コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<PCシチュエーションノベル(ツイン)>


双方向パラレル





 たとえばこういう可能性は考えていなかったんだろうな。たぶん。
 それでも被害は最小限な方だよ、うん。間違いなく。
 ある意味相性最悪かもしれない相手。なんとなく。
 っていうか、相性最悪かもしれない場所! 想定外!!
「ノゾミ! 後ろ!!」
 呼ばれて反射的に前に向かって地面を蹴った。
 立っていた場所のすぐ後ろをマグマだか溶岩だか、とにかく鉄も瞬時に溶かしそうな超高温のドロドロしたものが、まるで間欠泉よろしく吹き出してきた。
 ノゾミの頬を汗の粒が流れ落ちる。冷や汗、というよりはこの場所がもたらす熱気のせいだろう。ノゾミの氷針がものの数秒で蒸発するほどの熱さなのだ。
 その熱気を凌ぐために纏った霧も時間と共に削られていく。“敵”の力ではなくこの場所が与える地形ダメージによって。
 つまり“敵”を倒して全てが解決するわけではないということだ。戦う相手は自然と言っても過言ではない。
 場所を変えるにはそれなりの準備がいる……と思う。そもそもここへ来るのにも―――来る予定は微塵もなかったが―――それなりの準備が必要だった……はずだ。
 ノゾミは小さく息を吐いて“敵”を見据えた。
 そこには見上げるほどの炎の巨人がノゾミと、そしてカナエを見下ろしている。
 ―――まぁ、何とかなるっしょ!
 その巨体に向けてノゾミは勢いよく走り出したのだった。





 なんでこんな事になったんだっけ? ―――※





 端末のGPSを確認しながら鬱蒼と生い茂った森の中を抜けるように進んでいくと、突然霧が晴れたように草原が広がった。
 なだらかな丘の上に一本の楠が立っている。そのGPSが指す目的の場所に見知った人影を見つけてノゾミは駆けだしていた。
「わーい! 久しぶり、カナちゃん♪」
 待ち人に木陰で読書をしながら時間をつぶしていたカナエが立ち上がり、声をかけたノゾミに応えるように右手をあげた。
「こっちだ」
 今にもはしゃぎだしそうな勢いでカナエの前に着地したノゾミに対し、カナエは特段喜んでいる風もない。
「最近、腕をあげたようだね。噂は聞いてる」
「どんな噂かなぁ……」
 ノゾミは肩を竦めぺろりと舌を出し、照れ隠しのように頭を掻きながら視線をそらし話題を変える。
「それで、えーと、この場所って……?」
 奥多摩の山奥にこんな場所があるなんて知らなかった。カナエにメールで呼びだされ、GPSで指定されるままにやってきたのだ。
「今日のこの時間は戦闘訓練扱いになっている」
 カナエは相変わらず淡々とした口調で答えになっていない答えを返してきた。
「……どゆこと?」
 さっぱり意味がわからない。
 要領の得ない顔をしているノゾミにカナエはそっと右手を翳しながら説明を始める。
「重力操作。最近身につけた能力だよ」
 翳されたカナエの右手に形容し難い違和感を覚え、反射的にノゾミが退くと、足下の小石などがふわりと浮き上がった。
「わぁ! 面白いな!」
 もしかして、自分が退かなかったら目の前の小石の代わりに自分がふよふよ浮いていたのかもしれない、と思うとちょっぴり残念な気がしなくもないノゾミだったが。
 その力を使って自分と戦闘訓練がしたいのだと理解して身構えた。わくわくしてくる。
 だが、カナエはさっさと右手を下ろしてしまった。小石たちが地面に落ちる。
「いろいろ試している内に、空間軸まで歪めることに成功してね。異界へと繋がる扉を作ることが出来るようになった」
「異界?」
 ノゾミは無意識に身を乗り出す。
「つまり悪魔や異形が跋扈する異界から、彼らを招き入れることが可能になったということだ」
 異界から悪魔を呼び出す。
「えーっ、それって召喚?」
 すごい、すごい、とはしゃぐノゾミにカナエは楠に向かって両手を翳してみせた。巨木の周囲に重力場が築かれ世界が歪む。そこに扉を開こうというのか。
「そうとも言うね」
 カナエの言葉にノゾミは何とも言えない高揚感に胸を躍らせて、その扉とやらが開くのを待った。しかし。
「だけど呼び出せるだけなんだ」
 と続いたカナエの言葉に思わず扉からカナエに視線を戻す。
「え?」
 一瞬、言葉の意味がわからなくなる。いや、言ってることはわかるのだが。
「使役するのは、なかなか難しくてね」
 ノゾミは扉へ視線を移す。扉と言ってもドアの形をしているわけではない。
「それで、ノゾミに手伝ってもらおうと思って」
 シレッとカナエは言ってのけた。
 ブラックホールのような、なんとも不思議な歪みの球体。
「やな予感がするんだけど……」
 ノゾミの視線が泳ぐ。
 どうやらカナエはただ異界の扉を披露するためだけに自分をこんなところまで呼び出したわけではなかったようだ。そうだカナエは最初に言ったではないか。これは戦闘訓練扱いだと。
 カナエが召喚した非使役対象と戦闘……訓練?
「何かしら条件があると思うんだけど、掴みきれてなくてね」
 刹那、扉は開かれた。
「ちょっ!?」



 ◆◇◆



「これ、狐火ってやつ?」
「さぁ?」
 扉からぴょんと飛び出してきたのは手のひらサイズの小さな火の玉だった。狐火と言ったが夜に仄かに灯るような青白い炎ではなく太陽に負けないくらい鮮やかなオレンジ色だ。それがふよふよと漂っている。一見無害、に見えてそれがひとたび草原に降り立つと、シロツメクサやクローバーを瞬く間に黒く焦がした。
「これ、やばくない?」
 と言うノゾミに。
「広げるなよ」
 というカナエの声が重なった。
 脊椎反射の如くノゾミが霧で周囲を覆う。
「これ、季節が季節だったら山火事になってたかも?」
 ノゾミが冗談っぽく笑う。ここに枯れ葉が敷き詰められていたら火はあっという間に燃え広がっていたかも知れない。今は夏だから生木がすぐに燃えだすこともないだろう。
「そうだな」
 カナエはノゾミの冗談をどこまで本気に受け止めているのか素っ気なく頷いた。
「そのままこの中に閉じこめておいてくれ。まずはこいつから使役してやる」
 カナエがゆっくり霧の中の火の玉に近づいた。カナエ自身霧を纏っている。
 警戒心剥き出しの子猫のように炎を逆立てた火の玉にカナエが徐ろに手を伸ばした。
「使役ってどうやるの?」
 ノゾミが尋ねたがカナエは聞いているのかいないのか、答えるでもない。
「いい子だ……」
 などと子供をあやすような言葉を呟きながら、しかし決してその顔は子供を優しくあやすような表情ではないのだが、カナエは更に手を近づけた。
 見ていればわかるか、と後頭部で手を組み見学体制のノゾミだったが、背後に嫌な気配を感じて振り返る。
「カ…カナちゃん……まずいよ、これ……。いっぱい出てきてる!」
「そっちは任せるよ」
 ようやくカナエが応えた。こっちは忙しいんだと言わんばかりで振り返ることすらしない。
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
 この状況がわかっているのか。扉から溢れるように小さな火の玉がポンポンと飛び出してきていた。ノゾミは霧を一帯に張り巡らせて数多のそれと対峙する。
 小さな火の玉たちがくっついてノゾミが見上げるほどの大きな火の玉になっても尚、カナエはその存在すら気づいてない風で。
「氷の風呂敷にでも包んどけ」
 などと言っている。
「氷の風呂敷って……なるほどね」
 ため息に楽観が混じってノゾミは地面を蹴った。ちぎれたシロツメクサが地を舞って再び地面に還るよりも速く。ノゾミは柔らかく広げた手のひらに力を集中した。霧が凝縮し巨大な火の玉を覆う。火の塊みたいなそれに感覚なんてものがあるのかどうかわからない。ただ。空気をピシッと鳴らせながら火の玉の周囲を氷らせていく。炎がその空気を感じ取ったのか氷らされまいとしてだろうその強さを増した。そんな事はもちろん想定内だ。相手の最大出力を推し量る。
 以前、カナエに言われた事があった。『炎と氷が戦ったら最終的にどっちが勝つと思う?』と尋ねるカナエに『さぁ?』と首を傾げていると『氷は絶対零度より下がることはないけど炎に上限はない』と。それからなんとなく自分でねじ伏せられる上限を気にするようになった。
「これくらいなら楽勝だねっ♪」
 ノゾミはシロツメクサを掴む。出来るかどうかじゃなくてとりあえずやってみる。霧が地面を張った。囚えたモノを氷らせる要領で氷らせられないだろうか。
 掴んだ先から氷っていくそれは根を伝い他の雑草たちにも広がって大きな氷の網を作った。
 炎によって溶ける、霧によって氷る。それらを繰り返しながら氷の網は堅く柔らかく変化しながら火の玉を捕らえあげる。
「よいしょっ!」
 勢いをつけてノゾミが網の先をひくと氷でありながらまるで柔らかな布のように包み、中の火の玉を圧縮。火の玉は小さく弾け飛んだ。
 最初の大きさに戻った火の玉にとどめ、とばかりに氷針を打ち込んでいく。火の玉は火を失い黒いボールのようになって辺りに転がった。
 ふぅ〜、やれやれと別に浮き上がってもいない汗を拭うように手の甲で額を撫でて「そっちはどう?」とカナエを振り返る。
 そこにカナエは難しい顔をして黒いボールを手のひらにのせて立っていた。
「そっちは失敗に終わったようだね」
 ノゾミが舌を出す。
「そうでもない」
 カナエが言った。
「そもそも失敗は成功の元だ」
 などと嘯いているカナエの手のひらの上で、黒いボールが突然ぽーんと跳ねた。
「!?」
 すると、ノゾミの周囲に落ちていたボールたちも次々に跳ねだした。
 咄嗟に身構える二人を囲むように黒いボールが回り始める。
「まだ、元気だったみたい♪」
 どこか楽しげに言ったノゾミ。
「今度こそ使役してやろう」
 と、言葉は意気込んでいるようだが見た目も声音も全くそんな風に見えないカナエ。
 黒いボールが回るのをやめて二人の前で一つになっていく。
 それは突然のことで反応が一瞬遅れてしまった……のが二人の敗因だったのか。
 黒いボールがカナエの開いた扉から異界へと還っていった。
 結論から言えばカナエの開いた扉は一方通行ではなかったということだ。
 それは黒いボールの力だったのか。それとももっと別の何かが働いた結果だったのか。
 二人は次の瞬間その扉をくぐらされていた。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」



 ◆◇◆



「狐火とか言っちゃったけど、和風じゃないみたいだね」
 ノゾミが訪れた異界を見渡しながらどうでもいい感想を述べた。
「…………」
 何を考えているのかさっぱりわからない顔でカナエはその世界を見据えている。
「行ったことはないけど、火山の火口ってこんな感じかな?」
 ノゾミが肩を竦める。黒い岩に覆われた薄暗い中をまるでマグマが明かりを灯しているようだ。肌を焼く、いや溶かすほどの灼熱を霧を纏ってなんとか凌いでいた。
 カナエの開いた異界がどういう場所だったか、カナエは想像して開いていたのだろうか。それとも、どっかの異界、くらいの感覚だったのだろうか。判然としない。とはいえその一方で、今更確認したところで意味もないか、とも思う。聞いたところで明確な答えが返ってくるとも思えない。
 ただ。氷と炎はどちらが勝つかという問いを思い出した。だから“ここ”だったのかもしれない。
 黒いボールがマグマの熱を帯びて再び燃えだした。
 生きていたのか、そもそも生き物なのか、意識はあるのか、意志はあるのか、さっぱりわからないでいると、その火の玉に手を翳す巨大な炎の手があった。
「ぅわぁ……!!」
 思わず声が漏れる。感嘆とも驚嘆ともつかない。これは何ていう異形だろう。自分が知っている中で一番近い呼称を探す。イフリートとはこんな感じのものだろうか。
「時間を稼いでくれ」
 カナエがようやく口を開いた。還るための扉を開く。それまでしい。この炎の巨人―――名前はわからないが似たようなイメージから、便宜上イフリートと呼ぶことにした―――を引きつけておいてくれ、ということか。
 このイフリートも将来的には使役したいに違いない。だが、それをやる時間的余裕も、そして地の利もない。
「了解♪」
 軽やかに応えてノゾミは走り出した。





 ※―――そして冒頭に戻るのだ。





 火の玉はどうやら生き物ではなくイフリートが操るものだったようだ。ノゾミでいえば氷針といったところか。
 ノゾミは黒い溶岩岩を駆け上がった。全身をバネにしてイフリートに向かって大きく跳躍し渾身の右ストレートを狙ってみる。イフリートの張り手。その炎が頬を掠めるだけで火傷しそうだ。
 かろうじて霧の防御でかわす。
 とりあえずイフリートの注意がノゾミだけに向いているのを確認して着地と同時に飛び退く。着地点にはイフリートの拳。
「無茶をする」
 この距離でカナエの声が聞こえたような気がした。
 カナエのサポートはない。こっちのサポートに力を使い過ぎて還る扉を開く余力がなくなったら本末転倒もいいところだろう。
 幸いといよぶべきか、今のところイフリートはあの火の玉―――ファイアーボールの方がイメージに近いだろうか―――を使ってくる気配はない。
「肉弾戦なら助かるかなー♪」
 とんでもメテオなんかよりはずっとマシだ。ちょこまかとイフリートの足元を走り抜けて翻弄する。巨体故に力は強いが動きはさほど速くはない。それでも炎にあてられる。
「相手は炎を纏っているんだ」
 力によるサポートはなかったが、アドバイスによるサポートはあったらしい。
 どうしてここまで鮮明に彼の声が聞こえてくるのかはさておくとしてノゾミはイフリートから離れるように間合いをとった。
「なるほど、閃いたっ♪」
 斜に構えつつ胸元に手をあてる。その手で自分のシャツを掴んだ。草を凍らせた時と同じ要領で。ピシッと空気が凍りつく音がした。
 服を凍らせていく。
「冷たぁ〜」
「バカ、ノゾミ。関節まで凍らせてどうする」
 カナエが重力の歪と霧によって作ったらしい空気の管を通ってその声は直接ノゾミの耳に届けられる。
「え? ……ああっ!」
 腕どころか膝も足首も曲がらない。これでは走ることも出来ない。
「失敗、失敗」
 ぺろりと舌を出す。カナエのため息が聞こえたような気がしたのは気のせいだろう。そういう感情を外には一切出さない奴だから。
 この熱気を利用して氷を解かす。
 今度は間違えないように関節部は霧だけにして全身に氷の鎧を纏った。
 それはイフリートが間合いを詰めてパンチを繰り出すほどの短い時間。
 再びノゾミは走り出した。
 イフリートは炎を纏っている。つまりそれは奴が炎そのものではないということだ。岩を蹴って飛び上がる。振りかぶった右手は開かれたまま。
「ちぇーーーすとぉぉぉぉぉぉ!!」
 イフリートが纏う炎の中に飛び込んだ。熱くて……でも冷たい。自分が捻じ伏せられる熱量なんてとっくに限界を超えている。
 突き出した右手がイフリートの生身に届いた。その体の中に直接叩き込むイメージで。
 無数の氷針を束ねて作った氷の槍。貫いたのはイフリートの右足だ。杭のように打ち込んだら、イフリートは勢い余って膝を付いた。
 空気を大きく震わせる咆哮、或いは雄叫び。そのまま後退って身構える。全身の火傷なんて大量分泌されたアドレナリンの前では蚊にさされたほどの感覚すらない。
 それでも、立ち上がるなとどこかで願った気がする。
 イフリートのそれが痛みを堪えるための絶叫だと気づいた時、その巨体がみるみる内に小さくなっていった。
 ノゾミほどの大きさになって手をつくイフリートに戦意喪失とみて、安堵と共に全身の痛みを自覚してノゾミはそのままその場に仰向けに大の字になって寝転がった。
 治癒能力を発動させながら。それでも、何故だか気分はまだ高揚していて。
「あー、楽しかった♪」
 そうしたら、何を思ったのかイフリートがノゾミを真似るように隣に寝転がった。
 ノゾミはそれにニッと笑顔を向ける。
 それから思い出したように上体を起こして声をかけた。
「ねぇ、熱くないの?」
 イフリートは首を傾げている。言葉が通じていないようだ。こういう時は万国共通の意思疎通手段―――あれを使うほかない。
 のぞみは起き上がって両手を振りながら右足で2回、左足で2回けんけんをしながら言った。
「あっちっちっあっちっちっ」
 そうしてイフリートの顔を大丈夫かとばかりに覗き込む。
 ノゾミ曰く完璧なジェスチャーが通じたのかどうなのか。
 イフリートが上体を起こして右手をノゾミに掲げると、ノゾミにまとわりついていたこの地がもたらす熱気がすっと消えた。
「やったー! サンキュー!! あ、そうだ、カナちゃんも!」
 ノゾミは思い出したようにカナエの方を指して「あっちっちっあっちっちっ」とやり始めた。
 熱気がおさまった事に驚いたのか、相変わらず表情なく振り返るその顔にノゾミはドヤ顔を向ける。
「まさか、ノゾミ、使役を?」
「え? 違うよ。えぇっと……」
 ノゾミはイフリートと顔を見合わせしばし考えていたのも束の間。
「友達♪」
 ニカッと笑って断言する。
「…………」
 カナエは何も言わず、すっと視線を逸らせた。表情からは全く読み取れないが、なんとなく呆れているような気がしなくもないけど、ノゾミはそこを軽やかにスルーして。
「それより扉は?」
 と尋ねる。
「ああ、間もなく開く」
 その時、ノゾミの裾を何かが引っ張った。
「うん?」
 振り返るとイフリート……と呼び続けていいのか、炎を操る友人が立っている。
 ジェスチャーで意思疎通をはかっているノゾミにカナエが尋ねた。
「どうした?」
「えぇっと、ジンが一緒に行ってみたいって」
「……ジン?」
「うん」
 ノゾミは、先ほどまで炎の巨人だった今は少年の姿の彼を指す。どうやら彼の名はジンというらしい。
「……本当にそう言ってるのか?」
「うん!」
「言葉がわかるのか?」
「全然」
「じゃぁ、どうして来たいとわかる?」
「勘♪」
「…………」
 自信満々のノゾミにカナエはこの日何度目かの言葉を失った。



 長い長い話し合いの結果。
「また、今度、絶対な」
 ということ折り合いをつけてノゾミとカナエは無事、元の世界に還れたのだった。






■■完■■