「魔皇様方、ぜひとも手をお貸しください」
デビルズネットワークタワー・アスカロト。サーチャーの逢魔・明菜が集まっていた魔皇たちに向かってそう言ったのは、大晦日の午後のことであった。
明菜の言葉の続きを期待せず待つ魔皇たち。もう明菜が風変わりな依頼を持ってくることには慣れていた。そもそも自分に合わなければ引き受けなければよいだけなのだから、別段悪影響がある訳でもないのだし。
そして明菜の語った依頼内容は、皆の予想通りのものだった。
「初詣の出店のお手伝いをしていただきたいんです。何でも人手が足らないのだとか……」
ほほう、そうきましたか明菜さん。確かに、初詣といえばずらりと並ぶ出店が付き物という印象がある。客足も多いだろうし、人手が足らないと言われても納得出来る話だ。
それはともかくとして。どうしてこういう依頼がここに来るんですか、明菜さん?
「……そ、その、どうにか出来ないかと知り合いのテキ屋の方に頼まれてしまいまして……」
……なるほど、相変わらず断れなかったんですね。
で、いつ手伝えばいいんですか?
「ええと……1月3日の朝から夕方まで、お願いいたします。場所はビルシャスにある『佐津姫神社』です」
『佐津姫神社』はビルシャスにある神社の中で、それなりの参拝客を集めている神社である。パトモス国議会の議員も毎年何人か参拝に来るという話だ。
さてさて、どの出店の手伝いをしようかな?
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