旧仙台市内に店を構える、メイド喫茶フェルマータ。
1ヶ月ほど前にちょっとした(?)事件があったのだが、現在は平穏を取り戻していた。
「そういえばミカちゃん、もう少しで誕生日よねぇ」
給仕から戻ってきたメイドのミカに、店長がカウンターでコーヒーを淹れながら言った。芳しい香りが鼻腔をくすぐる。
「え?…ああ、はい。そうです。すっかり忘れちゃってました。えへへ」
「えへへじゃないわよ。年頃の女の子なんだから、ちゃんとお祝いしないと。ミカちゃんは彼氏とかっているのかしら?」
「うー、店長ー知ってて聞いてるでしょー!」
ミカがじとーっとした目で店長を見る。
「あはは、ごめんなさい。それならお店でお誕生会をしましょう」
「そ、そんな悪いですよ。みんな忙しいですし…」
指を合わせながらもじもじするミカ。
「遠慮することないわよ。ミカちゃんはなんてったってうちの1番人気なんだから。ね?あ、そうだわ。この前お世話になった魔皇さん達も呼んで、お店を1日貸切にしてパーティをしましょう!それがいいわ!」
1人で盛り上がっている店長に苦笑いを浮かべるミカ。
でも内心は色々と気遣ってくれる店長の気持ちがとても嬉しかった。
「常連さんにも招待状を送って…料理にケーキに…それからそれから…」
「店長、私も手伝います!」
にっこり笑顔を浮かべるミカであった。
「そんなわけで、メイド喫茶フェルマータからメイドのミカさんのお誕生会へのお誘いが来ました」
デビルズネットワークタワー・アスカロトの一室でサーチャー・クラヴィーアが口を開いた。
「魔皇様方も毎回戦いばかりでは疲れるでしょうから、たまには息抜きをしてみてはいかがですか?きっと、ミカさんも喜ぶと思いますよ」
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