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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


プールに遊びに行こう!

 開店するプール施設の無料招待券を当てた瀬名・雫は、SHIZUKUと影沼・ヒミコと共に休日に訪れた。
 何名でも招待できるということで、他の友達にも声をかけている。
 雫は赤いチェック柄のワンピース水着、SHIZUKUは青いビキニ、ヒミコは黒のニットホルタービキニを着て、プールサイドに集まった。
「まっ眩しい…。今日は良い天気過ぎるわね」
「雫はパソコンばかり見ているから、太陽を眩しく感じるのよ」
「たまにはこうやって外で遊ぶのも、健康的で良いですね」
 太陽の暑さにやられている雫とは反対に、二人は青空の下ではしゃいでいる。
「みんな、お待たせ」
 そこへ着替え終えた逸見・理絵子がやって来た。
 可愛らしいビキニを着ており、その上から薄手のパーカーを羽織っている。長い髪は束ねて後頭部でまとめたシニヨンにしていた。
 いつも持っている『ぐれむりん』という名のぬいぐるみを今でも持ち込んでおり、もう片方の手には日焼け止めのクリームを持っている。
「あっ、みんなは日焼け止め塗った? 私はもう塗り終わったから、まだなら貸すよ」
「…っていうか、誰っ!?」
「ええっ!?」
 三人を代表して、SHIZUKUがツッこんだ。
 雫とヒミコは、マジマジと理絵子を見る。
「あっ、でもこの髪と眼の色、それに持っているぬいぐるみを見ると…」
「…もしかしたら理絵子さん、ですか?」
「そうだよ! 私は理絵子! 見て分からない?」
「「「分からないです」」」
 三人はキッパリと否定した。
 それと言うのも、今の理絵子は水に濡れても落ちないメイクをしている。
 職業の一つにコスプレ系アイドルとある理絵子のメイクの技術はプロ並みであり、しょっちゅう顔が変わってしまうのだ。
 そのせいで知り合いでも、なかなか理絵子と見抜けない。
 雫がプールに一緒に行くメンバーを集めた時、招待券はそれぞれパソコンや携帯電話、スマートフォンなどに転送して送った。
 待ち合わせは施設の中と決めていた為に、今日はじめて理絵子の顔を見ることになったのだ。
「相変わらずややっこしい顔をしているのね。あっ、日焼け止めは貸して。あたし、まだだった」
「ううっ…! だってコレが私の仕事の一つなのに…」
 どんよりしながらも、理絵子はSHIZUKUに日焼け止めを渡す。
「でも理絵子ちゃん、そのぬいぐるみ、プールに持ってきて大丈夫なの?」
 雫は理絵子の腕の中にあるぬいぐるみを、心配そうに指さした。
「大丈夫。濡れてもフワフワしたままだから」
「防水加工をしてあるんですか?」
「まあそんなところ」
 ヒミコの問いかけに、理絵子は意味ありげに微笑む。
「さて、せっかく来たんだから、遊ばなきゃ損だね。あっ、浮き輪があるよ。借りてこようっと」
 理絵子は黄色い生地に、緑色の蝶蝶柄の丸い浮き輪を借りた。
 続いて三人もそれぞれ浮き輪を借りて、四人はドーナッツ型の流れるプールに入る。
「結構流れが早いわねぇ」
 二メートル近くもあるシャチ型の浮き輪に乗りながら、SHIZUKUははしゃいでいた。
「流れるというよりは、流されるプールだね」
「でも気持ち良いです」
 雫は背もたれ付きのフローティングラウンジを、ヒミコはマット型の浮き輪に乗っている。
「…みんな、個性的な浮き輪を選ぶんだね。特に雫さんのは楽そう」
 三人の浮き輪を見て、理絵子は少し羨ましそうに呟く。
 特に雫の浮き輪は一見、座椅子のように見える物でとっても楽そうだ。
「水に濡れると体力使うからね。こういうのが一番楽なの」
「プールに遊びに来といて、それはないんじゃない?」
 雫の返答に、SHIZUKUの眼に怪しい光が宿る。
「てりゃあっ!」
「きゃあっ!」
 SHIZUKUは突如足を伸ばし、雫の浮き輪を蹴った。
 雫は何とか上でバランスをとったのでプールに落ちはしなかったものの、涙目でSHIZUKUを睨み付ける。
「何するのっ!」
 怒鳴りつけるのと同時にSHIZUKUに向かって足で水をかけようとしたものの、ヒョイっと避けられてしまう。
「おっと、危な…」
「きゃあっ!?」
 しかしSHIZUKUの近くにいた理絵子に水がかかってしまった。
 頭からびしょ濡れになった理絵子は軽く頭を振ると、キッ!と二人を睨む。
「やったらやり返す! これが本当の水掛け合い!」
「りっ理絵子さん、それは正しいけど、何か違います…」
 ヒミコのツッコミは、白熱する水掛け合いをはじめた三人の耳には届かなかった。


 体力尽きるまで水の掛け合いをした後、ようやくプールから出て、休憩することになる。
 休憩場で体を休めた後、今度はウォータースライダーで遊ぼうとSHIZUKUが言い出したので、三人は頷いて同意を示した。
「ちょうど四人一斉に滑られるようになっているのね」
 階段をのぼり、滑り口を見て理絵子は少し驚く。
 右側から赤・青・黄・緑の滑り台があり、四人が並んで一気に滑ることが可能だ。
 滑り台は赤は雫、青はSHIZUKU、黄はヒミコ、緑は理絵子の順に座る。
「みんな、一斉に滑るわよ! それじゃあゴーっ!」
 SHIZUKUの掛け声と共に、一気に滑り降りる。
 中は筒状になっており、水が流れているので、寝そべりながら滑るのだが、途中でカーブがあったりするので体の向きが不定期に変わっていく。
「ちょっ…結構、激しいぃ!」
 ぐれむりんを必死に抱きしめながら、理絵子は悲鳴を上げながら落ちていった。

ザッパーンッ!

 派手な水しぶきをあげながら、四人はプールに落ちる。
「アハハっ! 楽しかったわねぇ」
 SHIZUKUはすっかりハイテンションになっているが、雫とヒミコは理絵子と同じく驚いて声が出ない状態になっていた。
「さっさすが開店したばかりのプール施設…。ハンパじゃないわ」
 雫はぐったりしながらも、プールから上がってくる。
「私は驚きましたけど、楽しかったです」
「ヒミコさん…。顔に似合わず行動的なのね」
 理絵子はヒミコの隠されたパワフルさに、驚きを隠せなかった。
「あらー。みんな、ぐったりしているわね。じゃあ少し休んで、次は普通のプールに入りましょうか?」
 SHIZUKUが指さしたのは、25メートルの長方形のプール。学校にもあるプールだが、一番慣れているプールでもある。
 特に反対する理由が無かった三人は賛成した。
「と言ってもただ泳ぐだけじゃなんだし、泳ぐ速さでも競いましょうか! 負けたら全員にアイスを奢るってのはどう?」
「ひぃっ!? あっ甘い物…」
 SHIZUKUの突然の思いつきに、理絵子の顔色が変わる。
「あー、SHIZUKUちゃん、ダメだよ。理絵子ちゃんは甘い物が大の苦手なんだから」
「雫さんの言う通りです。理絵子さん、飲み物にしましょうか?」
 ヒミコが落ち着くように肩に触れながら言うと、理絵子は青白い顔で頷いた。
 理絵子が落ち着いたところで、四人はそれぞれコースに並ぶ。
「泳ぎの種目はそれぞれ好きなのでいいわ。それじゃあよーい、ドンッ!」
 

「う〜、何か理不尽。ここに誘ったのはあたしなのに、みんなに飲み物を奢らなきゃいけないなんて…」
 雫はブツブツ言いながら、施設から出てくる。
 競争でビリになったのは雫だったので、全員に飲み物を奢ったのだ。
 ちなみに順位はSHIZUKU、ヒミコ、理絵子、雫となった。ヒミコの意外な行動力と運動神経さに、全員が驚いたものだ。
 飲み物を買って休憩場で一息つく頃には、空があかね色に染まっていた。
 今日はここでお開きということで更衣室に着替える為に入ったのだが、一番早く出てきたのは雫だ。
「お待たせ〜」
「遅くなってすみません」
 SHIZUKUとヒミコが一緒に出て来る。
「アレ? 理絵子ちゃんは?」
 しかし理絵子の姿が見えないので、雫は周囲をキョロキョロと見回す。
「私はこちらです」
 声のした方を見ると、そこにいるのは上品な白いワンピースに身を包んだ女の子。長い髪を揺らし、白いつば広帽をかぶっている。
「…あっ! 理絵子ちゃんね? まーたそんな顔をして…」
「メイクですので」
 気付いたSHIZUKUに向かって、理絵子はクスクスと笑いかけた。
 理絵子はぐれむりんを腕に抱いており、髪の色と眼の色はいつもと同じなので、特徴からSHIZUKUは見抜いたのだ。
「先程までは元気で明るい女の子で、今度はお嬢様ですか…。本当に理絵子さんのメイクの技術は凄いですね」
「ありがとうございます、ヒミコさん」
 笑い終えると理絵子は真面目な表情になり、三人に向かって頭を下げる。
「今日はありがとうございました。とても楽しい一日を過ごせました。またこういう機会がありましたら、呼んでくださいね」
 ペコッと頭を下げて、理絵子は歩き出す。
「理恵子ちゃん、次も違った顔を見せるのかな?」
「まあ面白いと言えば、そうよね」
「飽きない人ですね」
 三人は理絵子の後ろ姿を見ながら、思い思いの感想を呟いた。
 

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【8670/逸見・理絵子/女性/16歳/コスプレ系アイドル・学生】


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■         ライター通信          ■
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 このたびは依頼に参加していただき、ありがとうございました。
 プールを満喫することができて、三人もとても喜んでおります。
 三人に代わり、お礼を申し上げます。
 また一緒に遊んであげてください(笑)。