かがプツンと音を立てて切れた気がした。
正直幽霊は怖い、なんでそんな場所に頼まれたからといえ行かなければならないのか、今は無害とは言えずっとそうとは限らないじゃないか、何かあった場合どうしてくれよう――など、それまでぐるぐると考えた思いが一気に巡った末、その全てを覆す答えが頭の中で音を立てて出る。
こんなか弱い女の子も怖いと言いながらも行くと言っているし、何より幽霊にびびったから最終的に行かなかったなど、姉に知られるのは嫌だ。
「ぉ……おっ、俺は最初からこえーとか行かねーなんて…言ってねぇし!!」
気づけば弾かれたかのように立ち上がり、メイリはそう声に出していた。
「え」
「あら」
「……」
思わず声を上げたアキラと、少し驚いた様子の杏樹、無言のままな勇太の視線を一気に受け、メイリは勢いのまま喋りだす。
「だ、だ、大丈夫たいしたことねーって! 怖がるようなもんじゃ――えーと何だっけ……」
そこまで言っては一瞬考え、「あ、思い出した」と言ってはポンと手を叩いた。
「ほら、『みんなで行けば怖くない』って言うじゃん?」
そうは言うが、どういうわけか同意や関心は得られない。何か間違えただろうかと一瞬考えるものの、目の前の杏樹にチラチラ視線を向ければ、彼女は無言のまま微笑んでいた。
やがて杏樹とメイリに感化されたのか、隣の勇太も思わず後に続く。
「いやっ、俺だってたまたま腹の調子がちょっと悪くなっただけで……土曜には完全に治ってるだろうから行けますってば!」
そう一気に捲くし立てた。
「そう、だね……俺も、頑張り…ます」
アキラはそう力なく笑みを浮かべる。
「良かった……ではこの四人で、頑張りましょうね」
最後に杏樹が涙を拭い、両手を顔の前で合わせながら笑みを浮かべると、思わず顔が緩んだ。
「……よし、んじゃあ土曜遊園地近くの駅前に、開園一時間前集合だ。頼んだぞ、ビビリども」
武彦はそう言うと椅子を回転させ四人に背を向けてしまった。
「ちっ、違いますってば草間さん!」
「…ふふっ」
「っはは……」
「おっ、お、俺だってビッ、ビビリじゃねーし!」
そうして四人各々複雑な思いを抱えながらも、土曜の朝はやってくる。
□□□
その日は絶好の遊園地日和といわんばかりの快晴。集合場所には武彦に零は勿論のこと、勇太に杏樹、アキラにメイリが集合し、それぞれ朝の挨拶を交わす。
こんな現象が起こる前、開園一時間以上前から行列が出来ていた入場ゲートも、今では遠巻きに待つ人ばかり。ここからでは少女の姿は確認できないものの、ぽっかりと開いた空間から少女がどこにいるかは明らかだった。
挨拶を交わした後の口数は皆少なく、内心武彦は失敗するのではないかと不安を抱きながらも遊園地へと足を進める。一歩遅れ零が続き、後に杏樹、隣にアキラ、その斜め後ろに勇太、その後ろにメイリと続いた。
入場ゲート前まで来ると、駅前広場から見た時よりも、思っていた以上に入場待ちの人が居たことに気づく。
「皆さん、怖くないのでしょうか?」
周囲を見渡し、杏樹が言う。まったくもってその通りだと同意したくもなるが、なんでもない振りをしておく。
本当にこの場に佇んでいるだけの存在ならば、きっと気にさえしなければ問題はないのだろう。ゆえに入場客は減ったと言えど、居なくはなっていない。加えて、ここに居る者たちは足繁く訪れる熱烈なファンかもしれない。この遊園地に関連しているファッションや、持ち物をあちらこちらに見かけた。
「と、とりあえず開園前になんとかしたいけど、問題の少女って――?」
「もっ、もしかして…あの、子? え? まさか?」
メイリは見つけた少女と皆を交互に見ながら、「そ、そうなの?」「いや、違う?」と誰にともなく問いかける。思わず確認してしまいたくなるような美少女がそこに居る。
「確かに彼女みたいですね……でもなんだか、思ってたよりも全然――」
そうアキラが言うよう、恐怖はなかった。
改めて彼女という存在は誰の目にも見える上、身なりもきちんとしている存在だ。言われてみれば確かにまだどこか幼さあるものの、長く綺麗な黒髪とシックな装いは、彼女を実際の年齢よりも大人に見せている。時折腕時計を気にしてみせる仕草は、事前の話どおり。
メイリはそんな彼女に見惚れ、完全に言葉を失っていた。
「……可愛らしい方ですね。それで、皆さんこれからどうなさいますか?」
各々抱く感情は多少違えど、すっかり口を閉ざしてしまった彼らに対し杏樹が口を開く。すると勇太が「まずは一つ」と、手を上げた。
「俺の力で、彼女と対話したいと思うんだ。そこで何かきっかけが掴めれば、その先動きやすくなるだろうから」
「まぁ、もしかしてテレパシーですか?」
「うん…勇太さん、お願い」
「テレパシー!? すっげぇな!」
杏樹に感心されアキラに励まされた後、興奮するメイリに勇太は思わず苦笑いを浮かべながらも一歩を踏み出す。
後ろに佇む五人の視線が勇太へと集まるのは勿論、周囲で入場待ちをする者達の視線も六人に集まっている気がした。
目の前に立っているにもかかわらず、彼女は勇太の存在など気にも留めていなかった。まるで、最初から見えていないかのように。それは勇太に限らずだが、彼女と周囲には見えない隔たりがあるように思えた。
「くっ……」
今まさに力を使っているであろう勇太が、一瞬苦しそうな声を上げる。
何が起こっているのか分からないままやきもきしていると、不意に杏樹が一歩を踏み出した。
「――あの、私もお手伝いいたしますね」
微笑みながら、杏樹が勇太の隣に立つ。その右手の平には小さなオルゴールが乗っていて、彼女がそれを回すと綺麗な旋律が辺りに響いた。
「――――ぇっ!?」
そしてそれは勇太の力に同調するようで。
「――…うぁっ!?」
少し驚いたような声を出した後、勇太は半歩程後退りした。オルゴールの音はいつの間にか止んでいる。周囲の視線ももうこちらにはない。何も起きないことが分かり興味が失せていたのだろう。
何か考える様子の勇太に杏樹は「今ので何か分かりましたか?」と問いかける。
「あ……東雲さん、ありがとう。それ不思議な力、ですね?」
「お役に立てたのならば光栄です」
微笑む杏樹とは逆隣にアキラは立つと、勇太の顔色が気になったらしい。確かに顔色が良くなく、能力を使ったことで負荷でも掛かったのだろうか。
「っと言うか、勇太さん…大丈夫?」
「なんか顔色悪いし、調子良くねぇんじゃねーの!?」
揃って心配の声を口にすると、勇太は力なく笑ってみせながら、一つ頼みごとを口にする。
「アキラさんにメイリ君……ありがとう、大丈夫。けど、これから言うことをちょっと調べてもらいたいんです」
「勿論、何でも言って」
「調べ物? んなの俺に任せろって!」
言いながらメイリは得意げにスマートフォンを取り出した。
「彼女の名前は鷹木・卓美(たかぎ・たくみ)さん、ここに来る前に交通事故にあった。時期は恐らく去年の春頃、この周囲の道路で。そして彼女は今もどこかの病院で眠ってる」
「亡くなっていない……生霊と言うことですね。可哀想……」
杏樹の言葉を聞きつつも、メイリは先ほどの単語を次々と入力していく。ネットとは便利なもので、該当する事故が掲載された新聞記事に行き当たった。事故は去年の一月十七日、午前九時頃でひき逃げ、犯人は未だ捕まっていない。ちなみに午前九時は平日の開園時刻だ。しかし勇太がこの周囲の道路とは言ったものの、記事で彼女は少し離れた路線の駅周辺で見つかったと記載されていて、メイリは思わず無言のまま首を傾げた。
「彼女は多分、彼氏であるコウくんって男を強く意識してる」
「自分が行けなかったこの場所で、生霊となってその方をずっと待っているのでしょうか……? 健気ですね…」
そして別ブラウザを立ち上げると、今度は少し違う方向から検索してみた。すると彼女の事故に関してを綴ったブログに行き当たった。彼女と同じ学校の同級生であり、友人が書いたものらしく、当日楽しくトリプルデートになるはずが…という悲痛の思いが残っている。どうやら事故当日は卒業遠足だったらしい。近年のブログやSNSに身元が判明してしまう情報を軽々しく載せてしまうのはどうかと思うものの、今回はそれで助かった。
彼女は意識不明のまま、この遊園地近くの病院に今も眠り続けているらしい。
「……もしずっと待ってるのならば、もしかしてその男性を連れてくれば?」
アキラと勇太が何か言っているものの、記事を読み進めるとそこから彼女が通っていた高校もなんとなく特定された。そこから今度は裏づけと、高校の場所を検索。この高校の昨年の卒業遠足と、事故の日が完全に一致すると安堵の息を吐く。
「多分。でもその為にはまず、彼女がどこの人間だったかを知らなくちゃいけなくって」
そして完全に都立高校だということが判明したところで「分かった!」と思わず大きな声を上げた。皆の視線が集まる中、メイリは端末を弄りながら収集した情報を伝えていく。
「都立高校に通ってた子だってさ。病院はこの近辺みたいだけど? 卒業遠足でここに来る途中ひき逃げにあって、犯人はまだ捕まってないって」
そこまで伝えると顔を上げた。短時間でここまで調べ上げた腕はきっと自分でも賞賛に値すると思うものの、今はそれよりも大事なことがあるせい、だろう。皆進展があったことに心なしか喜びながらも話はまっすぐ進んでいく。
「その高校へ行って話、聞けないかな。そうすればコウくんって、人のことも分かるかもしれないし?」
「そうですね、そうしましょう」
アキラの考えに杏樹が即座に同意した。
「ぇ、杏樹…さん?」
「というわけで、私たち二人はその高校へ行ってみますね」
言うや否や、杏樹はメイリが調べた高校の所在地を確認し、アキラの腕に自らの腕を回すと歩き出す。
その光景は最初こそまるで恋人のようにも映るが、どういうわけかその後アキラが杏樹に引きずられるようにも見えた。
「……(普段は強いけど、幽霊は苦手な女の子……いいな、ギャップ)」
そんな考えを巡らせたメイリと共に残された勇太と言えば――。
「――行っちゃったし」
「俺はちょっと休んだらまた動こうかと思ってるけど、メイリ君は?」
勇太が問えば、「俺か? 俺は……――」と少し考えて見せた後「あ」と声に出し。
「ところでさ、事故現場って正確に分かるか?」
メイリはふとそう言った。
「? 地理と景色が分かれば、大体は」
「んじゃ、地図」
するとメイリは地図アプリを起動させ、勇太へと提示する。
「ええっと――この辺り、じゃないかな。多分」
少し自信がなさげなものの、そう指すとメイリは「……確かに近い」と、位置情報を記録した。ここから見る限り、やはり事故現場と駅の間は距離がある。
「んじゃ、俺ひとっ走りしてくるから!」
そして勇太の言葉も聞かず猛スピードで現場へと向かう。
メイリには気がかりなことがあった。そのいくつかは解消したものの、勇太が伝えた事故の場所と、実際記事になっていた現場との違い、それに加え壊れた腕時計のことだ。少女の大事なものなのではないか、という予想はしていた。
もしかしたら、実際の事故現場で何か彼女に関する手がかりが掴めないだろうか。そう考えながら走り到着した場所は、比較的大通りにもかかわらず、交通量の少ない道路だった。もしかしたら時間帯によって交通量が変わるのかもしれない。
そして彼女は実際この場所で事故にあい、もしかしたら別の場所へと移動されたのかもしれない。
事故はおよそ一年前の出来事。仮にここで起こったとして、些細なことでも目撃した者が居たとしても、もう記憶にない可能性もある。そう思いながらも、メイリは周辺をガサガサと駆けずり回り、何か手がかりはないかと探索を始めた。
行きかう人の数もそう多くはなく、話を聞いてはみるが、向こうの駅の方でそんな事故もあったかもしれないという程度。有力な情報は掴めそうになかった。
「くっそ、空振りか!?」
誰かに命令されたわけでもなく、思わず自ら突っ走ってしまったらこの始末だ。もう諦めて帰ろう。高校の場所を考えれば、あの二人も後少しすれば戻ってくる頃だろう。そう、道端に座り込んでいた腰を上げると、不意に後ろから近づいてきた人の影が止まった。
「――さっきからなにやってんの。探しもん?」
背中に掛かる声に振り返れば、一人の男が立っている。見た目は高校生か大学生か、曖昧なところだ。
「あー…えっと、と、時計を! 多分この辺りに落ちてるんじゃねぇかなー、っと」
一応平然と答えるものの、腰を下ろしていたメイリにする質問にしてはおかしい。さっきから、ということは長い間どこかから見られていたのかもしれなかった。
「……へぇ? 落としたの、いつ頃?」
対面した様子から悪い感じは見えないものの、一体何だろう?とメイリは内心身構える。
「多分去年」
「多分って…」
男は苦笑いを浮かべながらも、その場を立ち去ろうとはしない。
「曖昧なんだから、しょーがねぇじゃん」
「…まぁ、去年ならもうないんじゃない?」
「…………やっぱ?」
偶然にも何か見つからないものかと思ったものの、ないものは出てきようもないというものだ。
「残念だね。生憎俺は去年偶然この辺りで時計を拾ったけど、……それはちゃんと持ち主の元に返ったよ。あんたの時計もどこかで見つかればいいな。案外、思いも寄らない場所にあるかもしんないし」
そう言うだけ言うと、男は「それじゃ」とメイリに背を向け行ってしまった。
ただ、彼が完全に去ってメイリは気づく。思いも寄らない場所――それは彼女の事件と似ている気がした。
結局もう一探し終え遊園地に戻ると、丁度杏樹とアキラも戻ったばかりのようだった。
□□□
遊園地に戻ると、入り口には既に三人の姿があった。
思わず遠くから「おおおおおおい!」と叫ぶと、勇太がその声に気づき顔を向ける。
「あ、メイリ君もお帰り」
「ただいまっと」
全力で走ってきた割に、メイリの息はさほど切れていない。
「えっと、それでアキラさんたちは何か分かったんですよね?」
一体どこに行っていたのかという問いは後にして、勇太はまずアキラに問う。
「……そうそう、鷹木さんと交際していたのは、日向・航平(ひゅうが・こうへい)さんと言うらしいのだけど、残念ながら今は消息不明でした」
「卒業アルバムの写真は拝借してきましたよ」
そう言い、杏樹は一枚の紙を取り出し、勇太とメイリへと見せた。卒業アルバムのクラスページのコピーだ。メイリは多少上がった息を整えまともには見ないものの、日向と書かれた名前の顔に勇太が息を呑む。
「どうかしましたか?」
「いやぁー……さすがに全速力で戻ってきたら疲れた。さてと、俺にも見せ――」
そしてようやく写真を見ようとしたメイリに、勇太が切羽詰った様子で言い寄った。
「っ……メイリ君! この人を全速力で捕まえて、数分前に中に入ったはずだから!!」
「ひっ!!!? もっ、もちろん、任せてくれよ! って……あれ??」
言った後に写真を見てメイリは首を傾げる。どうしてか、この顔は見覚えがある……。
「と、とにかく行って来るから! ちゃんと捕まえとくからついてこいよ!」
言い終わるや否や、メイリはスタートダッシュをきった。
とは言え、園内の構造は分からないし、恐らく広い園内でたった一人を探すのは至難の業だった。アトラクションに乗っていたりすれば当然見つけられることは出来ないと思われたが、メイリは屋外フードコートでその男を見つけた。
「やっぱそーだ!」
風貌を見る限り、彼は高校生か大学生くらい。明るい茶色の髪と軽そうな雰囲気だが、写真より少しやつれて見えた顔は何があったというのか。それでも、確かに写真のおとこだったし、それはつい先ほど、メイリに話しかけてきた男でもある。
声に驚き食事の手を止めた男は、駆け寄ってきたメイリを見て首を傾げた。メイリはそんな彼の背後に回り、首根っこを掴むと「捕った!」と声を上げる。
「なっ、なん!?」
男は抵抗を見せたものの、椅子を倒す程のもみあいの末いいからここに大人しく座っていろ、というメイリに負け大人しくなった。
程なくして三人の姿を見つけると、メイリは大きく手を振る。
「つっ、捕まえたからな、ちゃんと。こいつだろ!」
「なっ、なに……あんたはさっき探し物してたヤツだし、そっちは入り口で眠ってたヤツで…」
今の状況が理解できていない男は囲まれる形となり、杏樹が近寄ってくると更に萎縮した。
「日向航平さん、ですよね?」
「うっ……なっ、なんだよ……お前ら一体」
まともに杏樹の顔を見ることもなく男はそう言うが、彼が日向で間違いなさそうだ。
「鷹木卓美さんの件なのですが――」
アキラが本題に入ろうとすると、彼は途端にメイリの手を振り払い逃げ出そうとした。
咄嗟に勇太が構え、思わず杏樹がオルゴールを取り出そうとする、そのどの一手より早くアキラが動く。
「ぐぁっ…!!!?」
男は短い悲鳴を上げた途端ばたりと地に倒れた。
「もしかして、アキラさん?」
「ちょっとした電撃を。スタンガン並くらいだから大丈夫、時期に起きますよ」
「今の内に彼をゲートへ連れて行く戦法ですか?」
杏樹の問いという名の提案に、三人は顔を見合わせる。話を聞かず逃げ出そうとした彼には、やはりそのような方法が一番手っ取り早そうだ。
杏樹を除いた三人の内二人が順番に日向の腕を肩に回し、少し彼のつま先を引きずりながらもゲートまで戻ることにした。多少人目はあったものの、途中わざとらしく「大丈夫か?」など話しかけているように装い。
「皆さん、頑張って下さいね」
そんな美少女の声援を受けなんとかゲートまで戻ると、再入場スタンプを押してもらい外へと出た。
彼女は相変わらず同じ場所に居て、今この場からは後姿が伺える。近づいても彼女はまだ気づかない。ただ、介助された日向を目の前にした瞬間、彼女の顔に生気が戻った――というには多分語弊があるものの、確かに表情からは哀しみが消え、その眼に光が射した気がする。
「…コウくん、どうしたの? それにあなたたちは?」
日向を認識したと同時、あんなに目に入らなかった四人の姿も今この瞬間認識したようだ。
そして彼女の声が届いたのか、たまたまそのタイミングで意識が戻ったのか。
「――ん…うっ……ぇ…?」
目覚めた日向は正面に立つ彼女に驚き、自分の両腕が勇太とメイリになかば拘束されていることに驚き暴れだした。
「バッ、カ…! ちょっ、…」
「うわっ、メイリ君!?」
暴れる身体を上手く支えられず、そのまま総倒れとなってしまう。
「ふふっ、大丈夫? でも…ようやく来てくれた」
彼女はその場から動くことはないものの、三人を少し心配した後日向に向かいそう言った。言葉通り、彼女はずっとここで彼を待っていたことに間違いはないようだ。
「なっ、なんでこんなことをっ…!?」
地面に転がり起き上がった男は、四人を見ると酷い形相でそう言った。
「依頼もあるけど、俺たちは彼女を助けたいんです」
「待ち合わせ、されていたのでしょう? 女の子を待たせるなんて、駄目ですよ?」
勇太と杏樹の言葉に顔を伏せる。
「でも……こんなことしたら」
力なく発した声。それに反し朗らかな彼女の声。
「まず時計ね、探してくれてありがとう。壊れて時間は分からなかったけど…これがあったから、ずっとこうして待ってられたよ」
「時計――もしかして……?」
彼女の言葉にメイリはさっきのやり取りを思い出した。
「アイツが消えるかもしれない……」
出会いたかった彼女と、出会いたくはなかった彼。
「それを恐れて、あえて彼女と対面することを避けていたということですか?」
確かに、こうすることで彼女が消えるというのならば、現在意識が戻らない彼女も消えてしまうかもしれない。そんな不安を抱いても仕方ないのかもしれなかった。けれど、そうして避け続ければ彼女の未練は晴れないまま。もしかしたら四月から学校で又三年生を繰り返すかもしれない。そしてこの時期に又、遊園地に現れるのかもしれない。それがいいことだとは思えなかった。
彼女は彼の言葉を聞きながらも、自分はただ去年果たせなかった遊園地デートをしたかったと言う。
「ね、あの時果たせなかったデートをしよう?」
念を押すよう繰り返す彼女に根負けしたのか、彼は立ち上がり彼女の手を取った。
「えーっと、これでもしかして解決じゃん?」
「一応は。でも、明日この場に彼女が現れなければ解決確定、ってことじゃないですか?」
「草間さん、終わったら連絡くれれば後は自由にしていいって言ってたけど――」
「折角ですから遊んでいきましょう? 遊園地、楽しそうですしね」
しかしそうして再び園内に入ろうとした四人の目の前、彼と彼女が共にゲートをくぐった瞬間、彼女の姿だけが忽然と消え四人は思わず足を止めた。
彼にその感触はなかったけれど、繋いでいたはずの手が彼女を求め宙を掻く。けれど何も掴めずその場に崩れ落ち、俯き肩を震わせた。
しばらくすると一度拳で地面を殴りすくりと立ち上がる。そうして四人を振り返ると一礼した。上げられた表情は出会った時よりほんの少し晴れて見えるものの、そのまま彼は遊園地を後にする。
終わってみれば、当初怯えたほどの恐怖などなく、三人は内心胸を撫で下ろす思いだった。本当の恐怖はここからだということも知らず――…‥。
□□□
「まずは何乗りますー?」
勇太は園内マップを広げ、三人にどうするかを問う。
「……コーヒーカップ、なんてどうです?」
「ああ、いいじゃん! あのぐるぐる回る――」
「最初はやっぱり絶叫系、ですよね」
杏樹の静かな提案にアキラとメイリが口を噤んだ。
「お、東雲さん分かってる! で、最後も絶叫系ってヤツ!」
「ですよね。間にも勿論入れておきたいです」
盛り上がる勇太と杏樹を見て、蚊帳の外な二人は思わず顔を見合わせた。
「…………えーっと、メイリくんはどうしますか?」
「……っ、俺も絶叫系! 空いてれば降りてまたすぐ乗りたい勢いだしっ!」
やけっぱちにしか聞こえないものの、そのノリと勢いはやはり評価すべき点かもしれない。
「それでは、そんなに絶叫系がお好きなメイリさんは是非先頭にどうぞ」
そして今、メイリは後悔している。
「え…?」
「あ、俺も先頭がいい! メイリ君隣おっ邪魔しまーっす」
流されるがまま、メイリは先頭に座る羽目になってしまった。
「あ…杏樹、さん……は大丈夫、なんですか?」
安全レバーを両手でぎゅっと握り締め、その手をがくがくと震わせるアキラは、興信所で見た時よりはるかに怖がり、顔面蒼白状態だ。
「はい、絶叫系は楽しいですよね。スッキリしますし」
そう言うと同時、アトラクションは動き出す。まずはもっとも頂上を目指し緩やかに上っていく。その処刑台に向かわされるような、じわじわとした恐怖にメイリが早くも足をばたつかせた。
「め、メイリくん? 叫ぶにはまだ早いよ?」
「だ、だだだ…」
「……だ?」
「だめだぁああああああああああああ!」
「ちょっ…!? え?」
「ぅ…うぁあああああっ!?」
「えっ、何、今度はアキラさんなの!?」
メイリの声に驚いたのか、まだのろのろと動く車体の上でアキラまでもが声を上げ始めた。
「……全く、男の恥だな」
早くも上がった絶叫の中、杏樹がポツリ呟いた言葉と同時車体は頂上に辿り着き、一瞬声が掻き消える。
風が、とても冷たかった。
「ぎっ、ぎゃぁあああああああああぇぁああああああはぁあああああっっ、ぎっぁ…!!!!」
「ぅっぁあああっっっ!!!?」
「いやっほー! 気持ちいいー! サイコー!」
「ふふっ、ふふふっ」
終点まで辿り着くとたまたま並んでいる客が折らず、そのまま折り返し乗ることになった。アキラはベンチで休もうとするものの、杏樹が腕を掴んで離さない。メイリは今しがた下手に叫びすぎて噛んだ舌から血が出て、しかめっ面状態となっているが、勇太に「ほらほら、楽しいからもう一度行こうよ!」など言われ、それにノってしまう。
二度目は杏樹とアキラが先頭で、再び園内に男の叫び声がこだました。
そして二度目を終え出たところで、勇太が何かに気づき足を止める。
「あ、これ!」
「最初の落下地点での写真ですね」
モニターに映し出された映像は、コースター横のカメラで撮られたものだろう。勇太と杏樹はとても楽しそうだが、残念ながらアキラとメイリは先頭でそれぞれ白目をむいていた。いい顔が台無しだ。あまりにも不憫すぎるので、写真を印刷してもらうことは諦め、四人は再び園内をさまよった。
「――それにしても、少し歩き疲れてしまいました……」
「杏樹さん大丈夫ですか? 気づいたらもうお昼も過ぎてるし、少し休憩にしましょう」
「まだちょっと遊び足りないけど賛成!」
「俺先に行ってさっきの辺りで席取ってくる!」
さっきとは、フードコートのことだと三人もすぐに理解する。
そうしてメイリが確保した席で四人は遅い昼食を取った。途中食事や飲み物が足りなくなると、メイリが挙手して走っては買いに行く。日本での生活がこんなパシリのようなものでいいのかという疑問も残るが、彼は嬉々としてそれを引き受けていた。
「では、食後も絶叫系からですよね」
「賛成〜……――って、なんですかここは、東雲さん!?」
杏樹がそう言って足を止めた先を見て、勇太は思わず突っ込まずにはいられない。
「何って…とても怖くて絶叫すると評判らしいお化け屋敷ですよ」
「皆さん今日は彼女と対面してなんともなかったようですし、もしかして克服できたのではないでしょうか?」
本物の幽霊よりも、人の手によって作られたお化け屋敷という空間は、案外心霊現象よりも読めなくて無茶が酷い。
「あの……でも私は正直まだ怖くて。でもあと少しで克服できるかもしれないので、もしもの時は守って…くださいね」
その初めてではない光景は、三人にとってまさに悪夢の始まりの合図である。
まるで広く複雑な迷路とお化け屋敷が融合したかのような場所で四人は道に迷った。
「出口はどこでしょう? でも思ったよりも楽しいですね。ね、皆さん?」
「む、むっむり、むりもう絶対無理嘘だって言ってくれよぉおおおおおおおお!!!!」
「ぁあうぅぁあああっ、あんじゅさぁああん!? うっ、ど…どこ、どこですかぁ……うっ、ひっく…み、見えないです…何も…」
「ううっ…あの子は、大丈夫だったのに……うっ…くっ…こんな、作り物に…ひっ!?」
その後泣き喚き叫び散らした男三人は、途中の非常口から外へと脱出し、杏樹一人が悠々と出口から出ては、なんともいえない笑みを浮かべていた。
やがて少しずつ陽は落ちていくものの、閉園まではまだ時間がある。もう少しすればナイトパレードも始まるだろう。四人はその後、後半戦の絶叫系――ジェットコースターなどを思う存分楽しみ、叫び、たまにはコーヒーカップを回してみたり、杏樹以外にはまるで罰ゲームのようなメリーゴーランドの白馬に乗ってみたりと、遊園地を満喫しそれぞれの家路へと着いていった。
「……終わった…」
声に出し、その声にメイリは驚いた。どうやら叫びすぎて喉を潰したらしい。泣きすぎた目は腫れぼったく、おまけに泣きすぎでなのか眠い。
なんと言う一日だったのだろうと思い返すが、今覚える疲労感はさっきまではなかったものだ。疲れなど感じないほど、確かに楽しい一時だったには違いない。
姉には依頼を回してくれたことを感謝するべきかもしれないと思いつつ、帰ったらまずは報告だ。この喉が壊れてしまった経緯を話すのは癪だが、多分避けては通れない。上手く、遊びすぎで嗄れてしまった――で誤魔化せればいいのだが……。
彼女のその後は分からなかったけれど、最後に見た笑顔はしばらく忘れられそうにもない。
空を仰ぐと、丁度星が流れたところだった。
結局今回の件が月刊アトラスの大々的な特集記事になることはなかったものの、遊園地にもう彼女は現れなくなったという点を中心に、今までの経緯が記された。
見本誌を読み終わった武彦は、本を音を立て閉じるとテーブルの上に放り投げる。
「――……結局うちの名前は書かれてないじゃないか!」
「あ、忘れちゃったみたいですね」
載せたら載せたら多分怒るくせに――と内心思いながらも、桂はそう軽く言ってのけ「次回ちゃんと載せるよう、言い聞かせておきます」と、本を放り投げてきそうな勢いの武彦に微笑み消えた。
行き場のない怒りを込めた拳をジッと見つめていると、奥で大人しくしていたはずの零が手に何かを持って走ってくる。
「兄さん、兄さん」
「なんだ? ……土産の皿に土産の菓子を乗せたのか」
「はいっ。とっても可愛いです」
零は遊園地に満足したらしく、今でも当時を思い返してはご機嫌だ。
「……まぁ雑誌も来たことだし、あの四人も呼んで茶にするか」
そう言いながら、武彦はゆっくり電話に手を掛けた。
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
[1122/ 工藤・勇太 /男性/ 17歳/超能力高校生]
[8650/ 東雲・杏樹 /女性/999歳/高校生]
[8584/ 晶・ハスロ /男性/ 18歳/大学生]
[8484/メイリ・アストール/男性/ 16歳/高校生]
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、李月です。お届け遅くなりまして申し訳ありません。
この度はグループでのご参加有難うございました。今回こうした括りでの参加でしたので、解決後のお遊び以外ほぼ個別(それぞれの視点)状態のかなり特殊な進行となっております。お時間が許しましたら他の方も見ていただけると、それぞれ意外な発見があるかも…ないかも……です。心情的な部分はほとんど他の方には出ていませんので…。
さて、多少曖昧な部分や有耶無耶感は残りますが、ほぼ良い結果として解決しました。お疲れ様です。
大筋は前部隊と変わりないものの、前には出なかった方面の情報が出たり、出会わなかった人が居たり…となっています。
全員お初ということで、動かしながらちょこちょこ修正していたのですが、大きな誤差がありましたら申し訳ありません。
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
【メイリ アストールさま】
こちらでは初めまして、この度は有難うございました。設定がかなりツボっていたのですが、なかなか生かしきれたかが定かではなく、申し訳ないです…。最初は誰とも繋がりがなく(とは言えメイリくん自身は分け隔てなく、といった感じですが)タイミングも悪く、中盤まで少々孤立したようにも思えるものの、さまざまな努力の結果勇太さんには完全に足の速さを買われたようです。
スマホ持ちという事で図書館要らず、そして足もあり、とても調査向きでした。
時計は実際の事故現場付近にあり、事故後日向が見つけ彼女の元へと返していますが、時計を気にした上で探し回り、日向とばったり出会ったのは、ある種の幸運だったのでは…と思います。お陰でその後すぐに見つけ捕まえられましたし、時計を探すメイリくんの姿を見て彼自身何か考えたかもしれません。
それでは、又のご縁がありましたら……。
李月蒼
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