■【神魔狂奏曲】仙台基地防衛戦■
商品名 アクスディアEX・デビルズネットワーク クリエーター名 とりる
オープニング
「パトモス軍、ならびに日本列島各地で奮戦を続ける神帝軍の戦士に告ぐ。我々は、神の後継者!
神魔戦線と呼ばれた二度の戦いはマティア神帝の日本脱出という形に終わった。
しかしこれは敗北なのか?否、断じて否!我々は些かも戦いの意志を失ってはいない。
それは、間もなく実証されるだろう。我々は三年間待った。今こそ反攻に転じる時。
ここに私は改めてパトモス政府に対し、宣戦を布告するものである。
立て、神帝軍の戦士たちよ!愚かなるパトモスに鉄槌下すのだ!」
 テレビの画面に映るのは熱弁を振るう眼鏡をかけた知的な容姿の青年の姿。
 名前は…確か北口と言ったか。
「まったく古臭い演説だこと」
 パトモス軍仙台基地の作戦司令室で溜息をつく高槻博士。
 これは神帝軍残党グループ“神の後継者”による電波ジャックだ。
「ここにきて宣戦布告とはね…やってくれるわ…」
 唇を噛む。
 栗駒山テンプルムが爆破された後に出現した軍団規模のサーバントの軍勢に対しパトモス軍は撤退するしかなかった。
 防衛線は後退に後退を重ね、現在では宮城県の北部はほぼ敵の制圧下になってしまっている。
 そしてそれは尚も進軍を続け、じりじりと仙台基地へ迫ってきていた。
「いかがなさいます?司令」
「ふむ…」
 司令と呼ばれたのはまだ年端も行かぬ少女だった。だが額からは二本の角が伸びており背中には4枚の翼が生えている。人間ではない。その身に纏う神々しいオーラから神に属する者だということが窺える。
 …アークエンジェル・テミス少将だ。
「徹底抗戦するしかあるまい。増援の要請はした。場合によっては姉上の力も借りなければならぬな」
「仙台テンプルムも出し惜しみをしている場合ではありませんからね…。こちらも、本国に掛け合っているところです」
「増援が到着するまでの間、せめて時間稼ぎが出来ればな…」
 テミスは顎に手を当てる。
「私に考えがありますわ、司令」
 高槻博士は、不敵な笑みを浮かべた。

 デビルズネットワークタワー・アスカロト。
 サーチャー・クラヴィーアが口を開く。
「よくお集まり下しました、魔皇様方。さっそくご説明をさせていただきます。現在、パトモス軍仙台基地に向けて数万の新型サーバント群が進攻中です。あと数時間で到達してしまう事でしょう。魔皇様方にはパトモス軍と共にこれを食い止めて貰いたいのです」
 クラヴィーアは一度俯いて口をつぐむが、また話し始めた。
「これまでにない辛い戦いになると思われますがどうか、お願いします」
 住民の殆どは宮城県南部に避難している。仙台基地を突破されればどうなるかは明白だ。
「人々の命を救うために、どうか…」
 深々と頭を下げるクラヴィーアだった。
シナリオ傾向 基地防衛 殲騎戦
参加PC 礼野・智美
月島・日和
音羽・聖歌
風祭・烈
幾瀬・楼
桜庭・勇奈
【神魔狂奏曲】仙台基地防衛戦
●智美・聖歌
 この戦いの先を示しているかのような暗雲立ち込める空の下、砲声が轟く。
「…始まったか」
 礼野・智美が殲騎のコクピットで呟いた。第一次防衛線の部隊が敵と接触したようだ。
 魔皇達は基地の直衛に当たっているため、まだ戦闘には入っていない。
「テンプルム突入時と同じ装備なんですね」
 タンデムシートの後部座席に座る逢魔のユフィラスが話しかけてくる。
「前にファントムと戦闘になった時、シルバーエッジが折れてしまったからな。ブレードが有効なのは確かなようだから今回もクロムブレイドを持って行く」
 ファントムの装甲は分厚い。敵は物量で攻めてくるため、耐久力の低い武器ではすぐダメになってしまう。
「イビルアイは対空攻撃特化らしいし、殲騎では最大射程千mが限界だ。それに私は黄金だから射撃に適しているとはいえない。イビルアイは長距離攻撃が出来る軍に応対を頼んで、近接戦闘で彼らの護衛に徹する感じか?増援が来るまで、という目安があるからな…時間稼ぎに徹する事、これに尽きるか」
 とはいっても、そのイビルアイの魔力レーザーによって砲弾はほぼ迎撃されてしまうのだが…。
「今回は殆ど敵の新型サーバントと戦ったことのあるメンバーですよね…」
「…ああ。だから、本当は嫌なんだが…聖歌と神無にも協力を頼んだ」
「ったく、お前はまた…頼ってくれるのは嬉しいけどな」
 音羽・聖歌が会話に割り込んでくる。
「…癒し能力があるとなしでは大違いですから…お願いします、神無さん」
 ユフィラスにそう言われて聖歌の逢魔、神無が答える。
「ええ、お任せください」
「やっぱりな。俺より神無の回復能力が頼りか」
 聖歌が苦笑する。
「まあ、俺も出来るだけの事をやるだけだ…サーバントや天使嫌いなお前には苦労かけてすまないが」
「いえ、今回も民間人に被害が出る可能性が高いのですし…私達だって子供がいるんですもの。守れる力のある者が何もしないままなんていられませんから…。そういえば、今回もテラーウィング装備なのですか?」
「刻印の問題。空は飛ばねーよ」
 聖歌は新型サーバントと初めて接触した際、イビルアイの魔力レーザーによって撃墜されている。もうあんな目に遭うのはこりごりだ。
「第一次防衛線に展開中のA大隊は依然健在。敵の足止めに成功しています」
 オペレーターからの連絡。どうやら順調のようだ。パトモス軍もよくやってくれている。
 魔皇達がそう思ったとき、突然激しい地響きが辺りを襲った。
「な、なんだ!?」
 聖歌は突然の出来事にうろたえる。
「この振動は…?!」
 ユフィラスが声を上げた。
「地中から師団規模のサーバント群が出現!当基地の目の前です!!」
 オペレーターの悲痛な声。
「なんだと!」
「くそっ、第一次防衛線の奴らは囮だったというのか…!」
「こちらが本命というわけですね…」
 敵はパトモス軍の目を第一次防衛線に向けさせ、なおかつ地中を移動し第二次防衛線まで素通りしてきたのだ。これはいきなりナイフを喉元に突きつけられたも同じこと。
「陽動とは…味な真似を…」
 作戦司令室で様子を見ていた高槻博士が顔をしかめる。
「今まで物量での蹂躙戦術のみだった敵を侮った我々の過ちだ。奴らも莫迦ではない。C大隊、および魔皇軍はただちに敵を迎撃せよ!至急第二次防衛線に展開中のB大隊を呼び戻せ!」
 テミスが指示を下す。
「ダメです!第一次防衛線が突破されました!それではB大隊が挟撃されてしまいます!」
「くっ…!全ては敵の思惑通りというわけか…」
 テミスは、奥歯を噛み締めた。

 魔皇達が陣取る仙台基地の正面ゲート付近は既に地獄絵図と化していた。
 ベヒモスの突撃を受け鉄の塊と化す74式戦車、アーマーイーターの大群に取り付かれ装甲ごとコクピットを喰われるゼカリア…パイロットの悲鳴が耳障りだ。
 旺盛な砲火で辛うじて抑えているものの、このままでは時間の問題かもしれない。
「ぐ…!この野郎!!」
 ファントムとの派手な格闘戦を演じているのは智美のブレイズ。
 一撃を加え、たじろいだ隙に真クロムブレイドを横薙ぎに振るい胴から両断する。
 聖歌のカースソングは真ワイズマンクロックを適宜上空に飛ばし、イビルアイの攻撃を引き付けつつ真魔力弾で攻撃を行っていた。
「こういうの、多勢に無勢って言うんだよなあ…」
 聖歌がこの悲惨な光景を眺めつつポツリと言った。すると…
「てめーは黙ってアーマーイーターでも攻撃してろ!近接戦闘は下手糞なんだから!!」
 智美の怒鳴り声。
「女のセリフじゃねーぞ、智美…(ま、強がりでも言ってないと厳しいのは解るしな…けっこーキツイぜ、この状態…)」
 状況は、芳しくなかった。

●日和・勇奈
 月島・日和のアシュナードと桜庭・勇奈のノーフォークはペアを組み、定期的に押し寄せる津波のようなベヒモスの群れを相手にしていた。
 二騎は同時に真撃破弾を発動。迫り来るベヒモスの足元に向けて放つ。
 爆音。しかし、ベヒモスの群れは少し体勢を崩しただけであった。
「…でも!」
 アシュナードは控えめに跳躍し、続けて真マルチプルミサイルを放つ。白煙の軌跡を描きながらミサイルが次々に着弾。今度はベヒモスの体が大きく揺らぐ。
「今よ!勇奈!」
「分かってる!」
 逢魔・ハリエットの獣の鎧を付加し防御力を上げたノーフォークはその隙に突撃し、ベヒモスの柔らかい後部に真ドリルランスを突き刺した。崩れ落ちるベヒモス。尚も連続して攻撃を仕掛け、周囲の数体を仕留める。
「勇奈、下がって」
 背後からハリエットの声。
 勇奈は頷き、ノーフォークを軽く跳躍させて後退した。
 それと同時にC大隊所属ゼカリアの特殊徹甲弾による一点集中砲撃が行われ、残りのベヒモスを片付けた。
「はあ…はあ…」
 息を上げる日和。これまでに3度ベヒモスの群れを退けている。無理もない。
「日和…」
 逢魔の悠宇が心配そうに声を掛けてきた。
「大丈夫だよ。…でも、やっぱり正面からだと厳しいね…ベヒモスの相手は」
 ベヒモスの前面装甲を破るには突貫で開発された特殊徹甲弾を一点に集中させる必要がある。ゼカリア隊だけでは荷が重い。日和と勇奈が囮を引き受けベヒモスをかく乱し、ゼカリア隊がその隙に止めを刺すという戦法を取っていた。それでなんとか持ちこたえることが出来ている。
「本当にしんどいよ。硬い突角ががっつんがっつん当たって、獣の鎧を付加していても装甲がもうボロボロ…!」
「また付加し直しますから」
 ハリエットが宥める。前衛を担当し、ベヒモスに近接戦を仕掛ける勇奈のほうは更に負担が大きいようだ。
 そして、一息を付く間もなく…
「地中からベヒモスが出現。新手です!…その数、百!!」
 オペレーターからの通信。
「全部…ベヒモスなの…?」
「マジかよ…」
 これほどの数が一度に来るなんて…半ば絶望しかける日和と悠宇。
 勇奈は…
「諦めちゃダメだ!…神魔大戦からこっち、いろんな奴に会った。神属でもいい奴もいたし、魔属でも鼻持ちならない奴もいた。種族の違いを超えて仲良くできるんじゃないかって思える場面だって何度もあった。そういう希望を持てるようになったのも、生きてこられたからだと思う」
 勇奈の言葉に日和は…
「そうね…神魔が争うのは宿業かもしれないけれど、それに人を巻き込んでいいとは思わない」
 振動を肌で感じる。土煙を上げてベヒモスの大群が迫る。
「…今回のことには腹が立つ。なんで、せっかく生き延びることができたのに、またわざわざ争いの火種をまこうとするんだ。それも、人まで巻き込んで…そんなの納得できるわけがないだろう?!」
「ここを落とされるわけにはいかない…この後ろには、自らの身を守る術をもたない人がいるのだから。ここは、決して通さない!」
 二人の瞳は、まだ希望の光を失ってはいなかった。
「「だから!負けられない!!」」
 日和の声に呼応して、アシュナードが紫色の光に包まれる。
 勇奈の声に呼応して、ノーフォークが紅色の光に包まれる。
 やれる。何故かはわからないが、二人はそう確信した。
 そしてアシュナードとノーフォークが同時に拳を突き出すと、紫色と紅色に輝く魔弾が放たれ、ベヒモスの群れの中心で大爆発を起こした。次々と弾け飛び、粉々になるベヒモス達。
「今のは…?」
「なんだ…?」
 それは新たなる力、上級DF・超撃破弾<ブレイクアーティラリー>であった。

●烈・楼
 一方、風祭・烈と幾瀬・楼は敵の主力、ファントムの大部隊を相手にしていた。
 至る所にサーバントの残骸が転がっている。
 これまで何体倒しただろう?百体は超えているのではないかと思う。
 烈の殲騎・ドリルカイザーは真アクセラレイトドリルのブースターを吹かし突撃。ファントムの一体の腹に突き刺すも貫くには至らない。
「ぐっ…!」
 もう一度ブースターを吹かす。今度は胴体に大穴を開けた。崩れ落ちるファントム。
 本来なら一撃で倒せたはずだ。明らかに魔皇殻に限界が来ている。
「烈…」
 ソードピアスを身につけた彼の逢魔・エメラルダが背後から手を回し、ハンカチで烈の額の汗を拭った。
「ああ、すまない。…不利な戦いと負け戦には慣れている、気にするな」
 言いながら襲い掛かってきた別のファントムの攻撃を蟹型魔獣殻・Gのシールドで受ける。
「だが、今回は退くわけには!」
 その時、ピキッとシールドに亀裂が入る。
「…!?」
 烈はドリルカイザーを一旦後退させ、真ショルダーキャノンを連続で放って葬った。
「やはり、もう限界ですわね」
 魔皇殻と魔獣殻は度重なる戦闘で耐久力が限界だった。
「仕方ないな…」
 烈は真ショルダーキャノン以外の魔皇殻と送還。倒したファントムの剣と突撃槍を拾う。そして蟹型魔獣殻を外し、鳥型魔獣殻・迦楼羅を装備。
「回避重視の戦法は慣れないが…」
 烈は騎体を躍らせる。
「やるしかない!」
 迫っていたファントム数体を斬り裂き、貫いた。
「…この無意味な戦いを終わらせてくれか。戦場で見え、名前しか知らぬあの男のためにも負けられないな」
 あるグレゴールの最期の言葉を思い出しつつ、次の獲物を探す。

「びびるな!教えたろう、実力伯仲なれば気合で勝る者が勝つ!相手が数万だぁ?喜べよ、どんな下手でも撃ちゃあ当たる!」
 楼は特務軍で教官をしていたということもあり、ゼカリア一個小隊を率いて戦っていた。
 自身はイレーザーナイツ仕様殲騎に搭乗している。
「目標、前方のファントム12体!全部平らげろよ!てーっ!!」
 ゼカリア小隊による35mmアサルトライフルの一斉射撃。
 ファントムの一群はこちらに気付いて突進してくるが距離がある。射撃武器を持たないため、そのまま何も出来ずに崩れ落ちる。
 そんな感じで巧みな指揮と連携を駆使し確実に敵の数を減らしていた。

「はあああっ!!」
 烈が叫びドリルカイザーが両手の剣を振るう。両断され、またファントムが倒れた。
「……機甲天使メタトロン、彼女もこの空のどこかで戦っているんだろうな。俺もこの程度で諦めるわけにはいかないな」
 烈の脳裏に浮かぶのは美しい白銀の鎧を纏った天使の姿。今頃どこにいるのだろうか。
「後ろだ!!」
「っ!?」
 ドリルカイザーの背後に迫るファントム。しかしそれは神々しい光によって貫かれ、爆散した。
 それをやったのは頭部に2本の角が生えた白銀のパワー級ネフィリムであった。通常のパワー級と形状が少し…いや、かなり違う。強化型だろうか。手には長剣と先ほど放ったと思われる大型の神機光銃を携えている。
「戦闘中にぼーっとするでないぞ。死にたいのか」
 凛とした声が回線に割り込んでくる。
「その声は…!」
 聞き覚えがある。もしや…
「言うな。私にも立場というものがあってだな。…ふふっ、まあよい。敵はまだまだ居る。いつぞやのようにまた共闘といこうではないか」
「ああ、のぞむところだ!」
 そして殲騎とネフィリムが共闘を始める。

「まったく、困った司令官様だこと。我慢できずに私に指揮を押し付けて飛び出して行っちゃうんだもの」
 作戦司令室でその様子を見ながら高槻博士も少しだけ笑みを浮かべた。

「チカチカと眩しいってんだ!」
 楼が忌々しげに声を上げた。
 戦闘開始からずっとMLRSによる支援砲撃が行われているのだが、やはりイビルアイによってその殆どが無効化されてしまっていた。
「これじゃ弾薬の無駄遣いだぜ。ったくしょうがねぇなあ。よし、前衛!ここで踏ん張ってろ!俺はあの邪魔な目ん玉どもを片してくる!」
 楼騎は聖障壁と真セイムセイムマスタリーによって生成した大量の魔力塊を柵のように配置して防陣を構築し、イビルアイに向けて飛行して行く。普通に考えればそれは自殺行為だが…
「きょ、教官?!」
「大丈夫だ!黙って見てろ!最大顕現!」
 当然の如く無数のレーザーが楼騎を襲う。しかし楼騎は真セーフガードマスタリーの反射障壁を展開。レーザーを全て弾き返した。そして間髪置かず真闇影圧を撃ち下ろし、更に柄尻を中心に巨大円盤のように回転させた真ブレイドマスタリーで敵陣を根こそぎ薙ぎ払う。
「す、すごい…」
 その光景に感嘆の声を漏らすゼカリアのパイロット。
「排除完了!砲撃要請を…」
 だが…再びレーザーが楼騎を狙い撃つ。
「まだ残っていやがったか!!」
 すぐさま反射障壁を展開する。しかし…
 そのまま肩口から右腕を持っていかれてしまう。
「なにぃぃぃっ!!?」
「…ラージイビルアイ数十体が一点に焦点を合わせているようだ…」
 逢魔の宇明が額に汗を垂らしながら告げる。そして…
 左腕、頭部、右足、左足、次々に撃ち抜かれる。
「くっそぉぉぉぉぉっ!!!!」
 楼騎は敵陣の真っ只中に墜落していった…。
「教官!!」
「無茶をするから…」
 生存は絶望的かと思われたその時――
「対魔力レーザー弾発射!」
 高槻博士の声が響く。
 それと共に敵陣に砲弾が吸い込まれてゆく。無論、殆ど撃墜されてしまうが、ただでは終わらない。キラキラと輝く微小な金属片が敵陣を包んでゆく。
「今よ!楼騎を回収しなさい!」
「しかし!」
「いいから早く!」
「りょ、了解!」
 楼が率いていたゼカリア小隊が射撃しつつ全速で四肢を失いボロボロになった楼騎を回収する。
「よし、面制圧開始!!」
 MLRS部隊が砲撃を再開。敵陣に向けてロケット弾の雨を降らす。今度は何故か、イビルアイのレーザーによる迎撃は無かった。今までとは逆に蹂躙されてゆくサーバント群。
「勝ったな…」
 ネフィリムのコクピットでテミスは不敵な笑みを浮かべた。
「ええ。間に合いました。魔皇達のお陰ですわ、司令」

 ほどなくして、敵は撤退を始めた。そう、魔皇達は勝利したのだ。