最下層。テンプルムを統括していたアークエンジェル・マザーは、自らの体を変異させた存在に苦しみ、悲鳴を上げていた。
最低限の感情エネルギー供給しかされずに休眠状態を保っていたマザーは、研究員達からもソッとされていた。元々外からばれないようにと気を使われていたテンプルムだ。地上にまで影響を及ぼす感情の搾取は気付かれる可能性を高くするため、無理には行わなかったのである。
テンプルム内には研究に使うエネルギーを作り出すためのエネルギー機関が運び込まれており、研究には差し支えなかった。
しかし、それが仇になっていた。眠りについているマザーでは、外部からの干渉に抵抗するような事が出来なかった。
『タリナイタリナイタリナイタリナイ!!!!』
体の中に入り込んだ寄生虫によって、マザーの体はズタズタに引き裂かれ、崩壊と再生を繰り返している。
グレイブディッガーの細胞によって強引な変異を強要されているマザーは、その痛みと飢えに暴れ回り、テンプルム中に腕を伸ばす。
『タリナイタリナイタリナイタリナイ!!!!』
変貌していく体を維持するため、マザーは膨大な魔力を必要としていた。捕獲してある研究員やサーバント達を食べてもまだ足りない。極上の、それこそ最高レベルの魔皇達から、直接絞り尽くさなければ追いつかない。
寄生されて意思すら奪われようとしている堕天使は、獲物を求め、その腕を伸ばし続けていた‥‥‥‥
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