■DANCE FOR JOY■
商品名 流伝の泉・ショートシナリオ クリエーター名 高石英務
オープニング
「と、いうわけでじゃ」
 なにがそうなのかはわからないが、場所は福井駅前の(無事に残った)探偵事務所。
 その資料が散乱した机の上をむりやりどけると、飛び乗り巫女様の少女である蛇神密の珠姫(たまき)は、えへんと胸を張る。
「なにやら関東の方もきな臭いわ、雪花も大変だわ、翡翠はもっと大変だわ、瑠璃はあたふたしておるやら‥‥」
「ともかくさー」
 指折り悩みつつ一つ一つ数え上げる少女の様子を笑ってみて、椅子の背に腕組み乗せながら、名古屋から避難中の蔵谷祥子(くらや・しょうこ)は言葉を続ける。
「魔皇さんたちみんなを元気づけよう、てことでしょ、ぱーっと遊んでさ」
「その通りじゃ」
 我が意を得たりと珠姫はうなずくと、小さな流しから女は顔をのぞかせる。
「ちょうど、色々人が集まっていますし、壮行会‥‥とでもいうのかしら、よろしいかもしれませんわね」
 山中理恵(やまなか・りえ)はそうして微笑むと、この事務所の主にして福井の探偵密、神宮慶四郎(w3z042)は壁にもたれたまま新聞を読んでいた。
 振りかもしれない。
「というわけで慶四郎」
「‥‥」
「けーしろー」
「慶四郎さん」
「‥‥」
「聞こえないふりはダメよ、しろちゃん」
「‥‥それはやめろ」
 子供二人の甘い視線と大人の冷めた言葉に探偵は新聞を折りたたむと、諦めのため息をついた。
シナリオ傾向
参加PC 軍部・鬼童丸
トール・キリマ
須藤・明良
シン・クサカベ
桜井・信司
佐伯・宿儺
水無月・清二
高瀬・涼哉
御伽・蒼梓桜
緋月・龍
響・斑鳩
クラウド・クレイドル
森守・瑠音亜
レンブラント・デューラー
レイナ・アルスター
DANCE FOR JOY
「いいか、人は、食べ物じゃない。OK?」
 聖美山学院の家庭科室、皆が腕をふるうその場にて、桜井・信司(w3d126)は逢魔・千早丸(w3a770)に引きつった笑いを見せた。
「桜丼‥‥キリマカレー‥‥に‥‥水無月ソーセージ」
 逢魔のつぶやきに酒を運んでいた水無月・清二(w3e841)は吹き出し、カレーの鍋を見張るトール・キリマ(w3b125)の顔が青ざめる。
「美味し‥‥い物が‥‥一杯で‥‥すね」
「‥‥逃げるぞ!」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
 魔皇三名は光る包丁と視線にすぐさまダッシュ。すれ違いざま、逢魔・フィー(w3b125)は驚くと、逢魔・カンナ(w3d126)は千早丸に詰め寄った。
「千早! いつも信司に‥‥何考えてんのよ!」
「大丈‥‥夫です‥‥カンナ様‥‥も‥‥お慕い‥‥して‥‥おりますから」
「はいぃい!?」
 答えに混乱するカンナをよそに、千早丸はまな板に向き直り包丁を振り上げた。

「あら、暇なら手伝ってくれればいいのに」
 朝礼台の上で竹刀を肩に御伽・蒼梓桜(w3g253)は、走る三人の姿につぶやいた。
「あんたもな」
「おにーさんは労働は苦手なの」
 窯の火を調え、樽を転がすシン・クサカベ(w3b666)の声に、蒼梓桜は会場設営図をのぞいていつもの笑み。
「‥‥うーむ」
 一方、目の前のご飯+チョコを見て、珠姫は悩み中。
「大丈夫、心を込めて作れば、何でもおいしいよ♪」
「そうか‥‥蒼梓桜ー」
 森守・瑠音亜(w3h773)の明るい声に、茶色い固まりを手にした少女を見て、逢魔・ライハ(w3h773)は蒼梓桜の無事を祈った。

「まったく、千早の奴‥‥」
「ま、まあ、無事だからいいんじゃないかなー」
「そういう問題じゃないっ!」
 髪をすくカンナの剣幕に、逢魔・夜刀(w3d846)は苦笑いして、衣装棚を覗き込む。
「こんな所かなぁ?」
「赤い方が映えますよね」
 黒いドレスを身に纏い、緊張した面持ちで尋ねるフィーに、蒼楓院由香里は微笑みルージュを渡した。
「できたっ! 次はお化粧だよっ」
 そして得意満面な逢魔・アンジェラ(w3b666)の前、桃色の服に身を包むのは軍部・鬼童丸(w3a770)。慣れぬ服に顔はしかめるも、いつもと変わらぬ軽やかさを醸し出している。
「髪を足した方がいいかしら?」
「えー、このままでいいよ」
 衣装棚から由香里に反論、夜刀は水色のワンピースを選び終え、鬼童丸の隣へと。
「鬼童ちゃん」
「ん?」
 着せ替え人形中で固まる鬼童丸に、夜刀を初めに、皆は微笑みかける。
「あの人が何考えてるかわからないけど‥‥がんばってね!」

「単に飲み食いするだけだと思ったのに、ここまで大掛かりとは‥‥」
「だから手伝ってください、と言いましたのに。どこへ行ってらしたんです?」
 校庭に作られたステージと数多の料理を見て息をつく清二に、料理を終えた逢魔・セドナ(w3e841)は、水の服をドレスとなしてつぶやくと、男の複雑な表情に小首を傾げる。
「慶四郎、鬼童を“泣かす”なよ?」
 その後ろ、スーツに身を包んだ神宮慶四郎に、信司は追いつき、すぐに耳打ち。
「は?」
「これ以上野暮なこと言うんじゃないぞー。‥‥あいつが泣いたら何人敵に回すかってことさ」
「そういうこと」
 半眼で睨む男に問い返した探偵を、信司と挟むよう、タキシードに身を包んだレンブラント・デューラー(w3i313)は微笑みかける。二人とも、眼は笑っていない。
「口を挟むのも無粋かと思ったけど、見てると不憫でね‥‥まあ、魔皇と逢魔の、子を成せないということを気にしてるようだから、言うまでもないと思うけど」
 悪戯っぽい言葉にも動じない慶四郎を見て、デューラーは変わらず言葉を紡ぐ。
「でも立場は関係なく、君の気持ちをしっかりと告げるべきだ‥‥悔いのないように」
 うなずき信司が肩を叩くと、二人は手を振り光る会場へと足を運ぶ。
「‥‥たく」
 男は煙を吐き出すと、逆に闇へと足を向けた。

「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損、ってなぁ?」
「BEATは刻んでやる、各色揃えて、な」
 特設ステージで緋月・龍(w3g267)と響・斑鳩(w3g454)の通る声、STAY FREEはスタンバイOK。逢魔・幹也(w3g267)のスティックに逢魔・鶺鴒(w3g454)の声が加わり夕闇を切り裂くと、歓声がわき上がる。
「お気に召していただけましたか?」
「もっちろん! もっとさー、しみじみしてるって思ったんだけど、すごいじゃん!」
 着飾った女たちを出迎えレンブラントが礼をすれば、蔵谷祥子は満面の笑みを浮かべる。
「これでないといけないのか?」
「ドレスしかないんですよ」
 他方、珠姫は慣れぬ洋装にむずがり中。由香里の微笑みに、珠姫はしょうがなく会場へと。
「どう?」
「あ‥‥い、いや、その」
 下ろした金の髪に映えるは銀の髪飾り、金線が揺らめくは遅咲きの桜色。
「う、ん。似合ってる」
「もー」
 言葉を詰まらせ、面食らう信司の頬を軽く叩くと、カンナは口元をほころばせた。
「真面目に返されると、こっちも照れるじゃない」
「いや、マジだって」
「そ‥‥ありがと」
 続いてどちらからともなく手を取ると、二人は喧騒の場へとその身を進めた。

「この間のギガテンプルムの時も、この俺の大活躍があったってわけだ!」
「ほんとかよ?」
「信じられねえか?」
「まあね」
 料理を皿に山盛り、逢魔・グレン(w3g548)が下品に笑うと、須藤・明良(w3b343)とレイナ・アルスター(w3i841)の痛烈な答え。逢魔は顔をしかめて料理を流し込む。
 次瞬、真っ赤になった男は水飲み場へと直行。
「‥‥辛かったかしら」
「誰が作ったんですか?」
「私だけど」
 皿の上、真っ赤なパスタとチキンを見て佐伯・宿儺(w3d846)が尋ねれば、レイナの答え。
「これはまた、明良さんが作ったのかと思いましたよ」
「なんでだよ」
「ほら、名は体を表すと言いますし」
 声に一発殴ると、明良はボールを見せつける。
「すごーいっ!」
 そこにきれいに盛られたのはフルーツと杏仁豆腐。隣には見事なクッキーも山のように。それを一気に食べるアンジェラの様子を意外と見つめる視線に、女は顔をしかめる。
「義理チョコのお返しとか、普段から作ってるんだが」
「‥‥昔から、あげる方じゃなくて、もらう方なのよねえ」
 逢魔・ナギサ(w3b343)の注釈に納得すると、一同はめいめい、器を手にする。

「来てくれたんだ!」
「お、おい、失礼だろ」
「いや、気にしなくていいぜ」
 パーティーも半ば、やって来たのはジャッジマン。喜んで炎烈火に抱きつく瑠音亜をライハが注意するが、気にせず男は少女を抱き上げる。
「あのね‥‥るねあはかつやまが大好きだよ。ジャッジマンがね、大事なモノを守ること、あきらめない勇気を教えてくれたの」
 降ろされて、そして瑠音亜はもじもじと告げる。
「だから、東京にいくの。みんなが仲良くできるように頑張るの。‥‥応援、してくれる?」
「もちろん。心に正義が燃えている限り、俺たちは仲間さ!」
 しゃがんで烈火は小さな手を握り、熱く笑みを浮かべた。
「そういえば、ジャッジマンさんたちにはなぜギアスが働いていないんでしょう」
「私が説明しよう」
 連絡を返さない女のことを頭の片隅に、ふと出た宿儺の疑問に、背中に『正義』を輝かせながら、ジャッジ司令はクッキーをかじる。
「ジャッジマンは私の管轄下にあり、そして私はインファントテンプルムの声に‥‥平和について、考え直したのだ」
「‥‥と言うことは」
「管理する大天使が変わるのならば、その問題はなくなる」
 デューラーの問いにパイプをくわえ、大天使は空を見上げる。
「あれは平和を呼びかけるのみ‥‥そしてその平和は、そのもののやり方によるのだよ‥‥」

 夜は更け星が輝き、料理も片づいたころ。
「さて」
 あの世で、黄色きコートの男ににへらと酒を注いでいるであろう、死んだ仲間を思いながらクラウド・クレイドル(w3g548)が酒を流し込むと同時、シンは眼鏡を光らせる。
「とっておきの肴がある」
「‥‥にゃっ!?」
 言葉を聞いて寝ぼけ眼のアンジェラは、即座に校庭の対角線へ。一方衆目の視線の中、シンは小樽を手に取った。
「これぞ我が祖国の至高の逸品、スールストレミング‥‥」
「! ‥‥やめーいっ!」
 信司が気づいて蹴り入れたその時。
 ちょっとだけ開いた樽から漏れだした、つんと刺すような臭気に、一同は無言で皿を取ると、全力で男に投げつける。
「何考えてんのよ!」
「ドレスが穢れる!」
「遠慮なく食べっ‥‥ぶばっ!」
「ホサカンをいじめないでっ!」
 唯一擁護するアンジェラも、向こうで声を出すだけだったり。
「まったく‥‥うわっ」
 まだ刺激的な雰囲気が漂う中、逢魔・燐炎(w3e984)は高瀬・涼哉(w3e984)を突然叩くと、包み片手に男を引っ張り、校舎の中へと疾走突入。
「貴様、巫女とメイドとナースならどれが好みだ!」
「どうしたいきなり!」
「いいから答えろっ」
「‥‥ナースだな。有事の際に即戦力とな‥‥」
「なら簡単だ!」
 答えが終わる前に燐炎は大笑い。
 間髪入れずに閉扉、沈黙、そして扉開。そして現れたのは、薄桃ワンピースあーんど白ストッキングのナース。もちろん中身は推して知るべし。
「なんだ、これは」
「つまり! あの女装に対抗できるのはてめぇしかいないだァーッ!」
 着ておいてなんだもなんだが、女装中の涼哉の問いにサムズアップ、逢魔は答えを返す。
「ほう」
 グーでパンチが容赦なく逢魔を吹っ飛ばすと、涼哉と鬼童丸はその後、踏みつけた。
「だ、れ、が、女装だ!」
「ぎゃあァ! マ、マジモンのSMナースだァ!」
「うるさいっ!」
 上がった叫び声は、なんか鳥の叫びよりもひどかった。

「さあて、お楽しみのチークタイムだ」
 斑鳩の口火にあわせて、STAY FREEは声を上げる。
「惚れた腫れたは理屈じゃネェ、誰も文句は言わんぜよ」
「普段は言えない想いも、俺達の歌に乗せて届けてやりな?」
「足を踏むくらいは愛嬌だ‥‥精一杯踊れ」
『Beside Is You』

静かに腕の中で眠る 君の横顔をただ見つめていた
穏やかな陽射しの中で このままでいられたらと
安らぎとともに ささやかに願おう

「こういうのは、苦手なんだがな」
「あいかわらず、ですね。こちらで合わせますから」
 ためらう清二をセドナが誘い、囁く中、二人は影を重ねて輪に加わる。
 一方、頬をかく信司を上目遣い、カンナの視線に手を握り、男は一歩踏み出した。
「Shall we dance?」
「‥‥Yes,of course」
 にこりとした声にあわせてその身は二つ、流れ出す。
「もー」
 ぎこちなくステップを踏むトールに頬を膨らますフィーのつぶやき。男は一時、踊りを止めて、赤いであろうその面を手で覆い、取り繕う。
「その、一応、練習はしておいたんだが‥‥なんというか、頭が、‥‥真っ白でな」
「‥‥じゃあ」
 ためらいがちに顔を上げた隙に女は近寄ると、その唇を軽く、重ねた。
「‥‥お、おまじないだから」
「あ、ああ」
 一瞬だけ触れた息づかいから想いを受け取ると、男は静かに、女と踊る影となった。
「お、おい手加減しろっ」
「やーだよっ」
 アンジェラはくるくると、シンの周りを踊って回り、男はついていくので精一杯。その様子に暖かい笑みが皆から漏れる。
「あのね」
「なんだ」
 瑠音亜の声にライハは心を揺らして応えると、少女は微笑み言葉を続ける。
「るねあね、戦いが終わったら、おにいちゃんに本当の家族になって欲しいの」
「! も、勿論構わないぞ」
「じゃあ、ず〜っと一緒だね♪」
「ああ、ずっとだ‥‥ずっと」
「あらあら」
 ややすれ違いな二人に、木陰で蒼梓桜は一あくび、そして寝こけた珠姫の髪をすく。
「珠姫ちゃんにも、いつかはいい人ができるのかしらねえ‥‥」
「‥‥そーしろー‥‥」
「あらあら」
 涎を垂らす少女の頬を拭いてやり、男はため息一つ。
「こんな男はダメよ。イイ男ぶって、娘を幸せにする自信がない、ロクでもない奴には‥‥でも、カワイイ珠姫ちゃんを任せられる人が現れるまでは、おにーさんもがんばらなくちゃね」
 男は少女を抱きかかえ、煙草が吸えないのもいいと思える時に身を任せた。
「壁の華は寂しいでしょう」
 輪を見つめるレイナの前、レンブラントは手を差し出す。
「一曲お相手願えますか? 紅薔薇の姫」
「一夜の夢‥‥いいえ、私で良ければ」
「夢と言わず」
 応えに手を取り歩みつつ、男は微笑む。
「心の糧にして頂けるよう尽力致します」
 そうして手を合わせ、歌に合わせて二人は踊る。
「こうして、踊ってみたいなって思ってたの。私‥‥あなたに惹かれてた」
 聞こえているのだろうか、ただそれは二人だけの言葉。
「‥‥いいの、返事は。恵さんを助けてあげられるといいわね」
「‥‥ええ」
 二人の面は冷静に、秘めたる思いは複雑に。
 数多の想いは曲とともに、星に向けて捧げられる。

「こんな所にいたか」
 校舎の裏手、踊りからは遠き所。煙草を吹かす慶四郎にクラウドは声をかけると、襟首を握りつかみかかった。
「魔皇が、逢魔がどうとか、って言ったんだってな。ふざけやがって。他人を思う気持ちにそんなのは関係ないだろう」
「‥‥ああ」
「‥‥俺は、お前のことを知らない。詮索する気も、ない」
 逢魔の様子にため息をつき、そして男はカードを取り出す。
「ただ、あいつには応えてやれ。お前の、本当の気持ちをな‥‥これは旅立つものには不要だ。好きに、使え」
「おい」
 一方的にクレジットカードを押しつけ、去る男を見つめると、慶四郎は煙草を踏み消し舌打ちした。
「‥‥ここか」
 残され佇む男に、女が声をかけ、その横に立つ。
「‥‥なあ、しろちゃん」
「‥‥言うな」
「先日の礼だ‥‥こないだは意地悪なことを。人の気持ちを知っておきながら、な」
「お似合いだと、俺は思うがね」
 真面目に怒りを見せた後、微笑む鬼童丸に、慶四郎はこともなげに返す。
「あいつごときじゃ、本気とはな‥‥でも」
 うつむいたまま顔を見ず、少女は心中をつぶやいた。
「迷惑ならそう言え、すっきりする。‥‥逢魔と魔皇でも、好きだということにかわりはないが‥‥」
「言い切るな」
「悪いか?」
 互いに視線を合わせず言葉だけが向き合う中、二人は静かに息をする。
「もしかしたら、あれくらいで諦めるとでも思ったか?」
「‥‥だと良かったが」
「まさか」
「だよな」
 カードを懐にしまい、煙草に火をつけると、慶四郎は大きく吸い、大きく吐き出した。
「大事なものは持ちたくなかったんだがな。拾えなかった時に、どれだけ後悔しただろう」
 横目で見て、男は少女の頭を撫でると、そのまま少女を胸に抱き寄せた。
「!」
「これから大きな戦いが始まる。その時後悔するのなら‥‥先にするさ」
「不吉なことを」
 睨んで鬼童丸は肘打つと、慶四郎は咳き込んだ。
「後悔などさせぬよ」
「‥‥今、拾っちまったことを少し、後悔した」
 そして、二人は見つめ合って笑うと、静かに喧騒の中へと歩き出した。