■【Deep Blue〜空と海】Deep Blue■
商品名 流伝の泉・キャンペーンシナリオ クリエーター名 瑞保れん
オープニング
 ラグーンSSのお披露目が決定する。
 その日は土佐大学総合グラウンドで演習が大々的に行われるようになる。
 責任者である聖鍵戦士ハルの演説も開かれ、マスコミや外部関係者も多く招かれるようである。


「警備が一番手薄になる日よ」

 あの日。校内は一夜にして封鎖されることとなる。
 一般学生たちは、隣の市にある別校舎で授業をうけることとなり、土佐大学はすべてラグーンSSの管轄になった。
 理由は『魔皇達の進入を阻むため』

 広海たちも、あの日から校内に入ることはできなかった。

 広田裕介の残した本は無事回収できた、詩集の中には一枚のMOが挟まれていた。そこには、超音波を利用した隊員の洗脳プロジェクトが記されていた。睡眠時にこの音波を聞かせて、恐怖を取り除き、そして自信、闘争心を植えつけていったらしい。
 今現在ではもっと強い暗示が与えられている可能性がある。
 それに、SS内部のセキュリティーシステムの解読データも入っている。

 そして最後に裕介はこんなメモをのこしていた。

『僕は‥‥人の心を操ってまで戦う意義がみえない。いくら神の為とはいえ‥‥そんな権利はあるのか? そして、こんな会話を聞いた。『武器は間に合わない。だとしたら盾して役立ってもらおう』教授が言っていた言葉だ。『ハルさまも、容認してくれている』とも‥‥。僕はハルさんに恩がある。親切にしてくれている。でも僕は‥‥彼に真意を聞きたい。もし人の心を無視することをするのであれば‥‥僕は彼についてはいけない』

 裕介に芽生えた疑問‥‥。違和感‥‥。

「この日がチャンスです。マスコミもいます。ラグーンSSの本質を暴くのです。人を利用しようとする神帝軍の姿をさらすのです。後、岡田一蔵という者。多分魔皇ではないかと思います。しかし、彼は私たちには剣をむけました。彼はハルに拾われてその後、ハルを心酔しているようです。彼を真実に気づかせてあげてください。それから‥‥」

 広海は小さく息をついた。

「私の‥‥魔皇様を助けて‥‥。お願い、どうか」

シナリオ傾向
参加PC ツルギノ・ユウト
鷹村・夢
マニワ・リュウノスケ
ヴァレス・デュノフガリオ
加藤・信人
白鐘・剣一郎
佐伯・宿儺
ティクラス・ウィンディ
津和吹・拓斗
【Deep Blue〜空と海】Deep Blue

●静かな夜明け
 
「チャンスは‥‥一度だけです」
 集まった魔皇たちに用意したインカムを渡しながら、広海は緊張した面持ち告げた。
「これを逃すと事態は悪い方向へ進むかもしれません‥‥それに」
 広海は、次の言葉を飲み込んだ。これは、自分自身の事。他の皆には負担になるかもしれない。そう考えた。
「大丈夫ですよ、広海さん。広田さん‥‥貴女の魔皇は必ず助け出して見せます」
 津和吹・拓斗(w3h462)の言葉に、皆が頷いた。誰も彼女の思いはお見通しだった。
 曇っていた広海の表情に少しだけ笑みがもどる。そして、しっかりと受け止めるように頷いた。


●掌握と捜索

 広田裕介から託されたMOには、警備システムのプログラムもはいっていた。それのお陰でラボ内部には難なく潜入する事ができた。
 ツルギノ・ユウト(w3b519)と逢魔・フィアナ(w3b519)、白鐘・剣一郎(w3d305)に逢魔・沙玖弥(w3d305)、そして佐伯・宿儺(w3d846)逢魔・夜刀(w3d846)の5名は、マスコミ対応などに追われる警備の隙をつき、校内へと潜入、そしてラボに入り込んだ。
 警備中核システムルームにたどり着き、ユウトとフィアナが残りシステムの解除にあたる。
 4人は『ラボ統括』の教授を捕縛。宿儺が衣服を剥ぎ取りロープ代わりに縛り付け穏やかに微笑む宿儺に、反抗していた教授も大人しくなった。
「教授、あなたには証人になって貰う。洗いざらい吐いて貰おう」
 剣一郎の言葉に捕らわれた男は、体をビクリと振るわせた。

 裕介の救出にはマニワ・リュウノスケ(w3c550)、逢魔・ソフィア(w3c550)、ヴァレス・デュノフガリオ(w3c784)に逢魔・シーナ(w3c784)、津和吹・拓斗にが向かった。そして、広海も‥‥。
 SS横の森に移動、シーナは<祖霊招来>で付近を伺う。
 その後ラボにいる宿儺から、教授から聞き出した地下施設への通路が教会にあるという連絡をうけ、教会へ移動する。通路は教会の端にあり、セキュリティロックをユウトに連絡をし解除をしてもらった。
 祖霊で様子を見た後、出会った見張りの聖鍵戦士は奇襲で戦闘不能にしていった。
 そして進んでいくうちに、小さな独房に行き当たる。小さな鉄パイプのベットにぐったりと横になっている‥‥1人の少女。背中には黒き石の翼。
「ナイトノワール!」
 ヴァレスは駆け寄り抱き起こす。瞳を閉じた彼女は衰弱はしていたが、命に別状はないようだ。体には注射針のような痕もあれば、殴られたような痣もある。うっすらと瞳を開いた逢魔。仲間と気づくと表情が少し和らいだ。
「貴殿の魔皇は‥‥岡田殿でござるか?」
 リュウノスケの問いかけに彼女は一瞬寂しそうな表情をする。そして小さく頷いた。
 岡田の為に神帝軍の研究材料となって耐えてきた。反抗することも出来ただろう。しかし‥‥多分、しなかったのだろう。魔皇を思うばかりに。
 これも一つの想い。魔皇を思う想いの形。
 ここに置いておくのも危険なので、彼女を抱えて外を目指す事にした。
 後は‥‥裕介だ。
 そこにラボから駆けつけた剣一郎達と合流する。近くに独房らしきものが見つかった時だ。インカムに一報がはいる。
『早くしないと‥‥』
 マスコミとして演習のほうへ潜入を試みていた鷹村・夢(w3c018)と逢魔・デューシンス(w3c018)からであった。
 ここでハルの陰謀をあばかなかれば‥‥後がない。
 剣一郎と宿儺とヴァレスは今まで集めた証拠を持ち、演習へと向かう事を決めた。「彼女にも‥‥来てもらいましょう。岡田さんの説得にも‥‥」
 宿儺はそう言って、逢魔に「大丈夫ですか?」と尋ねた。彼女はしっかりと頷く。
 裕介の事を後のメンバーに任し、剣一郎達は演習の行われるグラウンドへ向かった。


●争い
 長身のすらりとした男が演壇に立った。場内に今まで以上のピンとした空気が広がった。圧倒感と緊張感――。
 聖鍵戦士ハル。このプロジェクトの総責任者とされている。
 彼はゆっくりと、しかしはっきりとした口調で人々に語りかける。
「皆様の協力に感謝します」
 一つ一つの言葉に人々は感動に似た感情を覚え、尊敬を込めた視線でハルを見つめている。
 彼らは何もしらない‥‥。
 演説を終え、鳴り止まぬ拍手に笑顔で答える。
 証拠を押さえにいった仲間たちがまだ戻らないが、もう行動を起こしたほうがいいかもしれない。
 その時だ。
「騎士様にお尋ねします!」
 プレスシートから1人の男が立ち上がり、ハルに向かい問い掛けるよう叫んだ。ハルは彼を真っ直ぐ見つめると、ニコリと微笑み返す。そして再び演壇へと戻った。
「何ですか? お伺いしましょう」
 余裕すら見えるハル。ティクラス・ウィンディ(w3e066)と逢魔・レルム(w3e066)は、声高らかにハルへと質問を始める。このラグーンSSでの『洗脳』について、『人間は魔皇に敵わない』事を現状でのこの組織は『人を盾に使おうとしているのではないか?』と。
 夢もティクラスに続く。
「人間を捨て駒にして貴方はいいのですか?」
 プレスシートは騒然となる。予想外の糾弾。聖鍵戦士たちも怒りにも似た焦りの表情を浮かべ、夢たちを睨んでいる。
 ‥‥ハルだけは違った。微笑みを崩さない。
「言いがかりもいいところですね‥‥魔皇の諸君?」
 魔皇!!!
 その言葉にホーリーガードの隊員の瞳に、炎が宿る。『魔皇』は己の敵。
「ようこそ‥‥ラグーンSSへ‥‥」
 ハルは冷酷に笑う。恐れも怯えもない、絶対の自信。彼のオーラから感じられる力。
 そして顔から笑顔が消える。マイクで他の聖鍵戦士やガード隊員に指示を与えていく。
 プレス陣は夢たちから怯え逃げたす。もう取材どころではない。
 ティクラスと夢は襲い掛かる聖鍵戦士には全力で応戦をする。しかし、横にいるガード隊員はやっかいだった。ここで彼らに刃にかけると‥‥神帝軍の思うツボだ。
 そこへ学生の中に紛れ込んでいた加藤・信人(w3d191)が駆けつけた。<真音速剣>で聖鍵戦士をなぎ倒す。潜伏していた逢魔・クリスタ(w3h462)も、<忍び寄る闇>を発動し応戦していく。
「見てください、候補生の皆さん。これが、貴方方が戦おうとしている魔皇の力だ!勝てると思うか!? この、忌まわしき力に! 魔皇自身でさえ恐れるこの力に!」
 訴えが耳に入ったガード隊員に迷いの色が浮かんだ。攻撃の衝撃、圧倒的な魔皇の力、恐れが沸き起こる。
 ハルは演壇でこの戦闘を眺めていた。まるで傍観者のように‥‥。
 そこに近づくことも‥‥今の彼らにはできない。
「待たせたな!」
 そこに、地下施設から駆けつけた剣一郎、宿儺、ヴァレスが駆けつけた。
「まだ居たか‥魔皇よ」
「‥‥ハル。証拠はしっかりと掴んだよ」
 数々の書類、そして証言。
 動かぬ証拠はこの手にある。ここでマスコミにアピールできなくても、持ち帰りばら撒けば‥‥。
「‥‥油断しましたね、僕も。ではそれを取り返すだけです」
 すっとハルが手を上げる。
 そこに現れたのは、<サムライブレード>を手にした岡田一蔵‥‥。
「やっぱり来たか‥‥岡田一蔵」
 剣一郎は巨大な<真ジャンクブレイド>を召還する。
「俺が相手になる。お前の真意、譲れない想いがあるのなら剣で語れ」
「ハル様の命は‥‥俺の総て‥‥!!!」
 キッと剣一郎を睨むと、岡田は一気に間合いをつめ斬りかかる。それを素早く受ける剣一郎。
「ハル! お前の相手は俺だ!」
 ヴァレスは<真凍浸弾>でハルの動きをとめようとする。咄嗟に避けるハル。そこへ宿儺の<真怨讐の弓>の攻撃が襲う。与えられたダメージに、ハルは微かに眉をひそめた。
 その瞬間光の衝撃波がヴァレスと宿儺を襲い、2人は後ろへと跳ね飛ばされた。ハルは二人倒れた隙をついてその場から離れた。
「逃げられたか?!」
「‥‥あっちは教会の方角!」
 その時、激しい戦闘に決着がつく。聖鍵戦士は撤退した者を除くと、ほとんどが魔皇達に倒される。ガード隊員は気を失っている者や意喪失で逃げ出した者ばかり。
 そして‥‥。
 体を折り曲げ岡田は地に膝をつく。自分の剣をその手から落とした。
「殺せ」
 小さくそう呟いた。もう総てが終わったのだ。
 剣一郎は剣をしまう。
「何故‥‥我らに刃を向ける」
「ハル様がすべてだから‥‥。忌むべき者と嫌われた俺を‥‥ハル様は優しく‥」
「彼にとってあなた達は単なる実験台なんですよ!」
 レルムの言葉に、岡田は悲しそうな表情を浮べる。
「そんな事‥‥わかってる。でも、必要とされるなら‥‥」
「‥‥確かに、俺たちの力は邪だ。だが、その力を使う俺たちは、本当に邪な存在なのか?」
 信人の訴えに、岡田は何も答えられない。
 そこへ沙玖弥と夜刀が岡田の逢魔を連れてやってきた。岡田の無事な姿を見て、逢魔は笑顔を見せる。岡田に近づく。岡田の身を案じて‥そっと岡田を抱きしめた。
「よかった‥魔皇様」
 初めて‥温もりを感じた気がした。体に‥そして心に。
 
 岡田は逢魔と共にその場から姿を消した。もう、剣を魔皇に向けることは、多分ない。


●真実、そして覚醒

 裕介が監禁されているであろう部屋はのセキュリティは、予想以上に複雑であった。ユウトは最後の手段にでた。<真デアボリングコレダー>をシステムの中心に突き刺した。システムは一気に崩壊していく。
 ここでやるべき事はもうない。ユウトは仲間たちがいるグラウンドに向かった。

 セキュリティシステムのロックランプが消えた。リュウノスケが扉を開くと、そこには机に向かい本を読んでいる裕介の姿があった。「広田殿!」
「‥‥君たちは、どうやって?!」
 驚きの表情を浮べて裕介は立ち上がった。
「訳は後で説明するでござる。とにかく、助けにまいりましたぞ」
 裕介に再会し切ない思いがこみ上げるのを振り払う。
「君は‥」
 引き込まれるような瞳で、広海をじっと見つめる。裕介も何かを感じるのだろうか?
「後で説明します」
 そう言って、5人は移動をする。
 そして、地下を抜け教会にたどり着いた時だ。
 激しい閃光が4人を襲った。痛みも混じる衝撃に弾き飛ばされる。

「‥‥裕介は渡さない。魔の者には」
 ハルは手を翳し、不気味に笑っていた。

「早く広海さんたちが‥‥危険です!」
 グラウンドに居たメンバーは急いで広海たちの後を追う。すでに。インカムの反応もない。
 教会にたどり着いた時、想像は現実であった。
 中にはいった瞬間、リュウノスケがハルの剣の一撃を浴び床に倒れこみ、逢魔・ソフィアが駆けよろうとしたが閃光で跳ね飛ばされた。
 壁際では広海と裕介を庇うように、拓斗が立ちふさがっている。彼もハルの攻撃をかなりうけており、肩から流血をしていた。
「くそ!」
 ユウトは<真パルスマシンガン>をハルに放つ。
「また来たか!」
 もうハルの顔に笑顔はない。次々に浴びせられる攻撃をかわし、反撃を返してくる。
「何故、人々を操ろうとしたのです?」
 宿儺が弓を放った。
「‥‥向こうが望んだんだよ。私は彼らの希望に沿っただけだ」
 ハルは弓を剣でなぎ払う。
「人は愚かだ。自分の力を過信し、神の領域に近づこうとする。だから僕はそれを黙認した。彼らが間違いに気づいた時‥‥私は彼らを救済する‥‥それが私の使命だから」
「なるほど。貴方という免罪符を翳し、研究者どもが好き勝手やった‥‥と貴方は言いたいわけね。でも貴方が誘導してたんじゃないの?」
「さあ? それはどうかな?」
 沙玖弥の言葉に、ハルは少しだけ口はしを上げ笑みをみせた。
 大きく剣を振り下ろし、前に立ちふさがる魔皇を一気になぎ倒す。傷ついた拓斗も跳ね飛ばした。
 そこにいるのは広海と裕介。裕介を庇うように手を広げる広海。
「渡さない」
 キッとハルを睨む。強い意志を感じられる瞳。
「お前が‥‥逢魔か」
 ハルは眉をひそめた。そして嫌悪感をみせる。
「裕介を魔皇にはさせない!!!」
 剣を広海に振り下ろそうとするが、重傷ながら起き上がったリュウノスケの<真ドリルランス>が防いでくれた。
「魔皇‥‥どういう事?」
 何もわからない裕介は混乱していた。魔皇にさせない‥‥何を? 誰を?
 広海は‥‥小さく裕介に呟いた。
「貴方は魔皇。魔の血を引く者‥‥。私は、貴方のパートナー」
 やっと伝えられた事実。
「僕が‥‥魔皇?」
 その時、ハルがリュウノスケのランスを払い、広海に聖なる閃光を浴びせる。悲鳴を上げて広海は飛ばされる。
「‥どうして、今まで」
「‥お前が魔皇になると、お前を私は殺さなくてはいけない。私に刃向うものだから。そう君の母さんのように‥‥」
「‥母さんも‥貴方が」
「私から離れようとするから‥。だからお前も、私から離れるなら‥」
 ハルはゆっくりと剣を振り上げる。総てを終わらすように、総てを手に入れようとすろうに。
 その時だ!
 裕介の額が光る。何かが体の中に灯ったように、裕介の体から力が溢れ光に包まれて‥‥。
「直感の白!」
 ヴァレスはその額に浮かぶ紋章を見て叫ぶ。
「ゆ、裕介‥‥」
 傷ついた体を引きずり、広海は裕介の元に近づく。2人の心が繋がる。心に熱い何かが注がれる。
「<三方閃>!!!」
 2人は立ち上がると、ハルに向かい光を放つ。
 裕介の突然の攻撃にハルは動揺し、そして混乱した。ガードすることもなく攻撃をうける。
「今だ!!!」
 その隙を狙い、魔皇達は最後の攻撃を放った。

 そして、ハルは最後の時を迎える。裕介の‥‥名前を叫びながら。


●終わる事は始まる事

 潮風が心地良い。何か‥‥心が癒されるような気がする。

 あの戦いが終わり、1週間経った。
 戦闘は重傷者もだしたものの、無事に勝利を得る。聖鍵戦士ハルは倒れ、ラグーンSSは空中分解となる。証拠品もマスコミにばら撒き、神帝軍は今苦しい立場に立たされていた。
 久しぶりに集まった魔皇達は、この海辺の草原にきていた。
 そこに立つ一つの十字架。
「皆には‥憎い敵でしかないんだろうけど」
 そういって裕介は苦笑いを浮べる。
 ここは、聖鍵戦士ハルの墓。あの戦いの後、裕介と広海がここに埋葬した。
「‥‥僕も憎いよ、母を僕から奪い‥‥そして人々を操ろうとして。でも僕は憎みきれないんだ‥‥何故か」
「‥‥広田さんは広田さんで色々とと思うところがあるのでしょう」
 宿儺はそういうと、自分の育てた花を墓に備えた。
 聖鍵戦士も元は同じ人間。彼の隠れた弱さが‥‥この凶行に導いたかもしれない。
 一人一人墓に花を添える魔皇達を見て、広海は小さく呟く。

「こうしてると‥‥もう遠い昔のよに思えてくるね‥‥」
 ほんのこの前の事なのに‥‥もう随分過去のように感じてしまう。何故だろう?

「さ、皆さんで写真をとりましょう。今日という日の記念に‥‥」
 拓斗はそういってデジタルカメラを取り出した。

「‥笑ってください」

 そして、シャッターが下ろされた。

 この後、高知テンプルムはラグーンSSの失態を認め、高知地区では魔皇達と一時休戦を結ぶ事となる。
 何時までかわからない。
 しかし、何かが変わる。何かが始まる。
 
 終わりは‥‥始まりなんだから。

−END−