黄金の三角地帯――東南アジアのタイ・ラオス・ミャンマーが接するメコン川、その山岳地帯を指しての呼び名だ。世界に名だたる麻薬原料の生産地であったがゆえに。
その地に、2、3ヶ月前よりパトモスから僅かな魔皇たちが潜入を果たしていた。無論、デビルズネットワーク・アスカロトにて依頼を引き受けた魔皇たちである。
それはGDHPからの極秘依頼だった。新東京に流れている麻薬について、この黄金の三角地帯が怪しいという意見が強くなったため、GDHPが表立って動く訳にはゆかない代わりに、アスカロトに出入りする魔皇たちに託されたのである。もちろん魔皇たちに何かあったとしてもGDHP、ひいてはパトモスも知らぬ存ぜぬを押し通すだろうが。
かくして潜入調査が開始され、目星をつけたとある村にて見事なケシ畑を調査に当たった魔皇たちは目にすることとなった。サンプルとして入手したケシはGDHPへ送られ、その分析の結果、どうやら間違いないようだという答えが返ってきていた。
だがしかし……何かが妙だった。村人たちは、このケシが治療薬として使用されると言われて栽培しているようなのだ。しかも買い手はパトモスを名乗っているというではないか。これはいったいどういうことなのだろう。
そんな中、7月のある日になってこんな情報を手に入れることとなった。明日、その買い手がケシの実を村へ受け取りにやってくる……と。いつも通りなら、女性1人に男性2人の3人でやってくることだろうという話である。
3人の正体がどうであれ、何らかの情報を握っているであろうことは想像に難くない。確保して事情を聞く、そのまま泳がせる、実力行使による排除……様々な選択肢が調査に当たる魔皇たちにはあることだろう。
さて……調査に当たっている魔皇たちはどのような選択をするのか見物である。
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