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<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


TCの制服がヤバい&着てみた件


 醜悪・凶悪な蟲の軍勢が、久遠の都を蹂躙すべく進軍中である。
 その行く手に、ほっそりと可憐な人影が3つ、軽やかに降り立った。
 セーラー服姿の、3人の少女……綾鷹郁、三島玲奈、そして瀬名雫。
「蟲が来ました。こんな時!」
「戦わなきゃ守れないもの、いっぱいありますよねぇ〜」
「でもTC部隊に入っていれば一安心。何故なら、この制服がもらえるからでぇっす!」
 セーラー服が、ちぎれて飛んだ。
 少女3人の背中から、翼が広がっていた。
 際どいハイレグビキニを貼り付けた肢体が3つ、翼をはためかせながらの飛び蹴りで、蟲の軍勢へと突入して行った。


「どすこーい!」
 可愛らしい尻に褌を食い込ませたまま、郁が蟲2、30匹をまとめて体当たりで吹っ飛ばす。
「食い込むだけが能じゃない、この褌! 宇宙最強の神・海亀様のパワーがゲット出来る優れものよん。ブラは便利な異次元ポケット仕様。生命維持装置も無限酸素ボンベも搭載済み、着替えもサバイバルキットも楽々収納出来ちゃいます!」
「この褌ビキニだけで全宇宙どこでも行けて、基本任務はこれだけでオッケー! けど思春期の女の子に、褌はちょっとハードル高過ぎかなぁ〜?」
 雫のアナウンスに合わせ、画面が切り替わった。
「まずは、このビーチバレービキニと陸上ブルマで身体を慣らしていきましょう」
 喋りの担当が、玲奈に変わっていた。
「屋内では翼が邪魔ですよねえ。だけど大丈夫。ちゃんと畳めば、このブルマの中にキッチリ収納出来ます。全然、痛くもありません……え? 翼なんか最初から生えていないって?」
 玲奈が、にっこりと笑った。
「大丈夫、TC部隊で入隊処置を受ければ自然に生えてきますから……みんなで、天使になりましょう」


「これ、イジメでもシゴキでもないから安心して!」
 叫びながら郁が、スクール水着姿で雪山を走り回っている。
 安心させる事など到底、出来そうにない状況であった。
 機甲改造を受けた蟲たちが、スノーモービルの如く雪を蹴立てて郁を追い回しているのだ。
 彼らの全身から大小様々な銃身が現れ、一斉に火を吹いた。
 銃撃が、郁の全身をパチパチと殴打する。銃弾は全て、スクール水着によって跳ね返されていた。
 無傷の郁を狙って蟲の1体が、ミサイルを発射する。
 爆風に吹っ飛ばされる感じに、郁は跳躍した。
 それと同時に、画面が切り替わった。雪山から、バラエティ番組風のスタジオへと。
 郁は、沸騰寸前の熱湯風呂に飛び込んでいた。
「熱……くない、大丈夫! この防弾耐熱防寒スク水を着ていれば、海王星の酷寒も金星の灼熱もビバノンノンな温泉旅行気分だよん♪」


 群がり襲って来る蟲たちの真っただ中で、玲奈が舞っている。
 優美に躍動する細身を包むのは、レオタードである。
「次はレオタードの紹介。敏捷性と跳躍力を、飛躍的に高めてくれまぁす」
 雫による説明を受けながら玲奈が、リボンを鞭のように振るい、あるいはフープを放り投げ、蟲たちをことごとく捕縛してゆく。
「こちらの三島ヘナちゃんは元々身体能力がバケモノなので、これを着ると無双モードに入っちゃいますが……運動音痴な文科系女子でも、トリプルアクセル・イナバウアーを決め放題! 歌って踊れて戦うアイドルを目指す貴女にお薦めの逸品でぇす!」
 ボール型爆弾が、蟲の大群を吹っ飛ばしていた。


「はい質問。こんなに重ね着して暑くないんですか? お姉さん」
「んっふふふ、TCは生足から放熱出来るのよん」
 玲奈の問いに、郁がにこやかに答えた。
「だから夏でも冬でもズボンは厳禁! 脚線美に自信のあるそこの貴女! 久遠の都・環境保護局は、365日24時間いつでも入隊窓口開けて待っとるきに」


 続いては、作業着である体操服とブルマの紹介である。
「ガテン系女子を目指す、そこの貴女! 悪い奴らは、お仕事の最中でもお構い無しに襲って来ます。嫌ですねえ」
 事象艇の整備をしながら郁が、工具を片手に汗を拭い、カメラ目線を決めている。
「そんな時のための、対衝撃ボディースーツと銀ラメパンツ! 備えあれば憂い無しってね」
 言いながら、それらを手際よく重ね着している郁。
 そこへ、凶暴な翼龍の群れが襲いかかる。
「って言ってる傍から! 何なのよぉ、こいつら!」
「龍族の襲撃よ! 気をつけて、郁さん!」
 玲奈が、チアガール姿で応戦を開始する。
 慣性制御繊維製プリーツスコートを装着した細身が、まるで妖精の如く宙を舞い、翼龍たちを翻弄した。
 完全に、慣性を無視している。妖精と言うよりは妖怪の動きだ、と郁は感じた。
「妖精の舞い、かおるが見せちゃるきに!」
 アンスコを翻しながら、郁は跳躍し、応戦に加わった。


 やがて、敵が翼龍だけではなくなった。
 翼龍に騎乗して空を飛ぶ、龍国の兵士たち。その大部隊が、格納庫を包囲している。
「ここは重装甲・重火力の出番ね……」
「派手にブチかますぞね!」
 玲奈が、郁が、濃紺のセーラー服を身にまといながら外に飛び出した。
 龍国の飛行戦闘部隊が、少女2人に一斉砲撃を浴びせる。
 降り注ぐバズーカ弾の豪雨。それらが郁と玲奈を容赦なく直撃する。
 爆炎の中から、しかし2人の少女は無傷で躍り出た。装甲セーラー服が、爆発を弾き返していた。
 躍り出た2人の前方では、角龍や雷龍に騎乗した龍国機甲兵団が待ち構えている。飛行部隊に比べて機動力は劣るものの火力に勝る、重装備の陸戦部隊である。
 その重火力が、一斉に放たれた。
 重装砲弾や地対地ミサイル、ファイヤーブレス爆弾……戦艦をも爆砕する砲撃の嵐が、2人の少女に集中する。
「ローラーダッシュ!」
 郁と玲奈の叫びが、重なった。
 2人の両脚を包む、加速装置内蔵ルーズソックス。それがチュイィイイイインッ! と轟音を発した。
 駆ける少女2人の身体が、地面を削って土煙を立てながら高速蛇行し、砲撃をかわしてゆく。彼女らを追尾するように、爆発が各所で地面を抉る。
 次々と生ずる爆発の火柱を回避しながら、郁が、玲奈が、スカートをはためかせた。
 はためくスカートの襞に隠されていたマイクロランチャーが、反撃の火を放つ。超電磁砲に小型ミサイル。
 空中の翼龍が、地上の角龍や雷龍が、騎乗している兵士もろとも花火の如く爆散していった。
 その戦闘の様子を紹介しつつ雫が、少々やけくそ気味に明るい声を発する。
「これだけ付けてお値段、人間やめるプライス〜♪」
「鬘支給もあるよー」
 背後から雫の鬘を奪い取りつつ、郁が言った。


 以上が、瀬名雫のホームページにアップされた動画の内容である。全宇宙に配信された。
「すごい、すごいよ雫ちゃん! 再生回数が六千阿僧祇回突破!」
 郁が、手を叩いて喜んでいる。
 雫が、得意気な声を発した。
「うっふふふ、これがゴーストネットOFFの実力だよん。まあ2人にも頑張ってもらったからねー」
「……ほんと、死ぬかと思った」
 ぐったりと机に突っ伏しながら、玲奈は言った。
「まあ、これで入隊希望者が増えてくれるなら」
「そう! 全宇宙・全時代の美少女を、片っ端からTC部隊に勧誘するのが、久遠の都・広報部長たるあたしの仕事! いや使命!」
 勝手に広報部長など名乗りながら、雫は眼光を燃やした。
「そして……どいつもこいつも、あたしと同じ目に遭わせてやる……ふ、うふっ、うっふふふふふふ、みぃんな禿になっちゃえー!」
 これほど活き活きとした目の光を、玲奈は見た事がなかった。