逃亡中の殺人犯――平坂雄太とその恋人である八田奈美を追うGDHPの捜査官や善意の協力者たちは、今はスミルナルと呼ばれる地域の一部分である旧の青森県に足を踏み入れていた。2人の乗った車が、青森で乗り捨てられていたからだ。
そのことから、2人は青森に潜伏していると考えられていた。何故ならば、2人の出身地である北海道には現在行くことは出来ないのだから……。
2人を追ったある者は、下北半島にある大間の地を訪れていた。そこは本州最北端の地、よく晴れた日には北海道がはっきりと見えるそうだという。2人がもし故郷を想ってここまで逃げてきたのだったら、きっと北海道の見える地へ姿を見せるのではないかと考えたのだ。
だが、現在の所は2人の姿を発見出来ていない。来ているのかいないのかさえも分からなかった。狙いは悪くないと思われたのだが……ひょっとすると、探し方が悪かったのかもしれない。とにかく、2人の姿を探し出すことが先決であった。
そして、スミルナル署から気になる情報が入っていた。被害者・黒田隼人の仲間たち数人も青森に現れたらしいという話である。残念ながら行先不明。しかし、非常に厳しい状態になったことは確かかもしれない。向こうに先に、平坂たちを捕らえさせる訳にはゆかないのだ。
捜査は未だ継続中――。
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