■最後の悪夢■ |
商品名 |
流伝の泉・キャンペーンシナリオEX |
クリエーター名 |
ゆうきつかさ |
オープニング |
ついに人形遣いのアジトが判明した。場所は青森県内にある古びた洋館だ。屋敷の周囲は高い壁で囲まれており、ナイトノワールでなければ飛び越える事は難しい。また屋敷の庭には動物型の人形が徘徊しており、屋敷に辿り着くためには庭の森を越えていかなくてはならなくなるだろう。動物型の人形は数十体ほどあるため、一気に駆け抜けるのが得策だ。迂闊に戦闘を行えば重傷を負う可能性があるからだ。
また屋敷の中にはさまざまなトラップが仕掛けられており、突然天井が落ちてきたり、水攻めにあったりするらしい。他にも大量の人形が屋敷のあちこちに配置されているため、くれぐれも注意をしておこう。屋敷の奥で人形遣いの少女は待っているが、彼女と同じ姿をしている人形達がたくさん配置されているため、最後の最後でトラップに引っかからないで欲しい。
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シナリオ傾向 |
戦闘系 |
参加PC |
二神・麗那
水神・操
鷹村・夢
月島・日和
ジェフト・イルクマー
織田・慈愛庵
タスク・ディル
橘・沙槻
ゼシュト・ユラファス
篠崎・公司
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最後の悪夢 |
「‥‥おかしいな。もし仮に祖霊の言っている事が正しいのなら、屋敷の中には無数のトラップが仕掛けてあるだけでなく、少女と同じ姿をしている奴らがたくさんいるって事か?」
祖霊招来を使って罠のありかと館の主の居場所を聞き出し、逢魔・ディルロード(w3a289)が疲れた様子で溜息をつく。
祖霊の言っている事は曖昧で、詳しい事は何ひとつ分からない。
「あきらかに罠でしょうね。きっと屋敷自体が僕達を潰すトラップでしょう」
事前に集めた情報を元に、逢魔・拗祢王(w3d811)がある程度の予想を立てる。
拗祢王が調査している間ずっと何者かの影を感じたため、既にこちらの情報が筒抜けである可能性が高い。
彼らの操る事の人形は何処にでもあるのだから‥‥。
「とにかく少女達の居場所は分かった。あとは迷う事なく突き進めって事かも知れないな」
少女の待っている大体の場所を想定し、ディルロードがゆっくりと屋敷を睨む。
「高圧電流は流れていないようね。だったら飛び越えても問題ないわ」
警戒した様子で壁にむかって枯れ枝を放り投げ、二神・麗那(w3a289)がほっとした様子で溜息を漏らす。
屋敷の明かりはランプだけで、電気が使用されている気配はない。
「んしょ、んしょ‥‥。少し重くなりましたかぁ〜?」
タスク・ディル(w3e937)を抱えて飛び上がり、逢魔・レミル(w3e937)が大粒の汗を流す。
「‥‥そんな事はないはずだ。緊張しているせいで、重く感じるんじゃないのか?」
ゆっくりと地面に着地し、タスクが真グレートザンバーを召喚する。
「そうかも知れませんねぇ〜。それじゃ、他の方にも協力をしてもらい、みんなを移動させますねぇ」
そう言ってレミルがタスクと別れを告げ、向こう側へと戻っていく。
「こうした方が早いんじゃない?」
真ワイズマンクロックを使って壁を爆破し、鷹村・夢(w3c018)が素早く壁を潜り抜ける。
それと同時に警報が鳴り響き、屋敷の明かりが次々と灯っていく。
「これから何があるか分からないからな。お守り代わりに持っておけ」
逢魔・セラティス(w3c686)にむかって真シルバーエッジを放り投げ、ジェフト・イルクマー(w3c686)が壁の穴から庭を睨んで走り出す。
「ジェフトさんも気をつけてくださいね」
心配そうにジェフトを見つめ、セラティスが真シルバーエッジを握り締める。
「さあ行こうか‥‥。最後の悪夢とやらへ」
真ディフレクトウォールを展開し、ゼシュト・ユラファス(w3f877)が壁の穴をすり抜けた。
辺りには既にドーベルマン型の人形達が待機しており、ゼシュト達を見つけると一斉に咆哮をあげて牙を剥く。
「まったく‥‥無茶をするな」
そう言って逢魔・デューシンス(w3c018)が壁を飛び越え、ゼシュト達の後に続いて屋敷を目指す。
「‥‥シャレにならない数ね。これじゃ、無傷と言うわけにはいかないわ」
真パルスマシンガンの斉射し、月島・日和(w3c348)が悔しそうに唇をかみ締める。
今まで力を蓄えていただけあって、人形遣いの数も半端ではなくケタ外れにレベルも高い。
「これだけ危険が多いと祖霊も役に立たないな」
祖霊招来を使って危険感知を行い、逢魔・白紋(w3b295)が残念そうに首を振る。
「オジさんが悪いわけじゃないよ。これだけ敵が多いんだから‥‥」
破壊された人形を飛び越え、水神・操(w3b295)が白紋の肩に手を置いた。
「ただの人形というわけでもないようだな。強化外骨格を使った特別製の人形か」
真パルスマシンガンを乱射しながら、ゼシュトがチィと舌打ちする。
人形の材質は様々で木製の物から特別製のものまであるようだ。
「粘土製の人形まであるわね。いくら壊してもくっつくから、倒すのが面倒だわ」
真テラーウィングを使って飛び上がり、麗那が呆れた様子で愚痴をこぼす。
幸い空を飛ぶ事の出来る人形が存在していないため、いくら麗那達が先に進んでも妨害にやってくる人形はいない。
「迷っている暇はない。いくぞっ!」
真ショルダーキャノンをぶっ放し、ジェフトが真ジャンクブレイドを振り下ろす。
しかしドーベルマン型の人形はジェフトの身体に喰らいつき、力任せにわき腹の肉を噛み千切る。
「空から行くのが正解だったようだな」
真テラーウィングを使って上空まで飛び上がり、織田・慈愛庵(w3d811)が真闇蜘糸<スパイダーズウェーブ>を放ってジェフトの事を助け出す。
「さすが‥‥敵の本拠地だな」
真ジャンクブレイドを杖代わりにして、ジェフトがゆっくりと立ち上がる。
しかし、ドーベルマンが次々とジェフトの身体に飛び掛り、狂ったように彼の身体を貪った。
「今のうちに先を急げっ! こんな場所で重傷をおったりしたら、笑い話にもならないぞ!」
真ショルダーキャノンを使って人形達を粉砕し、慈愛庵が真Dヘッドスマッシャ−を召喚した。
「ふざ‥‥ける‥‥なよっ!」
真ショルダーキャノンを近距離から発射し、人形の頭を木っ端微塵に粉砕し、ジェフトがフラつきながらも立ち上がる。
「‥‥幻の類は通用しないようね」
真幻魔影<ファントムシャドウ>を使ったものの人形達には全く効果がなかったため、麗那が落ち込んだ様子で溜息をつく。
一応、操り手のグレゴール達には効果があったのかも知れないが、人形達の数が多すぎてそれを確認する事は難しい。
「‥‥この雑魚がっ!」
全身から血を噴き立たせ飛び掛ってきた人形を真っ二つに両断し、ジェフトが雄たけびを上げながら次々と人形を破壊した。
「大丈夫ですかぁ〜? わっ、きゃあ!」
タスクの援護に向かったものの突然人形達に襲われたため、レミルが悲鳴を上げて飛び上がる。
「‥‥仕方ない。どこか安全な場所に避難しろ。このまま死なれても困るしな」
そう言ってタスクが真デヴァステイターを召喚し人形の脳天を撃ち抜くと、気合を入れて真グレートザンバーを力任せに振り下ろす。
「気をつけてくださいねぇ〜」
人形達からの追撃を逃れるため、レミルが涙を浮かべて安全な場所まで避難する。
「後ろを振り向くな! 一気に駆け抜けるぞっ!」
真マルチプルミサイルと真パルスマシンガンの併用して弾幕を張り、橘・沙槻(w3f501)が人形達を破壊し先を急ぐ。
すると人形達は壊れた人形で壁を作り、その間に別の人形達が地中から沙槻の足を掴み取り、倒れた所を一斉に群れを成して飛び掛る。
「主の背中は私が守るわ」
自ら盾となって人形達の攻撃を喰らい、逢魔・サウスウィンド(w3f501)が癒しの歌声を使って傷を癒す。
「ぐぁ‥‥。さすが人形達の砦だな。素直に通してくれないか」
人形の首を引きちぎり、沙槻が血まみれになりつつニヤリと笑う。
「だったら人形達にはご退場願いましょう」
そう言ってサウスウィンド(w3f501)が妖精のつむじ風を使って人形達を消し去った。
「次から次へと‥‥しつこいんだよっ!」
人形の放った毒矢を引き抜き、タスクが雄たけびを上げて人形を砕く。
「なんとか館に辿り着いたようね。みんな‥‥大丈夫?」
そして夢は荒く息を吐きながら、屋敷の扉を開くのだった。
「戦いの最中にインカムが壊れてしまったようですね」
壊れたしまったインカムを握り締め、篠崎・公司(w3g804)が溜息をつく。
「最初からインカムを狙っていたのかも知れませんね。私がもっと早く気づいていれば‥‥」
寂しそうな表情を浮かべ、逢魔・美影(w3g804)が黙って顔を俯かせる。
「誰の責任でもありません。壊れてしまった物は仕方ありません」
美影の肩に優しく手を置き、公司がニコリと微笑んだ。
「‥‥携帯電話も圏外のようですわね。これで連絡手段はほとんど断たれてしまったようですわ」
携帯電話の電源を入れ、セラティスが残念そうに首を振る。
「でもモバイルは生きているわ。これで何とか帰り道に迷う事はないようね」
モバイルが起動するかを確認し、夢がほっと胸をなでおろす。
「‥‥パソコンも生きています。念のためこちらでもマッピングしておきますね」
ノートパソコンを起動させ、逢魔・イスファル(w3f877)がコクンと頷いた。
「‥‥監視カメラの類はないようだな」
ランプの明かりでうっすらと見える室内の様子を確かめながら、タスクがゆっくりと廊下を歩いていく。
廊下のあちこちには奇妙な人形な飾られており、今にも一斉に動き出しそうな雰囲気だ。
「下手に触るな。‥‥罠かも知れん」
真デヴァステイターをゆっくりと構え、ゼシュトが慎重に通路を歩いていく。
「‥‥念には念を入れておかないとね」
ニードルアンテナを使って感覚を研ぎ澄まし、操が真ワイズマンクロックを先行させる。
「ここから左の通路は罠だけだ。正解は右だと言っている」
二手に分かれた通路の途中で立ち止まり、ディルロードが祖霊招来を使って正解の道を導き出した。
「最悪の場合を考えて印でもつけておくか」
油性マジックを取り出し、慈愛庵が壁に目印をつける。
「しばらくはこれでいけそうね。‥‥頼むわよ」
そう言って麗那がディルロードの後をついていく。
「あまり期待はするなよ。祖霊だって完璧じゃないからな」
苦笑いを浮かべながら、ディルロードが再び祖霊に道を聞き、正しい通路を突き進む。
「一体、この屋敷はどうなっているんですか‥‥。これじゃあ、とても人が住める場所とはいえませんよ」
唖然とした様子で廊下を見つめ、公司がしばらく言葉を失った。
廊下のあちこちにはトラップらしき仕掛けのスイッチが見えており、普通に歩いているだけでも何らかのトラップが発動しそうな雰囲気だ。
「屋敷の主はよっぽど偏屈だったのかも知れませんね」
苦笑いを浮かべながら、美影が公司を慰める。
「視覚的なトリックもあるようね。なんだかイライラしてくるわ」
トリックアートの描かれた壁から視線をそらし、夢が今まで通った通路をモバイルに記録した。
「何もかもが怪しく感じてしまいますね。統一感のない壁‥‥、傾いた床‥‥、ジッとしているだけでも吐き気がしてきます‥‥」
7色の絵の具を使って渦巻状に描かれた廊下の壁を睨みつけ、公司が眩暈に襲われその場にしゃがむ。
廊下の壁には全く統一感がなく、真っ赤な壁もあれば訳の分からない壁まである。
「‥‥これも罠のようですね。少し休憩しておきましょう」
疲れた様子で汗を拭い、美影が優しく囁いた。
「このわずかな傾きが船酔いにも似た感覚を生み出しているようですね‥‥」
壁にむかってもたれかかり、公司が険しい表情を浮かべて答えを返す。
「いつ落ちてもおかしくない床ね。本当にデザイナーのセンスを疑うわ」
トリックアートの床を見つめ、日和が呆れた様子で溜息をつく。
綺麗な青空の絵が描かれているのだが、妙な段差があったりするため段々気分が悪くなってくる。
「この屋敷を作ったデザイナーの神経を疑いますね。こんなの家じゃありません」
嫌悪感すら感じながら、公司が口元を押さえて先に進む。
「床の音が変わったわ。この様子からして下は空洞のようだけど‥‥」
歩いている途中で床の音が変わったため、日和が急に立ち止まり辺りの床を確認した。
「こりゃ、あきらかに罠だな。油断したらあっという間にまっ逆さまさ」
警戒した様子で飛び上がり、逢魔・悠宇(w3c348)が日和に警告する。
「ええ、分かっているわ。でも、それらしき仕掛けも継ぎ目も見当たらないようね。単なるフェイクって事かしら?」
真クロムブレイドの刃先で床を叩き、日和が首を傾げて呟いた。
「それにしても悪趣味な床だな」
まるで蛇皮のように奇妙なデザインをした床を睨み、沙槻が壁に触らないようにして慎重に歩く。
「‥‥行き止まりか? いや、罠だっ!」
足の重みで天井のトラップが発動し、タスク達を押しつぶすほどの勢いで落下し始めた。
「なんだ、こりゃ」
タスク達との合流を阻むようにして、壁のトリックアートから大量の人形達が現れ、沙槻達にむかって飛び掛る。
「任せろっ!」
真ワイズマンクロックに上着を被せ、タスクが人形達を引き付け爆破した。
「‥‥まったく面倒な事になったなぁ」
そう言って沙槻が真マルチプルミサイルを撃ち込み、真パルスマシンガンを乱射する。
「少しはダメージを受けすぎたな」
辺りに大量の血を撒き散らし、ジェフトが真ジャンクブレイドを振り下ろす。
「どうやら俺達の魔力切れを狙っているようだな」
そう言って沙槻が真六方閃<ヘキサレイ>を発動し、人形の群れを次々と砕いていく。
「人形達を混乱させてみます!」
忍び寄る闇を発動し、セラティスが人形の動きを止める。
しかし人形達はケタケタと笑い、セラティスの身体を切り裂いた。
「まさか効果がないなんて‥‥」
肩を押さえて後ろに下がり、セラティスが表情を強張らせる。
「大丈夫っ!」
妖精のつむじ風を使って人形達を消し去り、サウスウィンドがセラティスの傍まで駆け寄った。
「うわっ! いきなりかよっ!」
それと同時に床がパズルのようにして崩れだし、慈愛庵が床ごと下まで落下する。
「さっきは何もなかったのにっ!」
床が崩れた拍子にバランスを崩し、操が素早くワイヤーを飛ばす。
しかし、ワイヤーが引っかかる場所が何処にもなかったため、操は悲鳴を上げながら漆黒の闇へと飲み込まれる。
すべての光りを飲み込むほどの暗闇の中へ‥‥。
「出口のドアも遮断されてしまったようですね」
勢いよく閉まった入り口のドアをドンと叩き、公司が天井の壁を黙って睨む。
「慌てるなっ! 必ず突破口があるはずだっ!」
真ディフレクトウォールを展開し、ゼシュトが仲間達に向かって警告した。
天井は歯車の音を軋ませながら、ゆっくりと下に下りていく。
それはまるで死神が嘲笑っているかのように耳障りな雑音だ。
「‥‥仕方ない。このまま天井ごと破壊するか!」
天井めがけて真撃破弾<ブレイクシュート>を叩き込み、ゼシュトが落下してきた瓦礫を避ける。
「そこだっ!」
続いてタスクが真両斬剣<ギガプレイクス>を天井に放ち、天井の壁を真っ二つに切り裂いた。
「んなっ!」
それと同時に大量の水が降り注ぎ、室内をあっという間に水で満たす。
「‥‥天井を破壊するのは計算済みか」
奇妙な仕掛けに舌打ちし、ゼシュトが天井を睨みつける。
「今のショックでパソコンが壊れてしまったようです」
モニターが消えたのと同時に沈黙してしまったパソコンを見つめ、イスファルが残念そうに首を振りパソコンをその場に廃棄した。
「まったく小賢しい罠ばかりね。私達を使って実験でもしているのかしら」
ずぶ濡れになった服を見つめ、麗那が大きな溜息をつく。
「ここから上にいけるようだな」
そしてゼシュトは壊れた天井を睨みつけ、イスファルに頼んで上まで上げてもらうのだった。
まるで大きく口を開いた悪魔のようにも思える壊れた天井を越えて‥‥。
「イタタタタッ‥‥」
激しい頭痛に襲われながら、慈愛庵が何とか意識を取り戻す。
屋敷の地下はかつて拷問部屋として使用されていた名残なのか、無数の骨が転がっており壁には血で薄汚れている。
「怪我はないか」
日和の事を抱きかかえ、悠宇がゆっくりと着地した。
「うん。‥‥そっちこそ大丈夫?」
そう言って日和が心配した様子で悠宇にむかって問いかける。
「気にするな。それよりもなんかカビ臭くないか?」
恥ずかしそうに頬を掻き、悠宇が辺りを見回した。
「‥‥まるで墓地みたいだね」
身体についた埃を払い、操が懐中電灯を使って辺りを照らす。
地下の地面は土が露出しており、冷ややかな空気が漂っている。
「ここから元の場所に戻るのは難しそうね」
遥か上に位置する天井を睨み、夢が困った様子で溜息をつく。
「‥‥俺の存在を忘れてないか? この翼は飾りじゃないんだね」
自慢の翼を親指で指差し、デューシンスがクスリと笑う。
「ごめんなさい。すっかり忘れていたわ」
大粒の汗を浮かべながら、夢がてへっと舌を出す。
「お、おまえなぁ‥‥」
呆れた様子で頭を抱え、デューシンスが溜息をつく。
「とりあえず辺りを調べてみましょうか」
懐中電灯を使って辺りを照らし、日和が何かに気づいて立ち止まる。
「あっ‥‥ううっ‥‥」
擦れるような声を出し、暗がりの中で何かが動く。
「まさか‥‥生存者?」
そう言って操が慌てて人影にむかって近づいた。
「罠だっ!」
異様な気配を察知し、白紋が操を抱きしめ横に飛ぶ。
「ここにも人形がいるの!?」
土の中から次々と顔を出し始めた人形達に驚き、日和が真パルスマシンガンを乱射した。
「‥‥戦うしかないようね」
真ワイズマンクロックを展開し、操が人形遣いを睨みつける。
「‥‥俺達はここで足止めか。まったくサービス満点だな」
苦笑いを浮かべながら、慈愛庵が真ショルダーキャノンを召喚した。
「本体は彼って事ね」
真ディフレクトウォールを前に出し、日和が真パルスマシンガンを握り締める。
「‥‥みんなに追いつけるかしら?」
真魔炎剣<フレイムパニッシュメント>を付与した真クロムブレイドを振り回し、日和が人形達を次々と焼き払う。
「それはコイツら次第だろ!」
黒き旋風を使って人形達の行動力を減少させ、悠宇が冗談交じりに微笑んだ。
「もう少しで従妹を酷い目に遭わせた張本人に会えたのに‥‥」
落下したショックで傷ついた左肩を押さえ、沙槻が真ニードルアーマーを召喚した。
「もしもの場合は時空飛翔を使えばいい‥‥」
操を守るようにして穂先の無い槍を握り締め、白紋が人形遣いに狙いを定める。
「最後の部屋まで行きたかったなぁ‥‥」
そう言って夢が人形達の群れに向かってマルチプルミサイルを撃ち込み、真魔力弾<マジックボム>を叩き込む。
「みんな生きて帰ろうぜ」
そして慈愛庵はニヤリと笑い、人形達の群れに向かって飛び込むのであった。
「‥‥ここが少女の部屋か。レミル、これを持っておけ」
少女の姿を模した人形達が大量に置かれている部屋に辿り着き、タスクがレミルにむかって声をかけ真魔炎剣<フレイムパニッシュメント>を付与した真グレートザンバーを放り投げる。
少女の部屋は全くといっていいほど生活観はなく、無表情の人形がズラリと並べられているだけだ。
「それ以上、先に進まない方がいい。‥‥ワイヤートラップだ」
ワイヤーに触れるギリギリの所で立ち止まり、ゼシュトが少女の人形達を黙って睨む。
「光‥‥?」
暗闇の中で何かが光り、ゼシュトの足に突き刺さる。
「クッ‥‥、毒針か」
足に突き刺さった毒針を引き抜き、ゼシュトが辺りを見回した。
「毒針はワイヤーに触れさせるための罠だと思われますっ!」
幻影の篭手を使って毒針を弾き、イスファルが魔槍レナヴリスクを構える。
「一体、どこから飛んできているんだ!?」
ワイヤーに触れないように注意しながら、ゼシュトが毒針を次々とかわしていく。
「ワイヤートラップを発動させない限り、人形は破壊できないというわけね。毒針はワイヤーの隙間を潜り抜けてくるから、このまま大人しくしているのも癪だわ」
暗闇から放たれる毒針に気をつけ、麗那が真ワイズマンクロックを召喚した。
「‥‥トラップを発動させるつもりですか? それこそ敵の思う壺ですよ」
そう言って公司が麗那にむかって警告する。
「覚悟の上よ。このままじゃ、どちらにしてもやられるわ」
毒針が右腕に突き刺さり、麗那が険しい表情を浮かべて真ワイズマンクロックを爆発させた。
それと同時に屋敷全体が大きく揺らぎ、屋根がボロボロと崩れていく。
「やはり罠だったようですね。‥‥となると少女も」
空ろな瞳の人形達を見つめながら、公司が真パルスマシンガンを乱射した。
「‥‥少女の人形達も動き始めたようね」
影の蝙蝠を使って複数の人形を攻撃し、美影が公司にむかって声を掛ける。
「限界突破、始動」
魔操の篭手が光を放ち、イスファルが音速の乱舞を開始すると、舞い踊るようにして人形達を破壊した。
「一緒に地獄行きだけは勘弁して欲しいモノですね」
苦笑いを浮かべながら、公司が真ブレストミサイルを撃ち込んだ。
「この様子じゃ最初から少女なんて者は存在していなかったのかも知れない。俺達がいると思い込んでいただけで‥‥」
真ワイズマンクロックを爆発させ、タスクが真グレートザンバーを振り回す。
「そんな馬鹿な話があるか。だったら私達が追いかけてきたのはなんだったんだ? 単なる幻を追いかけてきたという事か」
納得のいかない様子で真ディフレクトウォールを展開し、ゼシュトが真パルスマシンガンを使って人形達を破壊する。
「悪い夢を見ていたという事さ。永遠に覚める事のない悪い夢を‥‥」
真デヴァステイターを使って人形の頭を粉砕し、タスクが人形達の中心で真ワイズマンクロックを爆破した。
「だったらすべてを破壊するのみだ。二度と亡霊が現れないようにするために‥‥」
真撃破弾<ブレイクシュート>を使って人形を破壊し、ゼシュトが背後から襲いかかってきた少女の人形を拳で砕いて、他の人形もろとも真パルスマシンガンを使って跡形もなく破壊する。
「‥‥お供します」
そしてイスフェルはゼシュトに向かって微笑むと、最後の一体が完全に壊れるまで少女の人形を破壊し続けるのであった。
崩壊していく屋敷の中で‥‥。
その後、崩壊した屋敷の中から何人ものグレゴール達が死体となって見つかったが、やはり少女の死体は見つからず事件は幕を閉じるのだった。
しかし、心の中に残った妙な胸騒ぎは収まらず、これが何かの前触れでしかないかのように警鐘を鳴らす。
これは終わりではなく、始まりでしかないと‥‥。
心の奥で誰かの囁く声が聞こえたから‥‥。 |